日常ルーチンに調べられている検査項目の中に正確な栄養状態評価の可能性を見い出すべく,これらと栄養状態の把握に用いられている肝分泌タンパク,身体計測値間の相関を検討し次の結果を得た.
1. 血清PreAlb値は, Alb (r=0.48, p<0.025), Hb, TLC (共にr=0.68, p<0.001), AMA (r=0.48, p<0,025)と有意の正の相関を示し, PreAlb 20mg/dl以下の症例では, Alb 3.2g/dl, Hb 12.1g/dl以下, TLCは1,000~1,200/mm
3と推定された.
2. 血清TF値は, TIBCと強力な正の相関(r=0.87, p<0.001)を示した他, Alb (r=0.41, p<0.025), Hb (r=0.39, p<0,05)と正の, TFの飽和度(r=-0.47, p<0.01)と負の相関を示し, TF 200mg/dl以下では, Alb, Hbはそれぞれ4.0, 12.8g/dl以下と考えられた.
3. TLCは,皮内反応の結果を正確に反映し, TLC 1,200/mm
3以下の症例では80%がアネルギーを示し, 2,000以上では89%が正常であった.
4. 身体計測値ではAMAがPreAlb (r=0.40, p<0.025)およびHb (r=0.61, p<0.001)と有意の相関を示し, PreAlb, Hbの低下は体タンパク質の消耗を示唆するものと考えられた.
以上より, REEの著しい上昇のない患者では, Hb, Alb, TIBC, TLCより栄養状態の正確な把握が可能であると考えられた.
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