日本臨床外科医学会雑誌
Online ISSN : 2189-2075
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50 巻, 9 号
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  • 岡田 昌義, 辻 義彦, 吉田 正人, 生田 博, 堀井 弘幸, 清水 一太, 太田 稔明, 細川 裕平, 山本 信一郎, 小澤 修一, 中 ...
    1989 年 50 巻 9 号 p. 1665-1676
    発行日: 1989/09/25
    公開日: 2009/04/21
    ジャーナル フリー
    近年心臓血管外科領域の手術適応は飛躍的に拡大されているが,心筋保護や手技の改良および工夫により,かなりの成果がえられている.しかし従来の術式に加えて何らかの新しい先端技術を導入しない限り,治療成績の一層の向上が得られないと考え,著者らはいち早くわが国にレーザーを導入し,心臓血管外科領域の以下の3分野で種々検討を重ねた.すなわち,1)血管内視鏡下レーザーによる血管形成術,2)レーザーによる血管吻合術,3)冠動脈バイパスが不可能な症例に対するレーザーによる心筋の血行再建術などである.すでに各分野での基礎的研究でレーザーのもつ特性を十分に活用しうることを確認した後,臨床例に応用した.現在までにレーザーの臨床応用は115症例に達した.症例の内訳は男性80例,女性35例であり,年齢は18~80歳(平均55歳)であった.このうち冠動脈へのレーザー応用は14例である.各レーザーに関する十分な知識をもち,各分野での目標と手技を習得すれば安全かつ確実に合理的なレーザー治療が可能であり,将来普及するものと考えられた.
  • 石井 昇, 榎本 準, 辻井 朗, 千原 久幸, 山下 長司郎, 岡田 昌義, 中村 和夫, 吉村 雅裕, 坪田 紀明
    1989 年 50 巻 9 号 p. 1677-1680
    発行日: 1989/09/25
    公開日: 2009/04/21
    ジャーナル フリー
    最近8年間に教室で切除された肺癌264症例を対象として,手術根治度からみた治療成績を検討し若干の知見を得たので報告した.
    まず,組織型の内訳は,扁平上皮癌117例,腺癌93例,大細胞癌29例,小細胞癌10例,腺扁平上皮癌9例,その他6例であった.また手術根治度は,絶対的治癒切除115例,相対的治癒切除74例,相対的非治癒切除18例,絶対的非治癒切除57例で,根治手術が71.6%と高率に施行された.一方,組織型別の根治手術の比率をみると,扁平上皮癌の80% (94/117)に対して,腺癌は58% (44/93)と低値であった.手術根治度別による治療成績をみると,絶対的治癒切除の5年生存率は67.6%と良好であったが,相対的治癒切除のそれは25.7%にとどまった.またI, II期の根治手術後3年以内の死亡率は扁平上皮癌の8.8% (5/57)に対し,腺癌は23.5% (8/34)と有意に高く,その死因の多くは脳転移によるものであった.よって,肺癌根治手術の遠隔成績を向上させるためには,補助療法の確立と脳転移などの遠隔転移による死亡を極立防止することが必要と考えられた.
  • 術前後の心機能および横隔膜筋の組織化学的分析から
    松森 正之, 林 悟, 服部 哲也, 渡部 宜久, 良原 久雄, 小山 隆司, 久野 克也, 笹田 明徳, 中村 和夫
    1989 年 50 巻 9 号 p. 1681-1690
    発行日: 1989/09/25
    公開日: 2009/05/26
    ジャーナル フリー
    食道癌手術症例の術後肺合併症発生と重篤化の一因として術前の低栄養状態の関与が示唆されている.まず35例について術前1週間の摂取熱量により基礎消費熱量の1.75倍未満であった1群(n=17)と以上であった2群(n=18)に分けたところrapid turnover protein,リンパ球数などで2群がすぐれており,術前日に施行した運動負荷時の心機能でも2群の方が良好であった.術後の肺合併症を肺に何らかの浸潤影を認めたものと定義すると1群では47%に発生したが2群では17%にとどまった.次に異なる32例について術中横隔膜生検を行ないATPase染色を用いタイプ1線維(遅筋)とタイプ2線維(速筋)を染め分け栄養障害の影響を検討したところ,栄養不良例では筋線維断面積が細く,かつタイプ1線維の断面積占有率が50%未満の群(n=17)と50%以上の群(n=15)に分けると,前者で有意(p<0.02)に肺合併症の発生率が高く術前栄養状態の関与が示唆された.
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