昭和45年5月より昭和60年4月までの15年間に群馬大学第一外科において手術を施行した胆石症は320例であり,そのうち試験的総胆管切開術13例を含む総胆管切開術を施行した87例について検討した.ただし肝内胆石症と先天性胆管拡張症有石症は除外した.
総胆管切開後は一次縫合33例(37.9%), Tチューブドレナージ31例(35.6%), 総胆管十二指腸吻合16例(18.4%), 乳頭形成7例(8.0%)を施行した.一次縫合は,コ系石で遺残なしと判断されたもの,ビ系石でも高度の胆管の炎症性変化を認めないもの,試験切開のみの場合で総胆管に変化のないもの,十二指腸への流出が良好のものを適応とした.ドレナージを必要とする場合には総胆管十二指腸側々吻合術を第一選択とし,再発例や胆管拡張の高度のものを適応とした. Tチューブドレナージは急性胆管炎,術後の胆管狭窄の予防,高度の閉塞性黄疸,胆石遺残の疑いのあるもの,急性膵炎合併例などドレナージを要する症例であるが,胆管拡張が充分でなく総胆管十二指腸吻合に適さないものを適応とした.乳頭形成術は胆石が総胆管末端へ嵌頓している症例に対してのみ適応とした.
術後の合併症は14例(16.1%), 手術死亡例は2例(2.3%)であった.総胆管切開創を一次縫合できた症例では,術後の肝機能の改善は良好であり,早期離床,早期退院が可能であった,総胆管十二指腸吻合例もドレナージ効果は良好で肝機能の改善も良好で入院日数も比較的短期間であった.
長期遠隔成績では無症状に経過している症例は85.2%であった.総胆管十二指腸吻合例で胆管炎症状を認めたものは1例もなかった.
胆管病変の疑いがあれば総胆管切開は積極的に施行すべきであるが,適応の選択により一次縫合は可能であるので,不必要なTチューブの乱用は避けるべきである.
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