歯科材料・器械
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10 巻, 6 号
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原著
  • 川原 大, 佐野 裕子, 小北 一成, 松本 良造, 中村 正明
    1991 年10 巻6 号 p. 721-726
    発行日: 1991/11/25
    公開日: 2018/04/06
    ジャーナル フリー
    in vitroにおいて修復材料や合着材の細胞毒性評価を行う場合, 象牙質層のシミュレーション下での試験が不可欠である.本研究では象牙質の板状または粉末状試料および代替候補物質中を通過する酸化亜鉛ユージノールセメント硬化物からのユージノールの透過量を紫外分光分析で定量した.その結果, 板状象牙質を通過するユージノール量は平均約20 μg/mlで, しかも標準偏差が大きかった.これに反して, 粉末状の象牙質や精製されたコラーゲン粉末ではユージノール透過量も少なく, また標準偏差も小さかった.今後, 象牙質を介したin vitro試験モデルを確立していく上で, 象牙質自体の均一化への条件設定と合わせて, 象牙質を代替する物質の検討も必要であることがわかった.
  • 井上 勇介, 福島 忠男, 堀部 隆
    1991 年10 巻6 号 p. 727-732
    発行日: 1991/11/25
    公開日: 2018/04/06
    ジャーナル フリー
    2-methacryloyloxyethyl hydrogen maleate (2 MEM) を光重合型ボンディング剤に調製し, 各種の酸処理象牙質 (37% リン酸溶液, 1 M 乳酸溶液, 0.5 M EDTA・2 Na溶液, 10-3溶液) への接着性を検討した.耐酸性象牙質層の厚さは, 1 M 乳酸, 0.5 M EDTA・2 Na, 10-3溶液で処理すると約1 μmであったが, 37% リン酸で処理すると約3 μm であった.酸処理象牙質への接着力は, すべての条件下で有意差はなかった.酸処理剤のいかんにかかわらず, 水中浸漬時間を延長しても接着力は低下しなかった.
  • 菊地 聖史
    1991 年10 巻6 号 p. 733-738
    発行日: 1991/11/25
    公開日: 2018/04/06
    ジャーナル フリー
    ハンドピースの滅菌は臨床上重要な問題であるが, 確実な滅菌操作には手間と時間がかかり, 薬液等により装置の表面を消毒する以上のことを日常的に行うことは難しいように思われる.この問題の最終的な解決策はハンドピースのディスポーザブル化であるが, 回転機構をどう作るかが問題となる.そこで本報告ではプラスチック製の滑り軸受を試作し, 回転性能を調べてハンドピースへの応用の可能性について検討した.その結果, 試作軸受の無負荷回転速度は玉軸受の約85%, 停止トルクは玉軸受の約80%が得られ, エアタービンハンドピースの軸受機構部にプラスチックを用いることは十分な可能性があることがわかった.
  • 鳥山 尚代, 若林 元, 加藤 丈晴, 今井 誠, 近藤 康弘, 山下 敦, 河島 光伸, 津軽 利紀, 小村 育男
    1991 年10 巻6 号 p. 739-747
    発行日: 1991/11/25
    公開日: 2018/04/06
    ジャーナル フリー
    本研究は, 歯科用接着性レジンと歯科用合金との接着性を高める被着面処理材の開発を目的としている.0.5%10-Methacryloyloxydecanethiol(MDT)を含有した金属用プライマーを被着面処理材として用い, 接着性レジンと種々の純金属と4種の歯科用合金(金合金, 12%金銀パラジウム合金, パラジウム合金およびニッケルクロム合金)に対する接着強さを検討した.また, プライマーで純金属の表面を処理した後, X線光電子分析装置(ESCA)を用いて分析を行った.本プライマーを#600研磨した純金属に塗布して接着強さを測定したところ, 金, 銀およびパラジウムに対して280〜350kgf/cm2の高い接着強さが得られた.特に, 金と銀に対しては熱サイクリング試験後も安定した接着強さを示すことが分かった.ESCAで分析したところ金属プライマーに含有されているMDTの末端のSH基と金および銀との結合はプライマーをアセトンを用いて洗浄しても失われなかったことから強固な化学的結合であることがわかった.金属プライマーで処理した歯科用合金(金合金, 12%金銀パラジウム合金およびパラジウム合金)に対する接着強さを検討したところ, 37℃水中に24時間浸漬後に計測した初期値で450〜500kgf/cm2であった.しかし, 接着耐久性試験後ではパラジウム合金に対する接着強さは初期値の35〜40%まで低下した.これに対し, 金合金と12%金銀パラジウム合金に対する接着強さは初期値の80〜95%の高い接着強さを維持することがわかった.
  • 越前谷 亨, 塙 隆夫, 大川 昭治, 近藤 清一郎, 菅原 敏, 太田 守
    1991 年10 巻6 号 p. 748-753
    発行日: 1991/11/25
    公開日: 2018/04/06
    ジャーナル フリー
    歯科用合金と4-META/MMA-TBBO系レジンとの接着界面現象を理解するために, 表面処理を施した歯科用合金上に生成する表面皮膜の化学的構造をX線光電子分光分析(XPS)により決定した.3種類のNi-Cr合金(基本合金1種類と市販合金2種類)に対して70%リン酸水溶液および市販電解液を使用して陽極酸化処理を行い, その際に生成する表面皮膜を解析した.その結果, 皮膜中には少量のリン酸イオンが含まれており, また, 表面処理後の表面皮膜中のクロムの濃度は表面処理前に比較して増加した.また, 微量添加元素であるシリコンは皮膜生成に重要な役割を果たしていることがわかった.
  • 亀水 秀男, 行徳 智義, 飯島 まゆみ, 若松 宣一, 足立 正徳, 後藤 隆泰, 土井 豊, 森脇 豊, 久保 文信, 生内 良男
    1991 年10 巻6 号 p. 754-762
    発行日: 1991/11/25
    公開日: 2018/04/06
    ジャーナル フリー
    歯科鋳造用埋没材の新しい結合材として, 第一リン酸アルミニウム(Al(H2PO4)3)を用いた結合材の開発を試み, 本研究では, Al2O3・5H2O-Al(H2PO4)3系結合材の硬化体の加熱特性について検討した.第一リン酸アルミニウムは市販の粉末と溶液の両方のタイプを使用し, アルミナ水和物(Al2O3・5H2O)は合成したものを使用した.熱分析およびX線回折法による定性, 定量分析の結果, 硬化体の大部分(AlPO4・nH2O)は加熱初期にAlPO4に変化し, 高温では, Al2O3の生成が起こる場合もあった.AlPO4の生成量は, 結合材組成中のモル比Al2O3/P2O5によって決定され, モル比Al2O3/P2O5=1のときに最も多いことがわかった.第一リン酸アルミニウムの粉末を用いた場合, 加熱によって硬化体はベルリナイトやクリスタルファイトのα-β転移あるいはベルリナイト-クリスタルファイト転移(再組織型転移)により膨張し, 最大で7%(1, 100℃)の線膨張率を示した.第一リン酸アルミニウムの溶液を用いた場合, 加熱膨張は起こらず, 総合的には収縮を示した.反応硬化材として, Al2O3・5H2Oのみの使用では十分な焼成強度は得られなかったが, MgOを添加することで歯科用埋没材として適当な強度が得られることがわかった.
  • 山岸 利夫, 伊藤 充雄, 増原 英一
    1991 年10 巻6 号 p. 763-772
    発行日: 1991/11/25
    公開日: 2018/04/06
    ジャーナル フリー
    補綴物の金属部分の接合には, 一般に埋没法によるろう付けが行なわれているが, その操作は煩雑で時間を要する.レーザは, スポットに高いエネルギーを集めることができるので, 精密な補綴物の接合に応用できるものと考えられる.著者らは, 近年歯科用金属として使用されることが多くなったチタンの接合を目的として, ノーマルパルス発振Nd:YAGレーザ加工機を用いて基礎的な溶接実験を試みた.その結果, 以下のような結論を得た.1.チタンのレーザ溶接には, アルゴンガスによる雰囲気の制御が必須であった.2.チタンのレーザ溶接時の, 最適なアルゴンガスの雰囲気の条件, およびレーザ照射条件の設定のためには, 更に詳しい検討が必要であった.3.大気中でのレーザ照射は, チタン表面にクラックを生じ, 溶接割れや, 機械的性質の低下の一因となった.4.照射エネルギーが増すと, 引張強さ, 降伏強さおよびのびは増加した.5.アルゴンガス吹付雰囲気において, 直径2mmの純チタン丸棒を溶接した時に, チタン母材と同じ程度の引張強さおよび降伏強さを得るには, 21J/P以上の照射エネルギーを要した.6.直径2mmの純チタン丸棒をレーザ溶接した時ののびは, 母材の値の数%にすぎなかった.しかし照射雰囲気とのびの間には有意の差が認められた.
  • 木村 博, 荘村 泰治
    1991 年10 巻6 号 p. 773-778
    発行日: 1991/11/25
    公開日: 2018/04/06
    ジャーナル フリー
    クラウン用補綴物製作のためのCADシステム開発の試みとして, 6にクラウン用の支台歯形成をした5〜7の3臼歯を計測し, それにデータベース用の6臼歯をかぶせ, 5と7のコンタクトを含めた調整を行うことを試みた.そのため, 歯冠データを支台歯データに適応させるプログラム"ABCR-Y"を作製し, x, y, z三方向からのCG像によって, 歯冠部の大きさや位置の調整と, その3軸まわりの回転ができるようにして, 5, 7および隣接歯とのコンタクトの調整を行った.歯冠データと支台歯辺縁部の連結については, 歯冠端部データを3次のBスプライン関数を用いて滑らかに延長して, 辺縁部と交わらせた.しかし, 歯冠データの近遠心両端の4列位のラインデータについては, 延長しても辺縁部とは交わらない.そこで, 歯冠データの座標系を主座標として, このy座標がCRT面に対して垂直になるように座標変換した後, その画面内でマウスを用いてデータ点をマニュアル入力し, それをスプライン曲線で滑らかに結んだ.このような方法で, データベース歯冠の端部と支台歯の辺縁部を結合することがCAD操作として可能になった.今後, 対合歯との咬合関係も含めさらに改良を加えたCADシステムの開発を試みる予定である.
  • 熊田 勝一, 寺中 敏夫, 澤 直之, 花岡 孝治, 松澤 征, 岩本 次男, 尾田 善彦, 肥後 矢吉, 布村 成具
    1991 年10 巻6 号 p. 779-787
    発行日: 1991/11/25
    公開日: 2018/04/06
    ジャーナル フリー
    臼歯部コンポジットレジンのような脆性材料の破壊様式を評価する最も適切な方法は, 破壊靱性値を用いることである.近年, 著者らはリング試験片を使用した新しい破壊靱性値測定法を開発した.この研究の目的は, リング試験片の特徴を述べるとともに, 3種市販臼歯部コンポジットレジンの破壊靱性値を測定することである.リング試験片は, 疲労予亀裂の導入とその長さの制御が容易である.さらに, 相対亀裂長さ0.58≦(a+Ri)/Ro≦0.76の比較的広い範囲で応力拡大係数が一定であるため, 亀裂長さの正確な測定が不要である.破壊靱性値は, オクラシン(1.87±0.07MPam1/2)が, クリアフィルフォトポステリア(1.52±0.03MPam1/2)とP-50(0.88±0.05MPam1/2)と比較し最も高い値を示した.また, CV%の平均は2.7%と非常に安定した値が得られた.以上よりリング試験片による破壊靱性値測定は, 信頼性, 再現性があり極めて正確な方法であることが示めされた.
  • 中林 宣男, 宝田 建二, 小島 正芳
    1991 年10 巻6 号 p. 788-795
    発行日: 1991/11/25
    公開日: 2018/04/06
    ジャーナル フリー
    EDTA3-2(NH4/Fe)で前処理した象牙質に, 各種メタクリル酸エステルを添加したMMA-TBB系レジンを接着し, 添加モノマーが接着強さに与える影響を検討した.その結果, 2-ヒドロキシエチルメタクリレート(HEMA), トリエチレングリコールモノメタクリレート(TEGMMA)を3wt%添加した系で高い接着強さが得られた.これは, HEMA, TEGMMAの添加によってモノマーの拡散性が向上したためであることがSEM観察の結果わかった.またタンニン酸法により象牙質とレジンの接着界面付近を染色して観察したところ, EDTA3-2(NH4/Fe)処理した象牙細管内にはモノマーが拡散しやすく, 長いタグの生成が強く示唆された.
  • 今井 庸二, 坂村 昭彦, 門磨 義則
    1991 年10 巻6 号 p. 796-802
    発行日: 1991/11/25
    公開日: 2018/04/06
    ジャーナル フリー
    グルタルアルデヒド(GA)とヒドロキシエチルメタクリレート(HEMA)よりなるGLUMAプライマーは, 象牙質とレジンの接着に有効であることが知られている.GLUMAの作用メカニズム, あるいはGA, HEMAの役割についてはいまだ十分には説明されていない.そこで, GLUMAを理解するための研究の一環として, MMA-PMMA/TBBO系レジンを用いて象牙質との接着, GAあるいは脱灰象牙質シート存在下にTBBOによるMMAの重合を行った.EDTA処理の場合には, GAを含むプライマーは接着に有効であったが, HEMAのみのプライマーはほとんど効果がなかった.脱灰象牙質存在下でのTBBOによるMMAの重合実験から, 象牙質をGAで処理すると, 連鎖移動反応が起こりやすく, 象牙質へのMMAのグラフト重合が増加することが認められた.これらの結果から, GAと反応した象牙質コラーゲンへのMMAの連鎖移動メカニズムによるグラフト重合が, 象牙質とレジンの強い接着に関与していることが示唆された.
  • 細谷 誠, 片倉 直至, 高田 雄京, 飯島 一法, 本間 久夫
    1991 年10 巻6 号 p. 803-808
    発行日: 1991/11/25
    公開日: 2018/04/06
    ジャーナル フリー
    炭酸カルシウムをフィラーとして重付加型シリコーンゴム印象材に応用することを試み, それらの粘度やゴム硬化体の動的粘弾性, 引張特性に与える影響について検討した.先ず炭酸カルシウムをn-ヘキサン中で1%濃度のチタネートカップリング剤で表面処理した後, 水素化ポリジメチルシロキサンとビニルポリジメチルシロキサンからなるシリコーンプレポリマーに40%, 50%, 60%の配合比で混合し, ゴムベースを作製した.これらの粘度を円錐-円板型回転粘度計で測定した後, 硬化させた試料について動的粘弾性測定と引張試験を行った.その結果, 処理フィラーを用いたゴムベースの粘度は無処理フィラーを用いた場合より, かなり低下した.同時にゴム硬化体の貯蔵弾性率G'および損失正接tanδも表面処理によって小さくなるが, 引張特性に関してはあまり影響がなかった.このことはゴム硬化体が柔らかくしなやかになるばかりでなく, フィラーの高充塡化によって材料の低コスト化につながることを意味している.この点から, チタネートカップリング剤で表面処理した炭酸カルシウムフィラーの応用は, 新しいシリコーンゴム印象材を開発するのに有望であると思われる.
  • 片倉 直至, 高田 雄京, 飯島 一法, 細谷 誠, 本間 久夫
    1991 年10 巻6 号 p. 809-813
    発行日: 1991/11/25
    公開日: 2018/04/06
    ジャーナル フリー
    TiPd-Co系合金の腐食挙動を解明するための基礎データを得る目的で, Ti, Pd, CoおよびTiPd合金の電気化学的挙動について検討した.各鋳造体試料について, 0.9%NaCl水溶液中での37℃における自然電極電位とアノード分極の測定を行った.Pdは最も貴な自然電極電位を, Coは最も卑な電位を示した.Tiの電位は経時的に増加し, 5時間後には-0.03Vのかなり貴な電位になった.またTiPd合金は, TiとPdの中間の電位を示した.アノード分極の結果によれば, Pdは1.0V付近で電流密度の急激な増加がみられた.Tiは0.0Vから1.2Vまでは, 不動態化により電流密度はほとんど変化しなかった.これに対して, Coは最も耐食性に劣ることがわかった.TiPd合金の過不動態化の電位は約0.55Vであった.この電位は, 研磨終了後数日間室温に放置した試料では, 0.1〜0.15V程度貴の方向へ移行し, 電流密度も小さくなることがわかった.これらの結果は, 新しく開発されたTiPd-Co系形状記憶合金の耐食性を評価するうえで, 有益な示唆を与えるものと考える.
  • 堀口 敬司, 土井 豊, 金 昇孝, 若松 宣一, 足立 正徳, 井村 清一, 林 憲司, 行徳 智義
    1991 年10 巻6 号 p. 814-819
    発行日: 1991/11/25
    公開日: 2018/04/06
    ジャーナル フリー
    Type Iコラーゲンにあらかじめフォスビチンを架橋させ, これをβ-グリセロリン酸カルシウムとアルカリフォスファターゼの溶液に交互に浸漬することでアパタイトとコラーゲンの複合体を合成した.アパタイトの析出は石灰化溶液の種々の条件により左右されるが, 今回の研究ではアパタイト析出の最適条件を見い出すため, 酵素量, 蛋白量, 溶液の至適pHについて検討を行うとともに, フォスビチンのアパタイト析出過程に及ぼす影響についても考察した.その結果β-グリセロリン酸を用いた今回の系におけるアルカリフォスファターゼの至適pHは比較的高い値であり, またフォスビチンの溶液中における存在はアルカリフォスファターゼの活性を高め, より多くのリン酸カルシウム塩を析出させることに寄与していることが明らかとなった.
  • 細田 裕康, 尾上 成樹, 山田 敏元, 森上 誠, ミル・アフローザ・ ジャスミン
    1991 年10 巻6 号 p. 820-830
    発行日: 1991/11/25
    公開日: 2018/04/06
    ジャーナル フリー
    コンポジットレジン修復に際して, 充塡後のレジン表面を耐摩耗性のある滑沢な被覆によって被覆することができれば, 仕上げ研磨操作が簡略化され処置時間も短縮される.そこで, 今回, 新たに開発試作されたコンポジットレジン表面滑沢材GA-100について, 既に, 市販されているBell Feel Brightenerと比較しながら基礎的・臨床的に検討を加え, 以下のような知見を得た.1.GA-100の未重合層の幅径は約1.0μmであり, Bell Feel Brightenerの1.5μmと比較して未重合層の厚さは小さな値を示した.2.歯刷子摩耗試験において, GA-100の方がBell Feel Brightenerより耐摩耗性が高く, 摩耗面もGA-100の方が滑らかであり, 優れた耐摩耗性を有する材料であることが明らかとなった.3.歯刷子摩耗試験前後の光沢度測定より, 摩耗後の光沢の変化は, GA-100の方がはるかに少ないものとなり, 滑沢性の点でも優れた材料であることが明らかとなった.4.GA-100は, 付属の塗布用筆を用いて薄く塗布した場合, および塗布し軽くエアーブローした場合にはいずれも約8μm, 試片を垂直にたてて塗布した場合には約5μm, 薄く塗布し軽くエアーブローして光硬化させ二度繰り返した場合には約10μmであった.5.GA-100のダイナミック硬さは, Bell Feel Brightenerより高い値を示した.6.GA-100は表面の滑沢さや光沢が比較的良好に維持され, 臨床で広く用いられている他社のコンポジットレジンにも有効であることが明らかとなった.7.GA-100は, グラスアイオノマーセメント修復に際しての感水防止材兼表面滑沢材としても有用であることが明らかとなった.
  • 童 平, 猪越 重久, 山田 敏元, 細田 裕康
    1991 年10 巻6 号 p. 831-838
    発行日: 1991/11/25
    公開日: 2018/04/06
    ジャーナル フリー
    本研究では歯刷子摩耗試験前後の4種類のコンポジットレジンおよびアクリル板表面の粗さ値と光沢度を測定し, 表面の状態をSEMにより観察した.また, 併せて摩耗泥の種類の影響についても検討した.その結果:1)いずれのレジン試料において1万回の歯刷子摩耗より表面粗さ値は増大し, 光沢度は低下する傾向が認められた.2)4種類のレジンの中で最も小さな粗さ値および最も大きな光沢度を示したものはMFR型のSilux Plusであったが, Hybrid型のBR-100もSilux Plusに次いで良好な結果を示し, 両者の粗さ値の間に有意差が認められなかった.3)摩耗泥の別では, 歯磨材とグリセリンと水を混合したものが最も粗い摩耗面を作ることが明らかとなった.
  • 細田 裕康, 杉崎 順平, ハニラッサイ チョンタチャ
    1991 年10 巻6 号 p. 839-843
    発行日: 1991/11/25
    公開日: 2018/04/06
    ジャーナル フリー
    現在, コンポジットレジンと象牙質との良好な接着性能の実現を目指し, さまざまなボンディングシステムが組み込まれた製品が数多く市販されている.今回6種の市販ボンディングシステムを用いて, 牛歯唇側象牙質平坦面に対するPhotoClearfil Brightの引張り接着強さを測定した.その結果接着強さは高い順にTenure Solution(75.6kgf/cm2), Scotchbond 2(66.8kgf/cm2), Clearfil PhotoBond(60.0kgf/cm2), Gluma(35.7kgf/cm2), Mirage-Bond(33.7kgf/cm2), RestoBond 3(31.3kgf/cm2)であり, Tenure Solution, Scotchbond 2, Clearfil PhotoBondの3種のシステムは他の3種よりも有意に高い接着強さを示した.
  • 土居 寿, 米山 隆之, 小竹 雅人, 奥野 攻, 浜中 人士
    1991 年10 巻6 号 p. 844-849
    発行日: 1991/11/25
    公開日: 2018/04/06
    ジャーナル フリー
    チタンの機械的性質は, 含有する不純物元素の量によって大きく変化する.この研究では, チタン鋳造体の機械的性質と材料中の不純物の関係について検討した.純度の異なる5種類のチタンについて, リン酸塩系埋没材を用いて鋳造し, 引張試験および硬さ試験を行い, その機械的性質について検討した.純度の高いチタンを使用した場合, 引張強さは300MPa台で伸びは20%以上であり, ほぼタイプII金合金に相当する.他方, 不純物の多いチタンの場合, 伸びは減少するが引張強さは500MPa近くなり, タイプIV金合金に相当する.リン酸塩系埋没材を用いて鋳造した場合, 鋳造後の硬さはHv57〜68増加する.これらの硬さの増加は, 溶解および鋳造の際に材料中に侵入する不純物に起因するものと考えられる.これらの結果から, いわゆる純チタンと呼ばれるものでも, 適用する部位によって材料を選択する必要があると思われる.
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