日本教育工学会論文誌
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47 巻, Suppl. 号
選択された号の論文の65件中51~65を表示しています
ショートレター
  • 荻布 優子, 川崎 聡大
    原稿種別: 研究論文
    2024 年 47 巻 Suppl. 号 p. 201-204
    発行日: 2024/03/20
    公開日: 2024/03/26
    ジャーナル フリー

    本研究では大学生のスマートフォン行動嗜癖自己評価尺度(風間ほか 2020)を用いてCOVID-19流行下における大学生のスマートフォン行動嗜癖の特徴を再検証することを目的とし,大学生269名を対象に調査を行った.探索的因子分析の結果,COVID-19流行以前とは一部異なる21項目6因子構成(離脱症状・過剰使用・自己支配性・対人関係の危機・生活への侵食・非制御な通話)となった.尺度全体での内的一貫性(α=0.883),および共分散構造分析において構成概念妥当性も概ね確認された(GFI=0.885,AGFI=0.848,CFI=0.903,RMSEA=0.061).生活様式の変容によって大学生はスマートフォンにより暴露されやすくなり,学修や余暇,対人関係の構築や維持のためにスマートフォンに対する希求度が変化したことが背景にあると考えられた.

  • 中尾 教子, 西村 広光, 登本 洋子
    原稿種別: 研究論文
    2024 年 47 巻 Suppl. 号 p. 205-208
    発行日: 2024/03/20
    公開日: 2024/03/26
    [早期公開] 公開日: 2023/10/06
    ジャーナル フリー

    本研究では,大学生の自己調整学習方略の獲得状況とプログラミング学習の成果との関連を明らかにするため,C 言語の講義を履修する学生を対象に質問調査を実施した.自己調整学習方略等の高低によって群分けし,期末試験の得点を分析した結果,「C 言語の習得状況の自己評価」「プログラミングに関する自己効力感」「プログラミングに関する内発的価値」「認知的方略・対話的方略・メタ認知的方略の要素を含む学習方略」の高群において期末試験の得点が有意に高かった.これらのことから,プログラミングに関する自己効力感や内発的価値を醸成することや自己調整学習方略の使用を高めることは,プログラミング学習に効果がある可能性が示唆された.

  • 村川 弘城, 中島 智秀
    原稿種別: 研究論文
    2024 年 47 巻 Suppl. 号 p. 209-212
    発行日: 2024/03/20
    公開日: 2024/03/26
    ジャーナル フリー

    本研究は,大富豪のカードの出し方に関する戦略をプログラムする教材を利用した教授法が,プログラミング的思考力に与える影響を明らかにすることを目的としている.この教授法は,自らの戦略をフローチャートに表すまでと,プログラムの2つの段階に分かれているため,それぞれの前後にあたる3時点において,プログラミング的思考力に関する質問を行い,t 検定で比較する.結果,全体としては事前と事後に,また,複数項目の各時点でも有意差が認められた.

  • 木野 裕太, 三井 一希
    原稿種別: 研究論文
    2024 年 47 巻 Suppl. 号 p. 213-216
    発行日: 2024/03/20
    公開日: 2024/03/26
    ジャーナル フリー

    小学生を対象に,学習者用デジタル教科書(DT-L)の活用に関する自由記述調査を行った.また,授業中に画面録画を行い,クラウド環境下における学習者用デジタル教科書の活用の特徴を調べた.自由記述の分類の結果,【DT-L の機能を生かして活用する】を含む4つの活用の特徴が示された.画面録画を分析した結果,学習者用デジタル教科書は,クラウドツールと連携することで教科書の図や表を同時双方向に整理・分析,まとめを行えることが示された.

  • 赤松 大輔, 中谷 素之, 川本 健太郎
    原稿種別: 研究論文
    2024 年 47 巻 Suppl. 号 p. 217-220
    発行日: 2024/03/20
    公開日: 2024/03/26
    ジャーナル フリー

    本研究では,海外留学による日本人高校生の英語学習観と学習方略使用の変化を検討した.英語圏の国に留学予定および留学中の日本人高校生75名を対象に調査を行い,海外留学を行う生徒における留学前と留学開始4か月後の時点間比較と,同一時点における留学開始4か月後の生徒と留学開始前の生徒の生徒間比較を行った.その結果,海外留学中の生徒は,留学前より活用志向の英語学習観が強く,精緻化方略の使用が多い傾向にあることが示された.さらに,媒介分析の結果,海外留学によって生じる精緻化方略の使用の増加は,留学中の活用志向の学習観の高まりによって一部生じる可能性が示唆された.

  • 宮西 祐香子, 長濱 澄, 川田 拓, 堀田 龍也
    原稿種別: 研究論文
    2024 年 47 巻 Suppl. 号 p. 221-224
    発行日: 2024/03/20
    公開日: 2024/03/26
    ジャーナル フリー

    文部科学省は,一斉授業と個別学習とを組み合わせた新しい学びの実現を目指している.しかし,一斉授業では,理解状況や能力・適性に応じた指導が行いにくい.本研究では,一斉授業におけるデジタル教科書の操作ログを用いて,累積操作数に対して時系列クラスタリングを行った.その結果,授業の進行から相対的に遅れるクラスタを把握した.さらに,そのクラスタに所属する生徒は教師の操作開始の指示から遅れて操作をしていることを確認した.今後の課題は,操作ログから得られた情報をフィードバックするシステムを開発し,教育支援に活かすことである.

  • 田嶋 晶子, 鈴木 克明, 戸田真 志, 合田 美子
    原稿種別: 研究論文
    2024 年 47 巻 Suppl. 号 p. 225-228
    発行日: 2024/03/20
    公開日: 2024/03/26
    [早期公開] 公開日: 2023/11/24
    ジャーナル フリー

    本研究は,スイスの語学学校における旅行の日本語コースを,旅行の文脈を残しながら日本文化を中心に学ぶコースへと改善することを目的とした.コースはゴールベースシナリオ(GBS)理論に沿って設計・開発し,その妥当性と有用性を検証した.その結果,eラーニングの主教材であるストーリー型教材のみの文化学習では中程度の学習効果となり,ストーリー型教材と課題,授業への参加,振り返りを組み合わせたブレンド型学習では高度な学習効果があげられることが示唆された.また,ストーリー型教材による疑似体験は学習の魅力を向上させられることが示唆され,教材を続けることに対して積極的な態度を育てられたことも示唆された.

  • 成績と振り返り,Grit に着目して
    阿部 文男, 川田 拓, 長濱 澄, 齋藤 玲, 堀田 龍也
    原稿種別: 研究論文
    2024 年 47 巻 Suppl. 号 p. 229-232
    発行日: 2024/03/20
    公開日: 2024/03/26
    [早期公開] 公開日: 2024/01/19
    ジャーナル フリー

    本研究の目的は,高校数学のCBT において数式入力に用いるスクリーンキーボード型のパレットの使用感,並びにそこでの生徒が持つ特徴の違いを明らかにすることである.そのためにパレットを実際に使用したあとの振り返りに加えて,CBT の成績がPBT の成績と比べて相対的に低かった生徒の特徴の一つとして,Grit の得点に着目し分析を行った.その結果,使用したパレットは,数式の入力に負担感を持った者が多いこと,また参考までに留めるが,CBT の得点が低い生徒はGrit の下位尺度(一貫性)の得点が低い傾向にあったことが分かった.これらの結果を受けて,今後のパレットの改善点や,出題の際に必要な留意点について考察した.

  • 岡本 恭介, 安藤 明伸, 草 陽介
    原稿種別: 研究論文
    2024 年 47 巻 Suppl. 号 p. 233-236
    発行日: 2024/03/20
    公開日: 2024/03/26
    ジャーナル フリー

    教育現場において教育データの活用方法への関心が高まっている.中でも効果・効率的な学びを促進するために教育データを分析する手法としてラーニングアナリティクスが注目されている.本研究では,高等学校の教科「情報」の授業でGoogle Classroom でやり取りされるプログラミング学習の課題で取得された教育データにおける各ファイルに付与されるメタデータに着目した.そのメタデータから,授業の改善に結びつくデータとその分析方法を検討することを目的とした.本研究の結果として,Google Classroom を利用し独学で進める学習において,難しい学習内容や課題で,課題提出が遅れる傾向にある学習者は,簡単な学習内容を理解していないと考えられ,そのような学習者を自動的に特定できる可能性が示唆された.

  • 初年次段階の半期経過時点に着目して
    野中 陽一朗
    原稿種別: 研究論文
    2024 年 47 巻 Suppl. 号 p. 237-240
    発行日: 2024/03/20
    公開日: 2024/03/26
    [早期公開] 公開日: 2023/10/06
    ジャーナル フリー

    本研究の目的は,時間管理と学習を架橋するラーニング・ブリッジング(以下,LB)に着目し,初年次段階の半期経過時点における大学生のタイプを検討することであった.そのため,初年次段階の教職課程必修科目の受講生を対象とし,半期経過時点での質問紙調査を実施した.調査の結果,時間管理とLB に基づく5つの特徴的なタイプを見出した.各タイプは,分析対象者内での相対的な位置づけではあるが,時間管理だけでなく,LB という学びの視点を併せた初年次段階の半期経過時点における大学生の実態の一側面を顕在化したものであった.各タイプ間の学習の質と量の差異に鑑み,時間管理とLB に基づく大学生に対する学習支援について考察した.

  • 萩原 浩平, 丸山 浩平, 森本 康彦
    原稿種別: 研究論文
    2024 年 47 巻 Suppl. 号 p. 241-244
    発行日: 2024/03/20
    公開日: 2024/03/26
    [早期公開] 公開日: 2024/01/10
    ジャーナル フリー

    本研究では,学びの振り返りのテキストデータを用いた教師あり学習と形態素解析による資質・能力の育成に関する記述抽出手法を開発し,システムへ実装した.本システムは,様々な記述で構成されるテキストデータから教師あり学習により資質・能力の育成に関係がある記述を選び出し,その記述がどの資質・能力に当てはまるかを資質・能力ごとに定めたユーザー辞書を用いた形態素解析により判断して記述を抽出する.抽出結果を用いることで,資質・能力ごとの育成状況を可視化できるようになり,育成状況の継続的な把握を支援できると期待される.

  • 舩越 亮太
    原稿種別: 研究論文
    2024 年 47 巻 Suppl. 号 p. 245-248
    発行日: 2024/03/20
    公開日: 2024/03/26
    ジャーナル フリー

    本研究の目的は,高校生および大学生の有する数学・理科に関する概念構造を明らかにすること,および教育段階や数学・理科に対する学業的自己概念が概念構造へと与える影響を明らかにすることである.本研究では,中学校数学科で学習する「比例」「y=ax2」単元と中学校理科で学習する「運動の規則性」単元に着目した.クラスタ分析および多次元尺度構成法を用いた分析の結果,学業的自己概念および教育段階が高くなるほど,教科の枠組みにとらわれずに概念を結びつけられるようになることが示唆された.

  • 豊田 佐和子, 登本 洋子, 高橋 純
    原稿種別: 研究論文
    2024 年 47 巻 Suppl. 号 p. 249-252
    発行日: 2024/03/20
    公開日: 2024/03/26
    [早期公開] 公開日: 2023/11/24
    ジャーナル フリー

    デジタル・リーディングの指導への示唆を得るため,2010年以降発行されたデジタル・リーディングに関する文献のレビューを行った.その結果,デジタル・リーディングには,媒体の操作性や本人のコンピュータの操作スキルが影響しており,文章理解については,電子媒体と紙媒体で差異はなく,どちらの媒体での指導も効果が見込めること,情報を探し出す読みについては,電子媒体でコンピュータの操作スキルとともに指導する必要があることが示唆された.

  • 長濱 澄, 浅見 隆平, 宮西 祐香子, 奥本 隼, 森田 裕介, 堀田 龍也
    原稿種別: 研究論文
    2024 年 47 巻 Suppl. 号 p. 253-256
    発行日: 2024/03/20
    公開日: 2024/03/26
    ジャーナル フリー

    本研究では,主観的難易度に関するタギング機能を実装した映像視聴プラットフォーム上でスライド型映像教材を視聴させた際のタギング機能の効果について実験的に検討した.実験では,大学生60名をタギング群(タギング機能を活用する群)と統制群に振り分け,それぞれの条件下におけるスライド型映像教材の視聴操作及び学習効果を比較した.その結果,理解度テスト,及び,映像教材の視聴時間については,タギング機能による効果は見られなかった.他方,タギング群においては,頭出しにかかる時間が,統制群に比べて,有意に短かった.これは,タイムライン上にタグを付与することで視聴したい箇所が明確になったほか,ジャンプ操作が,送りやスキップ操作の代替となったことが要因として考えられる.

  • 山地 弘起, 丹羽 量久
    原稿種別: 研究論文
    2024 年 47 巻 Suppl. 号 p. 257-260
    発行日: 2024/03/20
    公開日: 2024/03/26
    ジャーナル フリー

    メタ認知の大学生向けの代表的な尺度であるMAI の短縮版を作成することを目的に,大学生439名を対象に,MAI58項目版への回答を求め,またそのうち204名の定期試験の成績をパフォーマンス指標として尺度の基準関連妥当性を検討した.その結果,先に作成した短縮30項目版を,メタ認知全般と学び方の対処という2つの下位尺度からなる短縮23項目版に再構成することができた.先行研究での短縮版ではメタ認知の知識面と行動面の2下位尺度を見いだしていることから,本研究で異なる内容の下位尺度となった点は,原尺度の翻訳の仕方や文化差,回答者の特性等を考慮して更に検討する必要がある.

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