「日本人の食事摂取基準2020年版」は, 健康の保持・増進, 生活習慣病 (高血圧, 脂質異常症, 糖尿病, 慢性腎臓病) の発症予防および重症化予防に加えて, とくに高齢者の低栄養予防やフレイル予防も視野に入れた策定が行われた。エネルギーについては, 摂取量と消費量の出納バランスが適切なレベルで維持されている状態を示す指標としてBMIを採用した。目標とするBMIの範囲は, 観察疫学研究で最低死亡率を呈するBMIをもとに4つの年齢階級別に設定し, 高齢者 (65歳以上) では, 実際のBMIの分布や肥満に伴うdisabilityのリスク等も考慮した。本稿では, エネルギーに関する概要とともに今後の課題をまとめた。
本研究では若年成人における主食・主菜・副菜の揃った食事と関連する食習慣について明らかにすることを目的とし, 平成28年度ひょうご食生活実態調査に参加し, 回答に欠損のない20, 30歳代の男女343名のデータを解析した。主食・主菜・副菜の揃った食事 (1日2回以上) の頻度により, 高頻度群 (週4日以上) と低頻度群 (週3日以下) に分け, 食習慣項目をカイ二乗検定で比較した後, 属性項目で調整した二項ロジスティック回帰分析を行った。その結果, 高頻度群, 低頻度群の人数と割合はそれぞれ227 (66.2%), 116 (33.8%) であった。二項ロジスティック回帰分析の結果, 朝食摂取頻度 (週4日以上), 外食頻度 (週3回以下), 米飯の食事摂取頻度 (朝食, 昼食, 夕食) (5日以上) の人は, そうでない人と比較して高頻度群の割合が有意に多かった。以上より, 朝食摂取頻度や米飯の摂取頻度が高いこと, 外食頻度が低いことは主食・主菜・副菜の揃った食事頻度が高いことと関連することが示唆された。