日本栄養・食糧学会誌
Online ISSN : 1883-2849
Print ISSN : 0287-3516
ISSN-L : 0287-3516
最新号
選択された号の論文の3件中1~3を表示しています
総説
  • 立花 宏文
    2019 年 72 巻 5 号 p. 205-210
    発行日: 2019年
    公開日: 2019/10/28
    ジャーナル フリー

    緑茶の多彩な生理作用 (抗がん作用, 抗アレルギー作用, 血圧降下作用, 脳血管障害予防作用, コレステロール低下作用など) にはエピガロカテキンガレート (EGCG), エピカテキンガレート, エピガロカテキン, エピカテキンなどのカテキン類が関与している。特にEGCGは緑茶に特有な成分であり, 緑茶の生理作用に深く関係していると考えられている。著者らはEGCGの細胞膜受容体として67-kDaラミニンレセプター (67LR) を同定した。また, EGCGの抗がん作用, 抗アレルギー作用, 抗炎症作用などの生理作用は67LR依存的であること, EGCGの67LRを介した生理作用の発現過程 (EGCGセンシング) にMYPT1, eEF1A, PP2A, Akt, eNOS, sGC, PKCδ, 酸性スフィンゴミエリナーゼ, スフィンゴシンキナーゼ1, cGMPといった分子が関与することを明らかにした。一方, 緑茶と併用摂取する食品因子がEGCGセンシングに作用することでEGCGの生理作用に影響を及ぼすことを示した。

  • 松井 徹
    2019 年 72 巻 5 号 p. 211-219
    発行日: 2019年
    公開日: 2019/10/28
    ジャーナル フリー

    日本を含め先進諸国ではマグネシウム (Mg) 摂取不足が問題となっている。本稿では, われわれが行ってきたMgを中心としたミネラル栄養に関する基礎的研究を紹介する。溶解性はMg吸収に大きな影響を及ぼすが, 海藻や飲用水中Mgの吸収を検討し, 溶解しているMgの形態や消化管内滞留時間もMg吸収に影響を及ぼすことを示した。Mg欠乏は肝臓中マスト細胞数を増加させることを明らかにした。肝臓および肝臓を構成する細胞のモデル培養系を用いた代謝物の網羅的解析によって, Mg欠乏により生じる新奇な代謝異常を明らかにした。Mg欠乏時の肝臓中金属類の網羅的解析を行い, モリブデンなど8種の金属類濃度が変動することを見出した。また, Mg欠乏による肝臓中亜鉛トランスポーター (Zip14) とメタロチオネインの発現増加が肝臓中亜鉛を増加させること, Mg欠乏は鉄過剰に対するヘプシジン発現応答を抑制することによって鉄代謝を撹乱することを示した。加えて, アクチビンBやインターロイキン-1βが, ヘプシジン発現亢進を生じる分子機構を解明した。

報文
  • 木下 かほり, 佐竹 昭介, 松井 康素, 荒井 秀典
    2019 年 72 巻 5 号 p. 221-229
    発行日: 2019年
    公開日: 2019/10/28
    ジャーナル フリー

    フレイル高齢者でエネルギー摂取とは独立して偏りやすい栄養素を横断的に解析することを目的とした。当院フレイル外来を受診した独歩可能な高齢者270名 (年齢中央値79歳) を対象とし, 中等度以上の認知機能低下やタンパク質制限を要する者は除外した。フレイルはJ-CHS基準で評価した。食事摂取量は簡易型自記式食事歴法質問票で評価し, 推定エネルギー必要量を摂取したと仮定した栄養素・食品摂取量を算出後, 22の栄養素摂取量が日本人の食事摂取基準の推奨量または目安量を満たすかどうか評価した。フレイル有無において基準を満たしていない者の割合をχ2検定で性別に比較し, 差を認めた栄養素を従属変数, フレイルを独立変数, 年齢, BMIを共変量としたロジスティック回帰分析を性別に行った。その結果, 女性でのみ有意な関連を認め, フレイルの亜鉛摂取基準値未満に対するオッズ比 (95%信頼区間) は2.50 (1.23‐5.06) であった。フレイルな高齢女性では亜鉛の不足に留意した栄養指導が必要である。

feedback
Top