歯科材料・器械
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23 巻, 3 号
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原著
  • 新谷 明一, 松田 哲治, 新谷 明喜, 中曽根 祐司
    2004 年23 巻3 号 p. 183-192
    発行日: 2004/04/25
    公開日: 2018/04/28
    ジャーナル フリー
    本研究は,有限要素法による応力解析に基づいて,下顎第一大臼歯欠損の歯冠用ハイブリッド型レジンブリッジを補強するグラスファイバーフレームの最適な形状を明らかにした.その結果,グラスファイバーの形状および配置を適切に選ぶことにより,最大主応力を歯冠用ハイブリッド型レジンブリッジにおける連結部下部鼓形空隙最深部ボンティック側の106.82MPaからグラスファイバー補強後の75.45MPaに減少させ,29%の応力値の低減が可能であることが示された.
  • 小森山 学, 高山 慈子, 野本 理恵, 三浦 英司, 細井 紀雄, 平野 進
    2004 年23 巻3 号 p. 193-199
    発行日: 2004/04/25
    公開日: 2018/04/28
    ジャーナル フリー
    本研究は口腔内で金属補綴装置が変色する原因とその表面状態がどのような変化を生じているかについて調べることを目的として,3名のボランティアの部分床義歯に金銀パラジウム合金と純チタンの2種類の金属試料を装着し,2ヵ月間通常通り使用してもらった.その後,各試料を撤去し,口腔内環境下での金属試料の表面性状や変色層の厚みを,走査型プローブ顕微鏡とX線電子分光分析装置(XPS)を用い,観察および測定を行った.付着物層の厚さには,個人差があり,変色した歯科用金属の最表面は,構成金属元素は検出されず,O,C,N,Sの元素が検出され,球状の付着物に覆われていると考えられた.XPS付属のアルゴイオンエッチング装置を使い,その付着物を除去し,純チタンではその付着物は数100nmの厚さであることは確認できたが,金銀パラジウム合金では付着物を除去できず,付着物層の厚さを確認できなかった.
  • 川瀬 博之, 川本 善和, 齊藤 仁弘, 西山 實, 桟 淑行, 松村 英雄
    2004 年23 巻3 号 p. 200-204
    発行日: 2004/04/25
    公開日: 2018/04/28
    ジャーナル フリー
    市販の歯冠用レジンは,重合条件により光重合型,光・加熱重合型および光・加熱加圧重合型に分類され,それらにより重合率が異なると考えられる.そこで重合条件の異なる5種の歯冠用レジンの重合性を比較するため,フーリエ変換赤外分光光度計を用いて重合前後の吸光度をシングルビーム法で測定し,残存二重結合量を求めて重合率を得た.重合率は,エナメル色ペーストでは42.2〜75.7%,デンチン色ペーストでは35.4〜84.7%の間で変化し,製品によりエナメル色とデンチン色間に有意差が認められるものもあった.重合条件による比較からみると,光・加熱加圧重合型(1種)が最も高い値を示した.次いで,光・加熱重合型(2種)が高く,光重合型(2種)はそれらに比較して有意に低かった.
  • 棚瀬 裕明, 篠田 耕伸, 高橋 好文
    2004 年23 巻3 号 p. 205-210
    発行日: 2004/04/25
    公開日: 2018/04/28
    ジャーナル フリー
    本研究は仮封材液中の内分泌撹乱物質であるフタル酸エステルを調べた.レジン系仮封材には40〜50%のフタル酸ジブチルあるいはブチルフタリルブチルグリコレートが含有されていることがわかった.混和直後の蒸留水および人工唾液へのフタル酸エステル溶出量を測定した結果,静置下では検出されなかった.混和直後に振盪を加えた場合,混和後20秒以内では溶出量は多いが,その後はかなり減少することがわかった.仮封材の硬化物をラットに経口投与したところ,ほぼ原型をとどめた形状で糞便中に排出され,フタル酸エステル投与量のほぼ92%以上が回収された.このことから,特に若年層を中心に使用される仮封材については初期硬化の終わる20秒以内での唾液との接触を避けることが必要であり,今後フタルエステル類を含まない材料の開発が必要であることが明らかとなった.
  • 原島 厚, 中 貴弘, 本多 宗曉, 山崎 淳史, 森山 明勲, 倉持 健一, 高橋 洋子, 山賀 谷一郎, 日比野 靖, 中嶌 裕
    2004 年23 巻3 号 p. 211-219
    発行日: 2004/04/25
    公開日: 2018/04/28
    ジャーナル フリー
    本研究は,劣化促進のために熱水中に浸漬後の支台築造用コンポジットレジンの機械的性質を調べた.実験には,6種の支台築造用コンポジットレジン(Table 1参照)を使用し,間接引張強さ(DTS)と破壊靭性値(KIC)の測定を行った.試料は,イオン交換水中に28日間,37℃で保管した群(Control),劣化を促進するため28日間ソクスレー抽出器に保管した群(Td)について行った.熱水による劣化は,DTS値ではClearfil photocore (CP)でKIC値ではClearfil core new bond (CN), CPにおいて有意差(p<0.05)を認めた.一方,DTS値においてCN, Core max II (MII), Bell feel core (BC), Unifil core (UC) Clearfil DC core (DC), KIC値においてMII, BC, UC, DCで,ControlとTd間に有意差は認められなかった(p>0.05).実験結果から,熱劣化させた各支台築造用コンポジットレジンは同一の劣化傾向を示さなかったが,劣化試験法の一つとして有効であると考えられた.
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