日本栄養・食糧学会誌
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43 巻, 2 号
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  • パプアニューギニアにおける野外調査を中心に
    鈴木 継美
    1990 年 43 巻 2 号 p. 81-94
    発行日: 1990/12/10
    公開日: 2010/02/22
    ジャーナル フリー
  • 中川 靖枝, 岡松 洋, 藤井 康弘
    1990 年 43 巻 2 号 p. 95-101
    発行日: 1990/12/10
    公開日: 2010/02/22
    ジャーナル フリー
    ポリデキストロースR (PD) は人の消化酵素により加水分解を受けることの少ない水溶性多糖の一種である。PDの生理作用を調べる目的で青年期女性ボランティア22名にPDを5~10g摂取させ, 排便回数ならびに便通感に及ぼす影響を検討した。試験はラテン方格による交差試験法に準じて実施した。被験者のPD摂取を容易にするためPDは飲料の形態とし, PDをそれぞれ0, 5, 7, 10g/100ml含む飲料を調製した。被験者は同一種類の飲料を毎日1本ずつ5日間連続摂取し, それを4種類の飲料について繰返し行った。試験期間を通し, PD摂取量を除く食物繊維摂取量は8.0gから8.8gまでの値であり, 各試験期間の摂取量に差は認められなかった。PD摂取量の増加に伴い便が柔らかくなり, PD 7gあるいは10g摂取期間時の便の硬度はPD無摂取時に比べ危険率5%で有意に高値を示した。便の硬度はPD摂取量と有意に負の相関 (r=-0.387) を示した。しかし, 便の硬度以外の便通感と排便回数には影響を与えなかった。以上の結果ならびに考察はPDが排便に対する食物繊維様の作用を有していることを示唆した。
  • 渡辺 康子, 川井 紘一, 山下 亀次郎
    1990 年 43 巻 2 号 p. 103-107
    発行日: 1990/12/10
    公開日: 2010/02/22
    ジャーナル フリー
    FPMを糖尿病患者に長期に投与することにより, 混合食負荷時の血糖上昇は抑制され, インスリン分泌は増加傾向を示した。また, FPMには血清コレステロール, とくにLDL-コレステロールを低下させる作用もある可能性が示唆された。さらにFPMは満腹感をもたらし体重の減量に有用であることが示された。
  • 久保山 昇, 並木 芳一, 金子 芳明, 石浜 済美, 藤井 彰, 田村 豊幸
    1990 年 43 巻 2 号 p. 109-114
    発行日: 1990/12/10
    公開日: 2010/02/22
    ジャーナル フリー
    ラットに継続的に10%ショ糖液を5カ月間自由飲水させ, in situ腸管腔灌流を行いショ糖の吸収速度および吸収量 (率), および刷子縁膜のsucrase活性を測定して, ショ糖過剰摂取におけるショ糖の消化吸収過程を比較検討し, 以下の結果を得た。
    1) ショ糖の消化に関して, 刷子縁膜のsucrase活性は, 精製水群では1.22±0.44 (mean±SD, μmol sucrose hydrolyzed/mg・protein・h) に対してショ糖群は2.12±0.58を示し, 有意の差 (p<0.001) でsucrase活性の増加が認められ, 精製水群の約1.7倍であった。
    2) ショ糖の吸収に関して, 精製水群では, 小腸粘膜からのsucrose消化吸収量は29.2±0.4mgで吸収率は28.4%を示した。ショ糖群では, 45.0±6.7mgで吸収率は43.9%を示し, 精製水群の約1.6倍であった。
    3) ショ糖の消化に関するsucrase活性と腸管腔灌流実験のショ糖吸収の相関関係は, 精製水群およびショ糖群とも正の相関関係が得られた。
    以上の結果から, 刷子縁膜のsucrase活性ならびにglucose輸送能も上昇し, ショ糖の消化吸収がより効率的になされていることが示唆された。したがって, sucrase活性を測定することにより, in situでのsucroseの消化吸収をもある程度予測しうることが見いだされた。
  • 鈴木 博雄, 田淵 俊子, 松原 智子
    1990 年 43 巻 2 号 p. 115-120
    発行日: 1990/12/10
    公開日: 2010/02/22
    ジャーナル フリー
    高脂肪食を摂取したADXラットを用いて肝脂質と血清FFAに及ぼす絶食および甲状腺機能の影響を検討し, 高炭水化物食を摂取したADXラットと比較した。
    高脂肪食摂取ラットでは副腎機能に関係なく肝脂質量の変化はみられず, 高炭水化物食摂取ラットでみられた絶食による肝脂質量の増加を示さなかった。副腎摘出により肝脂質量はわずかに減少し, コーチゾンの投与により回復した。甲状腺機能変化への応答はADX-C群で認められ, 肝脂質量は甲状腺機能低下群で最も高い値を示した。高脂肪食摂取ラットの血清FFAレベルは絶食により増加したが, 副腎機能との関係はみられなかった。
    甲状腺機能変化による影響はADX群とADX-C群では認められず, sham群で認められ, 絶食時のFFAレベルは甲状腺機能亢進群で最も高かった。
    これらの結果から, 肝脂質蓄積への絶食と甲状腺機能低下の影響はその作用機構において異なり, 甲状腺機能低下による肝脂質蓄積機構へのGCの関与が示唆された。
  • 何 普明, 安本 教傳
    1990 年 43 巻 2 号 p. 121-125
    発行日: 1990/12/10
    公開日: 2010/03/25
    ジャーナル フリー
    Fresh erythrocytes obtained from senescence-accelerated mice, both prone (SAM-P/1) and resistant (SAM-R/1) strains, were separated into 4 different cell density, i. e. cell age, fractions by densitygradient centrifugation. The specific activities of pyruvate kinase and hexokinase, which are known to be marker enzymes of cell age for erythrocytes, decreased with increased erythrocyte cell density in both strains of mouse, and in some cell fractions were higher in SAM-P/1 than in SAM-R/1. The specific activity of glutathione reductase decreased with increased cell density in both strains. The specific activity of glutathione peroxidase also decreased with increased cell density in both strains, but was lower in most fractions from SAM-P/1 than in the corresponding fractions from SAM-R/1.
    The level of oxidized protein assessed by reactivity with 2, 4-dinitrophenylhydrazine increased with the increase in cell density in both strains of mouse and was higher in all the fractions from SAM-P/1 than in those from SAM-R/1. These results are interpreted to indicate that the aging process is accelerated in the erythrocytes of SAM-P/1, and that this acceleration is partly associated with some defect in the cellular oxidant defense mechanism, including glutathione peroxidase.
  • 樫村 淳, 木村 美恵子, 近藤 久雄, 横井 克彦, 西尾 弘二, 中島 良和, 糸川 嘉則
    1990 年 43 巻 2 号 p. 127-131
    発行日: 1990/12/10
    公開日: 2010/02/22
    ジャーナル フリー
    30匹の4週齢Wistar系雄ラットを30%ショ糖投与群 (コントロール群), 30%パラチノース投与群および10, 20, 30%パラチノースの縮重合物 (PC) 投与群の5群 (各群6匹) に分け8週間飼育した。
    飼育終了後, 麻酔下で腹部大動脈から採血し, 脳, 肺, 心臓, 肝臓, 腎臓, 副腎, 脾臓, 精巣, 大腿筋, 脛骨を採取した。血液は全血と血漿に分けた。各組織は硝酸により湿式灰化し, ICPプラズマ発光分析法により, Ca, Mg, Pを測定した。
    各群のヘマトクリット値に有意差は認められず, 外見上の変化も認められなかった。また, 体重増加量は投与量に比して少なく, 30% PC投与群とコントロール群に有意差が認められた。臓器重量は心臓, 肝臓, 腎臓が投与群で有意に低値であったが, 体重当りの臓器重量には変化が認められなかった。一方, 20, 30% PC投与群で難消化性糖類摂取時に観察される盲腸の肥大が認められた。血漿中のP濃度については投与群で高くなり, 30% PC投与群ではコントロール群に比較して有意差 (p<04. 05) が認められた。しかし, 他の組織では著しい変化は認められなかった。本試験の結果は, パラチノースおよびPCは, ラットの生体内ミネラルバランスに著しい変化を引き起こさないことを示している。
  • 高瀬 幸子, 合田 敏尚
    1990 年 43 巻 2 号 p. 133-138
    発行日: 1990/12/10
    公開日: 2010/02/22
    ジャーナル フリー
    十二指腸粘膜膜酵素活性の誘導機構の解明を目的とし, ふ化前のふ卵14日目のニワトリ胚にヒドロコーチゾンならびにビタミンD3を投与して (ヒドロコーチゾンは17日目に2回目の投与) 十二指腸粘膜刷子縁の膜脂質の脂肪酸組成に及ぼす影響を観察し, 同時に膜酵素としてスクラーゼとアルカリホスファターゼ活性を測定した。これら膜酵素活性の誘導と刷子縁膜脂肪酸組成の変動との関連について比較検討した。
    1) ヒドロコーチゾン投与によりふ卵20日胚の十二指腸粘膜重量, 粘膜DNAおよび粘膜刷子縁の膜タンパク質量が増大したが, DNA当りのタンパク質量は増加せず対照群と同じであった。ビタミンD3投与ではそのような効果はみられなかった。
    2) 十二指腸刷子縁膜脂質の脂肪酸組成は, ヒドロコーチゾンならびにビタミンD3投与のいずれの場合にも18: 2 (ω6) と20: 4 (ω6) のω6系の長鎖多価不飽和脂肪酸が著明に増加した。
    3) ヒドロコーチゾンの投与により, スクラーゼ活性とアルカリホスファターゼ活性が増大した。ビタミンD3投与によりアルカリホスファターゼ活性が増大したが, スクラーゼ活性の誘導は起こらなかった。
  • 梶本 五郎, 吉田 弘美, 芝原 章
    1990 年 43 巻 2 号 p. 139-145
    発行日: 1990/12/10
    公開日: 2010/02/22
    ジャーナル フリー
    炭素数および不飽和度の異なる脂肪酸とそれらのメチルエステル, ならびにモノおよびトリオレインにトコフェロール (Toc) を添加し, 180℃加熱によるTocの分解について検討した。
    1) 飽和脂肪酸メチルでは, 炭素数が大きくなるに従いTocの分解率は高く, 加熱3時間後のステアリン酸メチルでTocの残存率は12%, ラウリン酸メチル, カプリル酸メチルで50および95%であった。アニシジン価, カルボニル価はいずれも低値で, 概して炭素数が大きくなるに従いカルボニル価はわずかに高くなった。
    2) 炭素数18の不飽和脂肪酸では, 不飽和度の低いオレイン酸中でのTocの分解が最も高く, 加熱2時間後のTocの残存率3%, ついで, リノール酸, リノレン酸の順で17および20%であった。アニシジン価, カルボニル価はリノレン酸が最も高く, ついで, リノール酸, オレイン酸の順であった。したがって, Tocの分解は三者中, 酸化度の最も低いオレイン酸中で最も高かった。
    3) オレイン酸, モノおよびトリオレインでは, Tocの残存率はオレイン酸で最も低く, モノオレインで高かった。アニシジン価, カルボニル価はモノオレインが最も低く, オレイン酸は両値とも高かった。
    4) 飽和脂肪酸中のTocは加熱に伴い減少し, Tocの酸化生成物 (Toc単量体以外のHPLCのピーク物質) の割合は逆に増加した。ことにTocの分解の多いステアリン酸メチルでTocの酸化生成物の割合は高かった。不飽和脂肪酸メチルでは, オレイン酸メチル中でTocの酸化生成物の生成割合が最も高く, ついで, リノール酸メチル, リノレン酸メチルの順であった。
    5) ステアリン酸メチル, オレイン酸メチル中のTocの熱分解は, 没食子酸およびチオジプロピオン酸の添加で防止できた。オレイン酸メチルの場合, 加熱5時間後のTocの残存率20%に対し, 没食子酸0.05%添加では98%であった。また, Tocの酸化生成物も生成しなかった。
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