日本栄養・食糧学会誌
Online ISSN : 1883-2849
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75 巻, 4 号
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報文
  • ―自動固相抽出装置を用いたシリカゲルカラム前処理における拘束時間の削減―
    嶋本 康広, 佐藤 孝義, 花形 吾朗, 池内 義弘, 西田 元之, 松野 一郎
    2022 年75 巻4 号 p. 147-160
    発行日: 2022年
    公開日: 2022/08/24
    ジャーナル フリー

    ビタミンKは血液の凝固や骨代謝に関与している脂溶性の機能性分子である。植物油にはフィロキノン (ビタミンK1) のみが含まれるが, 乳類には極性がフィロキノンより高く, トリグリセリド等の夾雑物に性質が近いメナキノン-4 (ビタミンK2) が含まれるため分析法を開発する上で夾雑物除去の前処理条件が重要なポイントとなる。われわれはエコフレンドリーな分析法の開発を目的として前報では手作業で検討を行い, シリカゲルカラムによる夾雑物除去工程においてシリカゲルと環境負荷に影響を与える有機溶媒の使用量を従来法よりも大幅に削減した効率的分析法を報告した。本報では自動固相抽出装置を導入したことによりシリカゲル処理に張り付く拘束時間を大幅に削減することができた。装置を用いてさらなる効率化を検討し, 脂質量に応じてカラムをスケールアップ/ダウンする際にシリカゲルと溶出液の量を最適化できる式を導出した。式に基いて設定した条件を用いると装置を用いず手作業でも同等の精度で分析可能だった。本分析法を用いればこれまでよりも少ない量のシリカゲルと有機溶媒を用いてさらに効率的にビタミンKの分析を行うことが可能になる。

  • 今井 具子, 加藤 友紀, 下方 浩史, 大塚 礼
    2022 年75 巻4 号 p. 161-173
    発行日: 2022年
    公開日: 2022/08/24
    ジャーナル フリー

    一般住民の食事データを用いて日本食品標準成分表2015年版 (七訂), 及び2020年版 (八訂) で算出した栄養素等摂取量についてデータベース切り替えによる影響を検討した。対象は老化に関する長期縦断疫学調査の第1次から第7次調査参加者のうち秤量法による3日間食事調査を完了した累計男性7,596名, 女性7,566名とした。男女別に検討したところ, 有意な相関はあるものの, 七訂と八訂の差は測定法が変更されたエネルギー (5.1%), 炭水化物 (5.8%), アミノ酸組成によるたんぱく質 (6.0%) や, 成分値の収載数が大きく変わった有機酸などの栄養成分項目の算出値に差が生じ, 系統誤差が生じる可能性が明らかとなった。またこれらの差には性差が見られ, 対象者の食事内容により影響を受ける程度が異なる可能性も考えられた。栄養アセスメントの側面では, データベースの切り替えを慎重に行う必要があることが示唆されたが, 対象者をランク付けする等の疫学研究ではデータベース改訂の影響が比較的小さい可能性も示唆された。

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