歯科材料・器械
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16 巻, 1 号
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原著
  • -合金の色, 陶材への着色, 硬さ, 熱膨張係数について-
    荒川 一郎, 吉田 隆一
    1997 年16 巻1 号 p. 1-19
    発行日: 1997/01/25
    公開日: 2018/04/27
    ジャーナル フリー
    合金色の改善と機械的性質の向上の両立を目的として, 10種類の金-白金-銀-銅系陶材焼付用合金を試作した.また, これら母合金に3 wt%のガリウム, スズをそれぞれ添加し, 母合金の組成と添加元素の効果について検討した.デギャッシング前後の合金色を調べた結果, 銅を含有する母合金は黒色化した.しかし, ガリウム添加により改善がみられた.試作合金上で焼成した陶材の着色状態を調べたところ銅による変色が認められたが, 母合金と添加合金とでは異なった色を示し, ガリウム添加合金が最も良好であった.硬さ(HV)は銅の添加率が上昇するほど大きくなったが, ガリウム添加, スズ添加により更に増大した.降温時の熱膨張係数は, 母合金では白金と銅の添加率に, ガリウム添加合金, スズ添加合金では白金の添加率に影響を受けた.
  • 平口 久子, 内田 博文, 中川 久美, 田辺 直紀, 土生 博義
    1997 年16 巻1 号 p. 20-26
    発行日: 1997/01/25
    公開日: 2018/04/27
    ジャーナル フリー
     レジントレーを使用した場合の, ビニルシリコーンゴム印象材による模型の再現性に及ぼす印象の冷却収縮の影響と印象の再加温の効果について検討した.なお, 印象の再加温は, 石こう注入前の印象体を口腔内温度の水中で5分間加温することによって行った.
     エポキシ樹脂製の, 円柱模型および両隣在歯を配した支台歯模型を原型として使用し, 模型の測定は, 三次元座標測定システムにより行った.
     その結果, レジントレーを使用した場合の印象の冷却収縮による模型の寸法変化は小さいことが分かった.また印象の再加温は, 模型の再現性を向上させなかった.
  • 大貫 佳鼓
    1997 年16 巻1 号 p. 27-37
    発行日: 1997/01/25
    公開日: 2018/04/27
    ジャーナル フリー
    近年開発された多用途金合金焼付用低溶陶材3種の機械的性質と焼成体の組織について, 従来の金属焼付用陶材と比較検討した.多用途金合金用に調製された陶材は, 従来の低溶陶材の焼成温度よりもさらに低温で焼成する.機械的性質としてビッカース硬さ, 破壊靱性値, 曲げ強さを測定し, 焼成体組織のX線回折分析, SEM観察, そしてEPMA分析を行った.焼成スケジュールの影響を調べるため, 2種類の焼成炉で試験片を作製したところ, 多用途金合金焼付用低溶陶材では細かい焼成スケジュールを管理する必要性が認められた.3種類の多用途金合金焼付用低溶陶材の硬さは640〜690 (Hv), 破壊靱性値は1.02〜1.30 MPa・m1/2, 曲げ強さは52〜94 MPaであり, 一般の低溶陶材と同等以上のものからやや劣るものまで, 試料間に有意差が認められた.組織観察, X線回折, EPMA組成分析の結果, 粉末および焼成体の組成と組織が機械的性質に影響していることが判明した.
  • 第2報 アミノ酸誘導体と歯質との反応について
    伊東 孝介, 鈴木 一臣, 鳥井 康弘, 井上 清
    1997 年16 巻1 号 p. 38-43
    発行日: 1997/01/25
    公開日: 2018/04/27
    ジャーナル フリー
     アミノ酸誘導体が象牙質接着におよぼす影響を調べるために, N-acryloyl aspartic acid (N-AAsp)のカルボキシル基の電離指数(pKa), N-AAsp水溶液処理歯面のpHの測定を行った.さらに処理象牙質面SEM観察およびN-AAsp水溶液とハイドロキシアパタイトとの反応生成物について検討した.
     N-AAspの2つのカルボキシル基のpKaはそれぞれ主鎖位が3.67, 側鎖位が4.19であった.
     N-AAsp水溶液処理象牙質面のpHは1分後で4.4, 3分後で4.7, 5分後で4.9であり, 時間経過とともに緩やかに上昇した.
     N-AAspはハイドロキシアパタイトと反応して塩を生成することが明らかになった.
     これらの結果から, N-AAspとハイドロキシアパタイトとの反応生成物が脱灰象牙質層に沈着し, 接着に影響をおよぼす可能性が示唆された.
  • -減圧下注入した埋没材スラリー注入量および操作時間からみたライナーの吸水性-
    廣瀬 英晴, 塩田 陽二, 山中 信幸, 池田 敏則, 中島 義雄, 西山 實
    1997 年16 巻1 号 p. 44-52
    発行日: 1997/01/25
    公開日: 2018/04/27
    ジャーナル フリー
    埋没材スラリーを減圧下で注入した鋳造用リング内での5群のセラミック系ライナー(A群:ロックウール系, B群:セラミックファイバー低温系, C群:セラミックファイバー標準系, D群:セラミックファイバー低温〜標準系およびE群:カオリン系)の吸水挙動について, 埋没材スラリー注入量および埋没材の操作時間を測定して検討した.その結果, ライナー15種およびアスベストリボン3種のδV(ライナーが吸水しないと仮定した場合より増加した埋没材スラリー体積)は, 0.96〜2.85 cm3であり, それぞれのライナーの空隙量の77〜106%であった.したがって, 減圧下でスラリーを鋳造用リングに注入した場合, スラリーからライナーに移行する水分量は, ライナーの空隙量でおおよそ表現可能であった.操作時間は, A, B, C, DおよびE群でそれぞれ順に, 703〜964, 746〜919, 831〜879, 653〜835および794秒を示し, アスベストリボンでは789〜854秒を示した.一方, ライナー内張りなしでは836秒を示した.したがって, 多種類のライナーの吸水挙動を検討する場合には, 操作時間をもとにして求めた実効混水比で検討する方法は不適当と判断された.
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