アロエベラ葉肉から機能性成分として同定した植物ステロール類 (以下, アロエステロール) について, 生体の恒常性維持に重要な役割を果たす皮膚機能に着目し, 経口摂取による効果を検討した。ヒト皮膚由来線維芽細胞をアロエステロール存在下で培養する in vitro 試験により, コラーゲンとヒアルロン酸の合成と産生が促進されることを明らかにした。また, in vivo での検討において, 紫外線による皮膚の水分量や弾力の低下が予防され, コラーゲン量の低下とマトリックスメタロプロテアーゼ (MMP) 過剰産生が抑制されたことから, ヒトでの効果を検証するため無作為化プラセボ対照二重盲検並行群間比較試験を行った。その結果, アロエステロール含有食品の12週間摂取が, 皮膚の保湿力を高めて肌の潤いを保つとともに, 真皮コラーゲンを増やして皮膚弾力性を維持することを確認した。細胞からヒトまでの試験結果から, アロエステロールが皮膚の健康の維持, 増進に役立つ機能性食品素材として有用であることが明らかとなった。
高脂肪食摂取時のビタミンD制限における, 雄性ラットの週齢の違いによる体組成ならびに骨強度への影響について検討した。7週齢 (y-) または14週齢のラットをそれぞれ基準食 (y-C, C) 群, ビタミンD制限食 (y-DR, DR) 群, 高脂肪食 (y-F, F) 群, 高脂肪・ビタミンD制限食 (y-FDR, FDR) 群に分けた。28日間の実験食投与の結果, 7週齢または14週齢のいずれにおいても, 高脂肪食摂取により体脂肪量の有意な増加が認められ, 筋肉量はビタミンD制限によって有意に低値を示した。また, 大腿骨ならびに腰椎の骨密度や皮質骨厚, 骨梁面積比率において, ビタミンD制限による影響が有意であった。高脂肪食摂取時においても, ビタミンD制限により大腿骨ならびに腰椎の骨密度や筋肉重量が低下することが明らかになった。
健康食品の利用が高まる中, 有効性や安全性の検証は欠かせない。食品であるから, 安全性の担保は特に注意が必要である。近年エストロゲン活性を有すると考えられる健康食品が市場に登場してきているが, 健康食品が有するエストロゲン活性を簡便に検出する方法は現在のところ見当たらない。本研究は, 遺伝子発現制御機構の解析に汎用されている培養細胞を用いた Dual-Luciferase Reporter Assay (ルシフェラーゼレポーターアッセイ) について, エストロゲン活性を有する健康食品を検出する手法としての妥当性を検討した。ルシフェラーゼレポーターアッセイにおいてエストロゲン活性の高い健康食品は, 実験動物を用いた子宮増殖アッセイでも活性が高かった。すなわち本レポーターアッセイ系が健康食品のエストロゲン活性を検出する有効な手法の一つであることが示唆された。