歯科材料・器械
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2 巻, 1 号
選択された号の論文の7件中1~7を表示しています
原著
  • 若狹 邦男, 山木 昌雄
    1983 年2 巻1 号 p. 1-7
    発行日: 1983/01/25
    公開日: 2018/12/22
    ジャーナル フリー
     歯科鋳造用非貴金属合金のなかで, Niをベースとする合金の組織と添加元素の影響を第1報で検討した.その結果, Ni-Mn 2元系合金の場合, 金属間化合物NiMnがinterdendritic region内に形成されるとともに, そのdendrite structureの二次のarm長さは30〜50 μmの幅広い範囲に分布した.Ni-Mn 2元系合金にCuを置換添加したNi-Cu-Mn 3元系では, dendrite structureの他にαCu-Mn共晶と金属間化合物NiMnのような複雑な組織が形成された.この3元系合金を基準として, Ag, SnおよびAl等の元素をそれぞれ単独に添加したとき, AgのAg-Cu共晶やSnによる金属間化合物Ni3SnやMn3Snの形成に比べて, Al添加の合金系では比較的単純なdendrite structure(Ni3Alが一部分見いだされた)が発生した.とくに, SnやAl添加の合金系では, Ni-Mn 2元系やNi-Cu-Mn 3元系よりも微細な2.5〜5.0 μm程度の二次arm長さをもつdendrite structureの発生することが判明した.
  • 宮崎 光治, 堀部 隆, 水上 義文, 井上 廣
    原稿種別: 本文
    1983 年2 巻1 号 p. 8-17
    発行日: 1983/01/25
    公開日: 2018/12/22
    ジャーナル フリー
     市販の2ペースト型のコンポジットレジン3種(Clearfil, Silar, Isopast)を選び, それらの硬化物中に残留する成分の定性および定量分析を高速液体クロマトグラフィーにて試みた.
     その結果は以下の様である.
    1) MeOH抽出液中で確認された成分はClearfil:15種, Silar:11種, Isopast:11種であり, それらのうち同定された成分は10種:TEGDMA, Bis-GMA, UDMA, GMA, DBP, BPO, TDEA, BA, BPA, Bis-GMA中間体であった.
    2) 溶出物の中で高率を占めた成分はモノマーおよび可塑剤であり, 次いで触媒や合成原料などであった.
    3) 1〜30日間の37℃水中浸漬中に溶出した成分は9種であり, それらの溶出傾向はTEGDMA>GMA, TDEA>BA, Bis-GMA中間体, BPA>Bis-GMA, UDMA, DBPの順序であった.
  • 田辺 直紀
    1983 年2 巻1 号 p. 18-44
    発行日: 1983/01/25
    公開日: 2018/12/22
    ジャーナル フリー
     アマルガム歯冠修復時のカービング難易性を, 材料の物理的性状の変化から求めるため, 表面性測定機を用いてカービングを行ない, これを数値化した.数値化には, 振動数, カービング力, カービング粗さの3変数を用い, 練和開始から2分〜24時間の経時変化を求めた.さらにカービング針の侵入度を測定し, カービング力との相関を求めた.操作要因の影響については, 水銀-合金比, 練和時間, 充填圧の3要因について, 実験計画法にもとづきL27(313)直交表を用いて, 上記3変数の検討を行なった.
     その結果, カーバビリティは3変数により数値化され, 製品ごとの特性を示した.特にカービングの不安定時期が存在し, 球状型合金アマルガムでは, 10分以後にカービングを開始することが好ましいことが認められた.さらに, カービング針の侵入度は, カービング力と正の相関を示し, 操作要因の影響は, 削片型に著しいことが認められた.
  • 土生 博義, 田辺 直紀, 平口 久子, 洪 慶豊
    1983 年2 巻1 号 p. 45-49
    発行日: 1983/01/25
    公開日: 2018/12/22
    ジャーナル フリー
     前報につづいて, 各種溶液中における銅の溶出量を原子吸光法で測定した.実験計画法に基づき, 3因子3水準をL27(313)直交表によってわりつけし, 結果を分散分析した.
     溶出銅量にとってすべての因子(溶液, 時間, 温度)が有意となり, 錫と同様に1%乳酸溶液中で最大の溶出を示した.経時的および温度的因子の影響は, 人工唾液中では認められず, 生理食塩水中では60℃で有意の溶出増加がみられたが全体に影響が小さく, 1%乳酸溶液中では両因子の影響が大きくあらわれた.
     最大溶出量は, 1%乳酸溶液中3ヵ月浸漬の約0.5 mg/cm2(錫の約1/2)であった.
  • 郭 永昌, 横山 雄一, 小島 克則, 小島 政芳, 門磨 義則, 増原 英一
    1983 年2 巻1 号 p. 50-57
    発行日: 1983/01/25
    公開日: 2018/12/22
    ジャーナル フリー
     メタクリル酸2, 2, 2-トリフルオロエチル(TFEMA)を含有する歯科用レジンを試作し, その機械的性質および諸物性を従来のメタクリル酸メチル(MMA)-ポリメタクリル酸メチル(PMMA)粉液重合型レジンと比較検討した.TFEMA-MMA塊状重合体では, TFEMA含有率が50wt%を越えると, 引張り強さおよび曲げ強さは次第に低下したが, 粉液重合法では, このような傾向は見られず, 粉成分としてポリTFEMA(PTFEMA), 液成分としてMMAを組み合わせたレジンの強度が優れていた.TFEMA含有率が30wt%を越えると, ブリネルかたさ, ヌープかたさは低下する傾向にあり, その傾向は塊状重合体の場合に顕著であった.水に対する接触角および吸水量は, 重合硬化方法には関係なく, 硬化したレジン中のTFEMA単位の濃度に依存した.PTFEMAレジンの吸水量は0.1 mg/cm2であり, コントロールの床用アクリルレジンと比較して約1/15であった.アルブミンのレジン表面への吸着試験からは, アルブミンの相対的な吸着量はコントロールの床用アクリルレジンと比較して, 粉液重合法によるフッ素化レジンの方が少なかった.
  • 木村 博, 荘村 泰治
    1983 年2 巻1 号 p. 58-65
    発行日: 1983/01/25
    公開日: 2018/12/22
    ジャーナル フリー
     レーザー技術の急速な進歩により歯学への応用も盛んになって来た.我々はレーザー光のう食部と健全部での穿孔能力の違いに注目し, レーザーの出力条件の制御によって, う食部のみを有効に除去しうる可能性を求めて本研究を開始した.レーザーはYAGを使用したが, 出力等を変え牛歯健全部に照射して, 種々の大きさの穴を形成する事ができた.また黒く着色する事で穴の体積は10〜50%増した.う食部との比較は人工う食により牛歯に一部白斑を生じさせて行った.その結果エナメル質ではう食部のみに穿孔が認められるという際立った違いを示し, 象牙質でも健全部のほぼ2倍の体積の穴が形成された.人歯エナメル質の人工う食部でも同様の結果が得られ, 自然う食部でも, 健全歯部の約30倍の体積の穴が形成される等明確な差が認められた.
  • 木村 博, 寺岡 文雄, 斉藤 隆裕
    1983 年2 巻1 号 p. 66-70
    発行日: 1983/01/25
    公開日: 2018/12/22
    ジャーナル フリー
     ポリメチルメタクリレート(PMMA)やポリサルホン(PSF)などの歯科用高分子に, 紫外線硬化型の高分子をコーティングし, 耐擦傷性やぬれ性について検討した.クロルベンゼンで処理したポリサルホン(PSF-CB)の耐擦傷性は悪いが, 紫外線硬化型の高分子(Perma Link, Unidic)をコーティングすることにより耐擦傷性は向上した.生理食塩水中でのブラッシングは乾燥状態でのブラッシングと比べると試料の摩耗量を減少させる.紫外線硬化型の高分子をコーティングすることにより耐擦傷性は向上するが, 硬さを上昇させるのにはあまり寄与していないように思われる.PMMAとPerma LinkはPSFやUnidicに比べるとグリセリンと生理食塩水に対して, 比較的ぬれやすい.
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