サンドブラスト, ワイヤ放電加工(Wire EDM), 陽極酸化処理を施したチタン(Ti)試料を実験に用いて, 硬質レジンとの接着強さを検討した.デンタカラーとニューメタカラーの2種の硬質レジン前装冠用コンポジットレジンを, それぞれが有するシリコータMDシステムと4-META系接着システムを用いてTi試料と接着させた.試験片は23℃大気中24時間保管, 37℃水中1ヵ月保管および37, 4, 37, 60℃のサーマルサイクルを10
4回付与した後, 剪断接着試験を行った.デンタカラー, ニューメタカラーとTi試料の接着強さは, 24時間保管のすべての条件において, コントロールとして用いたNi-Cr合金とほぼ同等の接着強さを示した.デンタカラーのTiとNi-Cr試料に対する接着強さは, 水中1ヵ月, サーマルサイクル付与後においても低下しなかった.しかし, ニューメタカラーの接着強さは, サーマルサイクル後に顕著に低下した.ワイヤ放電加工処理された試料は, デンタカラー, ニューメタカラーともに十分な接着強さを示した.しかし, 陽極酸化処理されたTi試料に対する接着は, 特に今回の実験におけるニューメタカラーで, 十分な強さを示さなかった.従って, コンポジットレジンに対する良好な接着を達成するためには, Tiの表面処理は重要であると考えられた.
抄録全体を表示