SST は生徒指導や教育相談における重要手法とされるが,教師自身による実施は多いとはいえない.本研究では,教師によるSST の広範な実施に向けて,教師がSST に対してどのようなイメージを有するのかについて検討した.本研究は,①SST に対するイメージ(以下SST イメージ)とSST を自分で実施することに対するイメージ(以下SST 実施イメージ)の個別での検討,②SSTイメージとSST 実施イメージの関連の検討,③SST の経験の有無によるSST イメージやSST 実施イメージの相違についての3つの視点で検討を行うことを目的とした.教師160名に質問紙調査を行った結果,SST イメージとして「有意義」「個性否定」「変化期待」「個性発揮」の4因子,SST 実施イメージとしては,「意欲」「職場での実施可能性」「実施に対する自己効力感」「技術習得」の4因子がみいだされた.SST イメージは勤務校でのSST 実施経験の有無に関わらず全体的に良いイメージであった.一方,SST イメージの良さは,SST 実施への高い意欲にはつながりやすいが,技術習得や実施に対する自己効力感の高まりにはつながりにくいことなどが確認された.これらのことから,多忙な学校で教師が実施しやすく準備・実施コストが低いSST の開発の重要性が示唆された.
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