日本栄養・食糧学会誌
Online ISSN : 1883-2849
Print ISSN : 0287-3516
ISSN-L : 0287-3516
63 巻, 6 号
選択された号の論文の3件中1~3を表示しています
報文
  • 永井 成美, 菱川 美由紀, 三谷 信, 中西 類子, 脇坂 しおり, 山本 百希奈, 池田 雅子, 小橋 理代, 坂根 直樹, 森谷 敏夫
    2010 年 63 巻 6 号 p. 263-270
    発行日: 2010年
    公開日: 2011/02/15
    ジャーナル フリー
    本研究の目的は, 若年女性の肌状態に栄養, 生理学的要因が関与するかどうかを検討することである。横断的研究として, 肌状態, 生理学的検査, 2日間の食事調査, 精神状態, ライフスタイルに関するデータを皮膚疾患のない54名 (2022歳) の女子学生より得た。肌状態と生理学的検査項目 (体温, エネルギー消費量, 自律神経活動) は非侵襲的手法により測定した。統計解析の結果, 角層細胞面積とエネルギー代謝, 角層水分量とビタミンA・B1摂取量, 交感神経活動指標に関連が認められた。バリア機能の指標である経皮水分蒸散量と炭水化物, ビタミンB1, 野菜摂取量にも関連が認められた。また, 肌状態はメンタルな面や自宅での冷暖房使用とも関連していた。以上の結果から, 若年女性の肌状態には栄養的な因子とともに活発な代謝と自律神経活動が関与することが示唆された。
  • 山田 典子, 吉村 裕之
    2010 年 63 巻 6 号 p. 271-278
    発行日: 2010年
    公開日: 2011/02/15
    ジャーナル フリー
    最近, 冷え症者と非冷え症者を判別分析により識別する指標を確立した。本研究では, それらの指標で識別した冷え症の女子学生24名を対象に, プラセボ群, ローヤルゼリー(RJ)低用量摂取群(1.4 g/day), RJ高用量摂取群(2.8 g/day)を無作為に8名ずつ割り振り, 二重盲検試験法により2週間摂取してもらった。冷え自覚症状の程度は, 冷え症関連質問紙および温感質問紙で評価した。腋窩温度, 末梢皮膚血流動態, 手指皮膚表面温度, 緩和寒冷ストレス負荷後の皮膚表面温度の経時的変化なども, RJ摂取前および摂取後2週間目に測定した。その結果, 手部・足部・腰部において, RJを摂取後, 温かく感じていることが判明した。また, 高用量のRJ摂取群では, 安静時の手指皮膚表面温度が有意に上昇し, 腋窩温度と皮膚表面温度との差も小さくなった。RJ摂取群は, 緩和寒冷ストレス負荷後の皮膚表面温度を速やかに回復した。
研究ノート
  • 永井 成美, 山本 百希奈, 御堂 直樹, 磯村 隆士, 脇坂 しおり, 森谷 敏夫
    2010 年 63 巻 6 号 p. 279-285
    発行日: 2010年
    公開日: 2011/02/15
    ジャーナル フリー
    本研究の目的は, スープ摂取後の安堵感(心がほっと安らぐ感覚)の定量的評価を行い, スープの種類による安堵感の違い, および安堵感に影響を及ぼす心理的, 生理的要因を検討することである。予備試験では, 訓練された6名のパネルによる官能検査を4種類のサンプル(コーンポタージュ[90 kcal], チキンコンソメ[43 kcal], および等エネルギーで風味に乏しいコーン・プラセボ, チキン・プラセボ)について行い, 各サンプルの特性を位置づけた。本試験では, 前夜から絶食した11名の女性(22.6±0.3歳)に, スープサンプルを朝食として, 異なる4日間にランダムな順序で負荷した。安堵感スコア, 満腹感スコア, 心拍数, 交感・副交感神経活動(心拍変動解析による), エネルギー消費量(呼気ガス分析による)を, スープ摂取前および摂取1時間後まで経時的に測定した。サンプルへの嗜好スコアは, コーンポタージュ, チキンコンソメの順に高く, 両プラセボで最も低かった。スープ摂取後の安堵感は, コーンポタージュでは他のスープサンプルより有意に高値を示した。安堵感は, 嗜好スコア, 満腹感スコア, 心拍数と正相関し, 副交感神経活動と負の相関を示した。本結果から, コーンポタージュ摂取後の高い安堵感には, スープへの嗜好性, および摂取後の満腹感と心拍数の上昇が関連していることが示唆された。
feedback
Top