本研究の目的は,新たに創製された新β型チタン合金(Ti-13Ta-29Nb-4.6Zr)の生体親和性を検討することである.Ti-13Ta-29Nb-4.6Zr, Ti-6Al-4V, Ti, Ni, Cu,をddyマウスの背部皮下に埋入した.埋入周囲組織における炎症性サイトカイン(IL-1α, β, IL-6 and IL-1ra)の発現状態を,免疫組織染色法にて検出した.Ti-13Ta-29Nb-4.6Zrによるすべてのサイトカイン発現細胞数は,Cu群とNi群より少なかった.しかし,10日目においてIL-1β発現細胞数がTi群とsham群より,IL-6がsham群より多くかった.結論として,Ti-13Ta-29Nb-4.6Zrは既存のチタン合金と同等の生体親和性を有している.しかし,構成元素の違いから,生体に与える影響はわずかではあるが異なることが推察された.
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