歯科材料・器械
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23 巻, 1 号
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原著
  • 大川 成剛, 金谷 貢, 渡辺 孝一, 中野 周二, 宮川 修
    2004 年23 巻1 号 p. 1-7
    発行日: 2004/01/25
    公開日: 2018/04/28
    ジャーナル フリー
    二室型加圧鋳造システムにおける鋳造圧の立ち上がり速度は,鋳型内のアルゴンガスがいかに速く排気されるかにかかっている.本研究では,この鋳造システムにおける鋳造時の鋳型空洞の圧力変化を測定し,鋳型の温度と大きさが鋳造圧の立ち上がり速度および一定時間経過後の鋳造圧に及ぼす影響を検討した.さらに,改良型クルシブルを提案し,それが鋳型空洞の圧力変化に及ぼす影響も検討した.その結果,高い鋳型温度と大きい鋳型では鋳造圧の立ち上がり速度が顕著に小さかった.クルシブルの形状については有意な影響は認められなかった.ただ,従来型より改良型のクルシブルのほうが高い鋳造圧が作用した.
  • 平口 久子, 中川 久美, 内田 博文, 田辺 直紀
    2004 年23 巻1 号 p. 8-15
    発行日: 2004/01/25
    公開日: 2018/04/28
    ジャーナル フリー
    印象の消毒に関する研究の一環として,アルジネート印象の薬液スプレー消毒後密閉容器中保管が,片側顎堤断面模型の寸法精度および変形に及ぼす影響を検討した.アルジネート印象材10製品の100%相対湿度中2時間の寸法変化を測定した.その中から,収縮が大きいアローマファインDFIII,収縮が小さいアルギノプラストEM,膨張したアルフレックスを選択し,使用した.印象の薬液スプレーは,2%グルタルアルデヒド溶液,1%次亜塩素酸ナトリウム溶液とし,薬液スプレー後密閉容器中に2時間保管した後,石こうを注入した.その結果,100%湿度中での収縮の小さいアルジネート印象材製品を選択すれば,2%グルタルアルデヒド溶液,1%次亜塩素酸ナトリウム溶液のいずれでスプレー後密閉容器中に2時間保管しても模型の寸法精度および変形にはほとんど影響を及ぼさないことが判明した.
  • 長谷 博子, 松下 調子, 明田 喜仁, 大八木 薫博, 熊谷 崇行, 野浪 亨
    2004 年23 巻1 号 p. 16-20
    発行日: 2004/01/25
    公開日: 2018/04/28
    ジャーナル フリー
    二酸化チタン光触媒を利用して,義歯に付着した歯石やヤニの除去が可能であるかメチレンブルー,ヘマトポルフィリンおよびたばこのヤニを染色モデルとして検討した.二酸化チタンと微量の酸で二酸化チタン洗浄剤を調製した(以下二酸化チタン洗浄剤という.).この二酸化チタン洗浄剤により,lOppmのメチレンブルーを2分間で5ppm以下に脱色することができた.また二酸化チタン洗浄剤によりヘマトポルフィリンで染色した試験紙をL^*値は60程度から90近くに増加させた.a^*値は20近くから0以下に減少させ,ヘマトポルフィリンの赤褐色を完全に脱色することができた.更に,たばこのヤニは二酸化ヂタン洗浄剤による洗浄後のΔL^*値は14.43と高い値を示し,Δa^*,Δb^*値も-8.35と-8.15とそれぞれ脱色することができた.よって本研究により,安全かつ簡単に義歯を痛めることなく洗浄できることが期待できる.
  • 伊藤 正満, 尾藤 睦, 吉成 伸夫, 三谷 章雄, 川瀬 仁史, 松岡 成範, 杉石 晋, 野口 俊英, 河合 達志
    2004 年23 巻1 号 p. 21-28
    発行日: 2004/01/25
    公開日: 2018/04/28
    ジャーナル フリー
    本研究の目的は,新たに創製された新β型チタン合金(Ti-13Ta-29Nb-4.6Zr)の生体親和性を検討することである.Ti-13Ta-29Nb-4.6Zr, Ti-6Al-4V, Ti, Ni, Cu,をddyマウスの背部皮下に埋入した.埋入周囲組織における炎症性サイトカイン(IL-1α, β, IL-6 and IL-1ra)の発現状態を,免疫組織染色法にて検出した.Ti-13Ta-29Nb-4.6Zrによるすべてのサイトカイン発現細胞数は,Cu群とNi群より少なかった.しかし,10日目においてIL-1β発現細胞数がTi群とsham群より,IL-6がsham群より多くかった.結論として,Ti-13Ta-29Nb-4.6Zrは既存のチタン合金と同等の生体親和性を有している.しかし,構成元素の違いから,生体に与える影響はわずかではあるが異なることが推察された.
  • 田中 聡, 亘理 文夫, 飯田 順一郎
    2004 年23 巻1 号 p. 29-39
    発行日: 2004/01/25
    公開日: 2018/04/28
    ジャーナル フリー
    CPSAガラス繊維とBis-GMAレジンから繊維強化プラステック型(FRP)審美矯正ワイヤーを調製し,口腔内使用の前段階として,湿潤条件下での吸水動態と機械的特性の経時的変化を調べた.吸水は約3〜6時間で完了し,機械的特性は劣化した.AE測定により応力緩和試験中の荷重低下と試料内部の微視的破壊を関連づけて観測できた.湿潤条件では乾燥条件の5〜9倍のARが発生したが,カップリング処理により荷重の低下速度が軽減され,AEの発生時期を延ばすことができた.定たわみ曲げ負荷後の3点曲げ試験から得られた縦弾性係数,2mmたわみ時の荷重値は水中浸漬24時間後でほぼ半減し,永久変形量が増大した.これらの変化は2mm変形させるのに要したエネルギーにより単一の指標として評価できた.ガラス繊維に対するカップリング処理はマトリックスレジンとの界面剥離を抑制し,機械的特性の劣化の軽減に寄与した.
  • 西山 實, 廣瀬 英晴, 高橋 広明, 臼井 伸行, 高岡 謙次
    2004 年23 巻1 号 p. 40-45
    発行日: 2004/01/25
    公開日: 2018/04/28
    ジャーナル フリー
    温度プログラミングが可能なマッフル炉内に測定試料を設置し,マッフル炉扉耐火材の一部を切除して設置した試料観測用窓からCCDカメラを用いて,室温時および加温時の試料形状を観察記録し,その後画像解析を行うシステムを試作した.埋没材に鉛筆で基準点を付与した試験体では,室温から400℃までの形状変化を自動解析することが可能であった.埋没材の熱膨張による寸法変化を測定した結果は,熱機械分析装置で得た熱膨張率を測定荷重0に外挿した結果と良好な一致を示した.
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