日本栄養・食糧学会誌
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40 巻, 2 号
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  • 食餌タンパク質の影響
    菅野 道廣
    1987 年 40 巻 2 号 p. 93-102
    発行日: 1987年
    公開日: 2010/02/22
    ジャーナル フリー
  • 小畠 義樹, 斎藤 衛郎, 黒田 圭一, 小林 修平, 印南 敏
    1987 年 40 巻 2 号 p. 103-110
    発行日: 1987年
    公開日: 2010/02/22
    ジャーナル フリー
    健康な中高年 (42~58歳) のボランティア13名 (男性9名, 女性4名) に魚食 (220gサバ水煮缶詰1日1個を日常普通食へ補足) を1週間摂取させたときの血小板凝集能の変化, 血清中の過酸化脂質 (TBA値), α-トコフェロール, その他中性脂肪等の主要脂質濃度および血清総脂質中の脂肪酸組成を測定し, 日常普通食期および肉食期のそれらと比較した。魚食期においては血清総脂質の脂肪酸組成は魚油脂肪酸組成の影響を強く受け, C20: 5 (EPA), C22: 6 (DHA) の割合が増加し, EPA/AA (C20: 4) の比が高まった。ADPまたはコラーゲンによる血小板凝集能は魚食期と他の食期の間で差が見られなかった。魚食期の血清過酸化脂質濃度は他の食期に比べ明らかに上昇し, 同時にα-トコフェロール濃度は低下していた。また血清総脂質当たりのα-トコフェロール濃度も低下傾向を示した。血清中性脂肪とリン脂質の濃度は魚食期には他の食期に比べ, 明らかに低くなったが, 血清コレステロール濃度は各食期間に差が見られなかった。これらの結果から, 中高年者が魚食を摂取することにより血清脂質改善効果が得られることを確認したが, 体内に取り込まれた多価不飽和脂肪酸から過酸化脂質が体内で産生される可能性もあり, 血清α-トコフェロール濃度低下にもそれが関係しているのではないかと考えられた。
  • 中田 忍, 木村 利三
    1987 年 40 巻 2 号 p. 111-116
    発行日: 1987年
    公開日: 2010/02/22
    ジャーナル フリー
    タンパク質栄養評価の指標動物としてのマウス (雄性ddY系) の利用性を個別飼育 (1頭/ケージ) あるいは集団飼育 (6頭/ケージ) の条件で検討した。マウスによる飼料タンパク質含量の成長への効果ならびに食餌タンパク質およびアミノ酸の補足効果はラットの場合と同様に顕著に発現した。また, これらの効果は集団飼育より個別飼育条件下のマウスで明確に現われた。その個別飼育はマウス個体の飼料摂取量の計測を可能にし, その結果, 体重当たりの飼料摂取量はラットのそれの2倍であり, 他方, マウスにおける成長に対する至適飼料タンパク質含量はラットの場合のほぼ半分の値であることを示した。これらの実験結果から, マウスは個別飼育条件下で, タンパク質の栄養研究の指標動物として, ラットと同様に有用であることを示した。
  • 大荒田 素子, 宮沢 陽夫, 藤本 健四郎, 金田 尚志
    1987 年 40 巻 2 号 p. 117-121
    発行日: 1987年
    公開日: 2010/02/22
    ジャーナル フリー
    U-14C-ラベルしたリノール酸メチルヒドロペルオキシド (MLHPO), polymer画分 (おもにMLHPO二量体から成る) およびヒドロキシ (ヒドロペルオキシ) アルケナールを多く含む低分子分解産物 (LMW) をそれぞれ50mgずつ体重200gのラットに経口投与し, 投与6時間後の肝臓中の脂溶性成分への14Cの分布を調べ, これら脂質酸化産物の代謝系を比較した。
    本実験では下痢をおこさない程度の比較的少量の酸化物を投与した。MLHPO投与の場合, 全投与量の2.3%, polymerでは2.2%, LMWでは6.9%の14Cが肝臓に取り込まれた。肝臓の全14Cのうち脂溶性区分に存在した14C量は, MLHPO投与の場合40.1%, polymerの場合33.7%, LMWでは9.4%であった。よって, LMWはMLHPOやpolymerより肝臓に取り込まれやすいが, 脂溶性成分としては多くは存在しないことがわかった。MLHPO, polymerおよびLMW投与の場合とも, 14Cは肝臓のトリグリセリドとリン脂質に多く分布し, これら肝脂質の構成脂肪酸のうちとくにノルマルの炭素数が16と18で飽和酸ないしモノエン酸として存在することがわかった。これら肝脂質への再利用は油脂酸化物の無毒化を反映したと思われた。LMWの強い毒性は, 肝臓への吸収のされやすさ, LMWに含まれるアルデヒド基などの極性官能基の存在, および水溶性区分への取り込まれやすさが, 大きく関係していると思われた。
  • 西村 公雄, 河村 幸雄, 米澤 大造
    1987 年 40 巻 2 号 p. 123-128
    発行日: 1987年
    公開日: 2010/02/22
    ジャーナル フリー
    未利用タンパク質源であるスジエビ筋肉タンパク質について, その性質および凍結貯蔵の影響をアクトミオシンCa2+-ATPase活性を指標として検討し, 形態的に酷似しているオキアミのものと比較考察した。
    1) スジエビ粗アクトミオシンCa2+-ATPaseの生化学的性質を検討した。その温度安定性は, オキアミに比べて非常に高く, pH 7.5, 15℃で22時間保持しても約70%の活性が残存していた。Ca2+-ATPase活性は, 中性域より酸性およびアルカリ性域で高く, そのpH安定性は中性で最も高かった。また約7mMのCa2+の添加で, その活性は最大となった。これらの生化学的性質では, オキアミと異なりスケソウダラ, ホッケ等の魚類に類似していた。
    2) スジエビ尾部を-20℃および-80℃で貯蔵し, その間に生じる変化を検討した。-20℃貯蔵において尾部のホモジネートのCa2+-ATPase活性は, 25日目で約30%上昇した。また, 0.6M KCl溶液に対するアクトミオシンの溶解性および粗アクトミカシンCa2+-ATP-aseの温度安定性は, 徐々に減少したが, 透過電子顕微鏡観察においで筋原繊維の構造に変化を認めることはでなきかった。このような傾向は, -20℃凍結操作および貯蔵により急激な品質の劣化や構造破壊を生じるオキアミとは異なり, 凍結貯蔵に対してスジエビが安定であることを示している。一方, -80℃貯蔵では貯蔵中の変化は見られなかった。
    以上のことより, スジエビはオキアミに形態的には酷似しているものの凍結貯蔵に比較的安定で劣化しにくく, 食品素材として有望な性質を保持しうる可能性が示唆された。
  • 四十九院 成子, 福場 博保
    1987 年 40 巻 2 号 p. 129-135
    発行日: 1987年
    公開日: 2010/02/22
    ジャーナル フリー
    1) 2日間暗所発芽させた黒緑豆種子からBAPAaseを抽出し, 硫安沈殿 (80%飽和), DEAE-Tayapearl 650Mイオン交換クロマトグラフィー, 同再クロマトグラフィー, クロマトフォーカシング (pH 4~5) およびoctyl-Sepharose疎水性クロマトグラフィーにより, ディスク電気泳動のタンパク質染色と活性染色がともに一致した均一なBAPAase標品を単離した。収率は粗酵素液の9.3%, 比活性は3, 405倍に上昇した。
    2) 本酵素の分子量はゲル濾過法で約78,000と推定された。
    3) 本酵素の至適pHは8.3で, pH 7~11のアルカリ側で安定であった。至適温度は50℃で, 安定温度は50℃以下であった。Fe2+, Ag+添加により完全に失活し, Fe3+, Zn2+, Cd2+, Hg2+, Hg+などでも活性が低下した。
    4) 本酵素はDFP, TLCKで限害され, PMSF, TPCKおよび金属キレート剤やSH試薬の影響は少なかった。またロイペプチン, アンチパインで阻害され, キモスタチンでは阻害されず, またSTIでも阻害されなかった。
    本酵素はArg, Lysを含む合成基質をよく水解し, Tyrを含む基質は水解しなかった。またカゼインやリゾチームのような天然基質の水解は認めえなかった。
  • 山田 幸二, 吉田 時子, 平野 隆司
    1987 年 40 巻 2 号 p. 137-140
    発行日: 1987年
    公開日: 2010/02/22
    ジャーナル フリー
    コレステロールとコール酸を含む米をタンパク質源とする飼料に, リジンとスレオニンを添加し, ラットの血漿と肝臓のコレステロール濃度への影響について検討した。
    米飼料, リジン添加米飼料摂取で体重が著しく減少したが, これらの飼料へのThar添加で体重減少は抑制された。
    米類似アミノ酸混合物をタンパク質源とした飼料, それにリジンを添加した飼料摂取で体重は減少したが, リジンとスレオニンの組合せ添加で体重減少は抑制され, 米をタンパク質源とした結果と一致した。
    血漿と肝臓のコレステロール濃度は米飼料, 米類似アミノ酸混合物飼料へのリジン添加で変動しないが, リジンとスレオニンの組合せ添加で有意に上昇した。血漿と肝臓のコレステロール濃度の上昇は, スレオニン単独添加が原因であった。
    米飼料, リジン添加米飼料に, スレナニン添加で生ずる血漿の総コレステロールに対するHDL-コレステロールの比は顕著に低下した。
    以上の結果, 米飼料に添加したスレオニンが, 血漿と肝臓のコレステロール濃度の調節に関与していることが示唆された。
  • 山中 聖敬, 亀高 正夫
    1987 年 40 巻 2 号 p. 141-144
    発行日: 1987年
    公開日: 2010/02/22
    ジャーナル フリー
    マウスの消化管内に存在する微生物とその関連物質由来の純タンパク質が, 糞乾物中にどの程度含まれているかを調べた。窒素源として精製全卵タンパク質または精製全卵タンパク質と同じアミノ酸組成をもつ結晶アミノ酸混合物を用い, 両者が同じ窒素含有量になるように飼料を調製した。これら2種類の飼料を5週齢でオスのICR系普通および無菌マウスに3週間摂取させた。最後の1週間分の糞について, その乾物中に占ある純タンパク質 (糞中のタンパク態窒素量×6.25) の割合に基づき, 普通と無菌マウスとの間ならびに飼料間での比較を行なった。その結果, 消化管内微生物とこれの関連物質由来の純タンパク質量は精製全卵タンパク質飼料群で糞乾物中の0.94%, 結晶アミノ酸混合物飼料群では2.18%, はく離した消化管上皮および消化液由来のタンパク質量は5.1%, 未消化の飼料残渣由来のタンパク質量は1.23%の成績を得た。
  • 平井 和子, 島津 千佳子, 藤木 雅美, 前田 昭子
    1987 年 40 巻 2 号 p. 145-149
    発行日: 1987年
    公開日: 2010/02/22
    ジャーナル フリー
    食品中のステロールと脂肪酸を定量するために共通に用いられる抽出測定方法の検討を行ない, 次に, 昭和59年の国民栄養調査成績を参考にして作成したモデル献立 (3例) 中の含量を測定し, 摂取量を推定した。
    1) クロロホルムーメタノール (2: 1) 法 (CM法) とCM法と熱ベンゼン法の組合せ法 (CM-B法) を用いて, ステロールと脂肪酸の抽出量を, とびうお, 鶏肉, さつまいもと1日の献立に相当する食品の混合試料について比較したところ, これら4試料でのステロールと脂肪酸の平均抽出率は, CM法に対してCM-B法では111.8±4.1%と112.3±9.8%で, CM-B法のほうが抽出率が高かった。次に, ステロールおよび脂肪酸抽出量に及ぼすけん化時間の影響を検討するために, サラダ油とマヨネーズと牛肝臓について30分と60分けん化を行ない, 抽出量を比較したところ, ステロール抽出量はけん化時間によりほとんど差がみられず60分けん化に対する30分けん化の平均抽出率比は98.6±1.6%で, また, 脂肪酸抽出量は30分けん化のほうが60分けん化より多い傾向がみられ, 平均抽出率比は103.2±2.6%であった。
    2) 献立構成食品混合物の脂質をCM-B法で抽出し, 30分けん化後ステロールと脂肪酸を定量した結果, 昭和59年の1人1日平均摂取量は, コレステロール401mg, 植物ステロール381mgであった。総脂肪酸摂取量は52.4gで, SFA, MUFA, PUFAはおのおの18.5, 21.4, 12.5gで, PUFA/SFA比は0.70であった。
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