日本栄養・食糧学会誌
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51 巻, 4 号
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  • 辻原 命子, 谷 由美子
    1998 年 51 巻 4 号 p. 157-163
    発行日: 1998/08/10
    公開日: 2009/12/10
    ジャーナル フリー
    9週齢の Wistar 系雄ラットにユッカサポニンを投与し, 脂質代謝に及ぼす影響について, コレステロール吸収抑制効果の知られている大豆サポニンおよび食物繊維のコンニャク精粉と比較し, さらにユッカサポニンとコンニャク精粉の同時投与の効果もしらべた。結果は以下のとおりである。
    ラットを対照群, ユッカサポニン群, 大豆サポニン群コンニャク精粉群およびユッカサポニン・コンニャク精粉群の5群に分け, 4週間コレステロール添加の高脂肪食で飼育し, 後半の2週間に試験食を投与した。対照群に比べて飼料摂取量は, 各群とも差がなかったが, コンニャク精粉群とユッカサポニン・コンニャク精粉群は腹腔脂肪率が減少した。ユッカサポニン群とユッカサポニン・コンニャク精粉群は糞中コレステロール排泄率が増加し, 血清および肝臓 Chol が低下した。大豆サポニンとコンニャク精粉群は糞中コレステロール排泄率の増加は認められなかったが, 大豆サポニン群は血清T-chol が低下した。肝臓のTL, Chol およびTGはユッカサポニン群で減少し, ユッカサポニン・コンニャク精粉群でさらに減少した。
  • 村田 卓士, 久野 友子, 穂積 正俊, 玉井 浩, 高木 雅博, 上脇 達也, 伊東 禧男
    1998 年 51 巻 4 号 p. 165-171
    発行日: 1998/08/10
    公開日: 2009/12/10
    ジャーナル フリー
    卵殻カルシウムを添加したチョコレートおよび卵殻カルシウムを含まないチョコレートをヒトに投与し, 糞便中総脂質, 脂肪酸, カルシウムを測定するとともに, その安全性について検討を行った。
    1) 卵殻カルシウムを添加したチョコレート摂取群(Ca添加群) は, 卵殻カルシウムを含まないチョコレート摂取群 (コントロール群) に比して糞便中総脂質が有意に高値であった。
    2) 糞便中カルシウム濃度と糞便中総脂質濃度は, 有意な正の相関関係にあった。
    3) 脂肪酸分析の結果, Ca添加群は, コントロール群に比してパルミチン酸およびステアリン酸の吸収率が有意に低値であった。
    4) 試験期間中, 2群間で血清中各種脂質, カルシウム, リン, 脂溶性ビタミンに有意な変動はなかった。
    5) いずれのチョコレートの摂取期間中も重篤な副作用は認めなかった。
    以上より, ヒトにおいて卵殻カルシウムはチョコレート中に含まれる脂質の吸収抑制効果を示すことが示唆された。
  • 永田 純一, 寺岡 聡, 屋 宏典, 知念 功
    1998 年 51 巻 4 号 p. 173-181
    発行日: 1998/08/10
    公開日: 2009/12/10
    ジャーナル フリー
    SSHの血清 Chol 濃度低下作用を調べるため, ラットに大豆外皮および大豆外皮由来ヘミセルロースを与え, 血清脂質濃度と糞中排泄ステロイド量および盲腸内容物ステロイド量に及ぼす影響を調べた。
    盲腸が存在するラットにおいてSSH摂取は, 有意な盲腸重量の増加と盲腸内pH低下を示し, 血清 Chol 濃度は7日目より有意に低い値で屠殺時まで低い値を維持した。一方糞中ステロイド排泄亢進は観察できなかった。また盲腸内ステロイド量は食物繊維の影響を確認できなかった
    盲腸切除術を行った動物においてSSH摂取は, 血清 Chol 濃度に対し Sham-ope 群とほぼ同様の濃度を示したが, 糞中ステロイド排泄に各群間で差を認めなかった。
    以上の結果より盲腸は血清Chol濃度よりむしろ糞中排泄ステロイド量に影響することが明らかとなった。今後, 肝外組織における Chol および胆汁酸プールサイズと血清脂質濃度の関連性が検討課題と思われる。
  • 近藤 義和
    1998 年 51 巻 4 号 p. 183-188
    発行日: 1998/08/10
    公開日: 2009/12/10
    ジャーナル フリー
    DFをAOACの酵素重量法によって測定する場合に, その主要成分であるペクチンの回収率がきわめて低いことを確認したので, その原因を明らかにし, 酵素重量法を修正した簡便な方法を提案した。
    1) ペクチンは弱酸性で安定であるが, pH 5以上で加熱すると崩壊した。
    2) 食物試料の酵素消化および消化産物の除去によるDFの回収は透析膜を用いる方法を採用した。
    3) 食物試料をジメチルスホキシドに加熱溶解し, デンプンを除去するために, 耐熱α-アミラーゼをpH4.7, 70℃で反応させる条件を選択した。グルコアミラーゼ反応は不要であった。
    4) タンパクを消化除去するためのプロテアーゼ反応によりペクチンは崩壊し, またタンパク質を完全に除去できず, さらにタンパク質の残存がDF測定値に無関係であったので, プロテアーゼ反応を省略した。
    5) DF測定にアミラーゼ反応一段階のみを含む簡便な測定法を提案した。
  • 杉村 洋一郎, 山元 一弘
    1998 年 51 巻 4 号 p. 189-193
    発行日: 1998/08/10
    公開日: 2009/12/10
    ジャーナル フリー
    グルタチオン高含有酵母エキスの経口摂取が, 組織障害の抑制, さらには障害組織において低下したGSHレベルの回復に対して有効であることを実証するため, アセトアミノフェン (AAP) 大量投与ラットを用いたモデル系で検討を行い, 以下の結果を得た。
    1) GSH高含有酵母エキス (GYE: GSH=10.9% (w/w), GSSG=2.0%) の経口摂取は, AAP大量投与により低下した肝GSHの回復促進効果, およびそれに伴う肝障害抑制効果を投与量依存的に発揮した。グルタチオン含有量の低い通常のパン酵母エキス (GSH=0%, GSSG=0.5%) には効果がほとんど認められなかったことから, GSHを高含有するGYEの栄養生理学的な有用性が明らかとなった。このGYEの効果には, 生体へのグルタチオン供給源としての作用が大きく関与していると考えられるが, 含有するGSH量から期待される以上の肝GSH回復促進および肝障害抑制効果を発揮した点から, GSH以外の成分も寄与していることが示唆された。
    2) GSSG高含有酵母エキス (GSH=0%, GSSG=12.9%) の経口摂取にも, それ自体に含まれる量と等量のGSSGと同程度の肝GSH回復促進および肝障害抑制効果が認められ, その生体へのグルタチオン供給源としての有用性が確認された。
  • 吉田 恵子, 四十九院 成子, 福場 博保, 田所 忠弘, 前川 昭男
    1998 年 51 巻 4 号 p. 195-200
    発行日: 1998/08/10
    公開日: 2009/12/10
    ジャーナル フリー
    ブラックマッペ, その発芽体, およびブラックマッペ抽出粉末試料のペプシン加水分解物中のACE阻害活性を調べ, ブラックマッペに含まれる阻害因子について精製を試みた。またペプシン加水分解物をSHRに投与し, 生体内での効果をも検討した。
    1) ブラックマッペおよびその発芽体の抽出液にACE阻害活性が認められた。
    2) この物質を精製したところ, ゲル濾過より分子量は400~800と推定された。またおもな阻害因子は逆相カラムには吸着されず, 水系の溶媒で溶出し親水性の物質と推察された。
    3) この阻害因子はペプシンで分解されなかった。またブラックマッペ抽出物中のタンパク質を, ペプシン処理した加水分解物には, 活性が認められなかった。
    4) ブラックマッペ抽出粉末試料のペプシン加水分解物を, SHRに経口および腹腔内投与し血圧降下を検討したところ, 顕著な血圧降下が認められた。
  • 千葉 大成, 高嵜 みさお, 増山 律子, 上原 万里子, 菅家 祐輔, 鈴木 和春, 五島 孜郎
    1998 年 51 巻 4 号 p. 201-206
    発行日: 1998/08/10
    公開日: 2009/12/10
    ジャーナル フリー
    鉄欠乏食を4週間投与して経時的に観察を行ったところ, 動員できる鉄が存在している鉄欠乏の初期 (1, 2週目) では, 酸化一次生成物である肝中PCOOH量や酸化二次生成物であるTBARS量には変化がみられなかった。しかし, 鉄が枯渇した状態 (4週目) では肝中PCOOH量が増加し, TBARS量が増加傾向を示した。その理由として, 動員できる鉄が存在する状態ではXOD活性には変化がみられないが, 鉄が枯渇した状態ではXOD活性が上昇したことやサイトゾール分画中の銅が過剰に存在し, また, Cu, Zn-SODやPHGPXなどの抗酸化系酵素の活性が低下したことが挙げられる。このような状態で肝の脂質過酸化反応は進行されることが示唆された。
  • 梶本 五郎, 村上 智嘉子
    1998 年 51 巻 4 号 p. 207-212
    発行日: 1998/08/10
    公開日: 2009/12/10
    ジャーナル フリー
    各種の脂肪酸および抗酸化剤や過酸化物分解剤を添加した油脂の酸化に伴う揮発性分解生成物中の有機酸の生成割合について検討した。
    1) オレイン酸, リノール酸およびα-リノレン酸の各メチルエステルのランシマット法で求めた変敗点 (誘導時間I.T.) は0.36, 0.22, 0.1時間であった。自動酸化時間 (0.5, 1.0および1.5時間) ごとの揮発性分解生成物中のギ酸, プロピオン酸, イソ吉草酸などの有機酸生成量はリノレン酸メチルエステルで最も多く, ついで, リノール酸メチルエステル, オレイン酸メチルエステルの順であった。一方, パルミチン酸とステアリン酸の飽和脂肪酸メチルエステルでは450時間自動酸化させてもI.T. は得られず, 有機酸も検出されなかった。
    2) 抗酸化剤としてTBHQ, 過酸化物分解剤としてチオジプロピオン酸およびチオ尿素を添加した油脂のI.T. はいずれも延長され, ギ酸, プロピオン酸, イソ吉草酸などの有機酸も各I.T. を示す数分前から生成した。
    3) トコフェロールフリー大豆油のI.T. は著しく短縮され, 同時にイソ吉草酸も早い段階から生成した。トコフェロールを添加することによりI.T. は延長され, イソ吉草酸はI.T. までは生成しなかった。
    4) 過酸化物価98および224meq/kgの自動酸化油に比べて, 過酸化物を熱分解処理した油脂では, 実験開始10分, 20分後のギ酸とイソ吉草酸の生成はほとんど認められなかった。
    以上の結果から, 油脂の酸化により生じた過酸化物がさらに分解し, その二次酸化生成物としてギ酸, プロピオン酸, イソ吉草酸などの有機酸が生成し, それらの有機酸が導電率の上昇を促すことを明らかにした。
  • 武田 忠明, 真嶋 光雄, 奥田 拓道
    1998 年 51 巻 4 号 p. 213-217
    発行日: 1998/08/10
    公開日: 2009/12/10
    ジャーナル フリー
    サケ鼻軟骨よりサケCSを白色粉末として調製した。次いで, このサケCSの一部をヒアルロニダーゼで消化し, その消化産物は二糖から十糖までの糖鎖長の異なる偶数オリゴ糖の混合物であることを確認した。得られたサケCSおよびそのオリゴ糖混合物に対して, ラットの空腸刷子縁膜小胞を用い, それら糖鎖のGlc腸管吸収阻害活性を検討した。その結果, オリゴ糖サイズのサケCSは native なものに比して, Glcの腸管吸収阻害活性の低減することが示された。したがって, 難消化性高分子物質としてのサケCSは,Glcの腸管吸収を阻害して肥満の改善作用をもつことが示唆された。
  • 日高 智美, 野口 忠
    1998 年 51 巻 4 号 p. 219-221
    発行日: 1998/08/10
    公開日: 2009/12/10
    ジャーナル フリー
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