CaSO
4-SiO
2系固相反応に及ぼすLiCl, NaCl, KCl添加の影響を主としてX線回折により検討した.NaClの添加量が2〜5mol%までは, CaSO
4の反応率は増加傾向にあり, それ以後減少し始め, 7〜10mol%で最小となる.さらに添加量が増すと反応率は再び増加する.添加されたNaClはCaSO
4と共融後に一部複分解して硫酸塩となり, 石英と反応して石英中に固溶する.少量添加の場合の反応促進の機構として以下の二つが考えられる.一つは, 固溶したNa
+イオンがケイ酸塩ガラスにおける網目修飾イオンのように石英中に非架橋酸素を生じさせその反応性を高める.他は, 生成相(CaSiO
3)中にNa
+イオンが固溶し相内におけるCa
2+の拡散速度を増加させる.7〜10mol%で反応率が減少するのは, 石英のクリストバライトへの転移がCaSO
4との反応に優先するためと考えられた.さらに添加量が増すと, NaClが鉱化剤として働き, 液相を介して反応が起こるため, 反応率が再び増大する.LiCl, KCl添加の場合もNaCl添加の場合とほぼ同様の傾向となる.
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