高い強度を要求される鋳造用タイプ4金合金において, 溶体化処理温度の違いが機械的性質に及ぼす影響については未だ不明な点が多い.そのため臨床応用された状態での鋳造用タイプ4金合金の諸性質を明確に論じることができない.本研究では市販鋳造用タイプ4金合金(イシフクキャスティングゴールドType4)の溶体化処理温度を600, 650, 700, 750, 800, 850, 900℃で10分間加熱したあと一定の条件で硬化熱処理を行い, ビッカース硬さ, 引張強さ, 伸び, 耐力, 結晶構造を調べ, 溶体化処理温度の違いが機械的性質に及ぼす影響を検討した.その結果, 軟化および硬化熱処理のビッカース硬さ, 引張強さ, 伸び, 0.2%オフセット耐力は溶体化処理温度が高くなると減少した.溶体化処理温度900℃引張強さの破断面SEM像では空孔が認められ, 溶体化処理温度700℃では欠陥のない組成を呈し, X線回折線からα単相であることが確認された.
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