環境科学会誌
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4 巻, 4 号
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  • 四ツ柳 隆夫, 星野 仁, 金子 恵美子, 入江 一之, 関 敏彦, 高橋 陽子, 相原 良之
    1991 年 4 巻 4 号 p. 241-250
    発行日: 1991/10/31
    公開日: 2010/06/28
    ジャーナル フリー
     都市大気の健全性を評価するための総合指標物質として,浮遊粒子状物質中のバナジウムが,化石燃料消費との関連で優れた指標特性を持つことを見出した。その濃度は,10-8~10-9g/m3であり黒鉛炉原子吸光法やICP発光法では計測不可能な超微量レベルである。本研究では,プレカラム誘導体化高速液体クロマトグラフィーによって,ng/m3レベルのバナジウムの簡便かつ迅速な計測法を開発した。本法は多量のアルミニウムや鉄の共存を許容し,複雑なマトリックスを有する大気試料に十分対応可能な実用法を与える。この新手法を用いて仙台市内の大気試料を測定し,バナジウムの都市大気評価に対する有用性を確認した。
  • 山崎 福寿
    1991 年 4 巻 4 号 p. 251-264
    発行日: 1991/10/31
    公開日: 2010/06/28
    ジャーナル フリー
     交通量の増加にともなって,騒音や振動・排気ガス等による外部費用が発生し,沿道環境の悪化が続いている。望ましい資源配分を実現するためには,交通輸送サービスの需要者に私的費用だけでなく,外部費用を含めた社会的費用を負担させなければならない。 そのためには,交通・輸送サービスによってどの程度の外部費用が発生しているかを計測する必要がある。本研究の目的は,都道環状7号線の騒音に焦点をあてることによって,騒音と周辺地価の関係を回帰分析によって推定し,環7の自動車交通から発生する騒音によって,どの程度地価が低下しているかを明らかにしたうえで,自動車交通によって発生する騒音の外部費用を計算:することにある。その結果,環境基準以上の騒音については,1kmの走行から大型車は15.3円,普通車は1.53円の騒音による外部的費用を発生させていることがわかった。また,防音事業の社会的便益も求めることができる。
  • ―施肥の種類,生育段階,中干しの影響:ポット実験―
    木村 眞人, 三浦 吉則, 渡辺 彰, 加藤 武史, 原口 紘煕
    1991 年 4 巻 4 号 p. 265-271
    発行日: 1991/10/31
    公開日: 2010/06/28
    ジャーナル フリー
     近年,温室効果ガスの1つとしてメタンが注目されており,その最大の発生源である水田圃場からの発生量推定,季節変動が活発に研究されている。本報告においては水田からのメタン発生に及ぼす土壌の種類(福島灰色低地土,安城褐色低地土),施肥の種類(稲わら,『堆肥,化学肥料,無肥料),生育段階,中干しの各影響をポット実験により調査した。得られた結果は以下の通りである。1) 対照として準備した無作付ポットからのメタン発生量は作付区の1/3~1/500の低い値であった。2) メタン発生に及ぼす土壌間差は明らかでなかった。3) 作付区間で比較すると,出穂期までのメタン発生量は稲わら区が他の区に比べて著しく高い値を示した。他方,化学肥料区では生育段階とともに徐々に増加し,出穂期以降稲わら区に匹敵する高い値を維持した。堆肥区からのメタン発生量およびパターンは化学肥料区と類似したものであった。4) 無肥料区は全生育期間を通じメタン発生量は僅かであった。5) 出穂期を境とするメタン発生量の処理区間の比較より,土壌型や施肥の種類の影響は出穂期以前に現れ,通常(稲わら区を除き)その発生量は出穂期以降に比べ少ないこと,出穂期以降の発生量:は処理区間で大差無く何れの区も大きな値であった。6) 短期間の中干しにより顕著にメタン発生量が抑制された。
  • 劉 国林, 尾張 真則, 二瓶 好正, 山田 治彦, 山本 秀行, 鈴木 周一
    1991 年 4 巻 4 号 p. 273-282
    発行日: 1991/10/31
    公開日: 2011/10/21
    ジャーナル フリー
     東京都北の丸公園内の首都高速道路脇でローボリウムエアサンプラー及びアンダーセンエアサンプラーを用いて沿道大気浮遊粒子を捕集した。捕集試料について重量測定を行ったのち,電子プローブマイクロアナライザーで粒別分析し,得られたX線スペクトルパターンに基づいてクラスター分析を行い,粒子形状などの物理的情報をも併せて,起源解析を行った。その結果,沿道捕集大気浮遊粒子について推定された主な起源は,ディーゼル車から排出されたすす粒子,タイヤ粉じん,土壌・鉱物,鉄系粒子,ケイ素系粒子,カルシウム系粒子及び海塩粒子であった。それらの起源の粒径分布,各粒径範囲の各起源の寄与を求めることができ,また,交通状況と大気浮遊粒子の濃度,すす粒子とディーゼル車の混入率との関連などについても幾つかの知見が得られた。
  • 宮地 寿明, 那須 正夫, Hussein I. EL-BELBASI, 田窪 芳博, 近藤 雅臣
    1991 年 4 巻 4 号 p. 283-287
    発行日: 1991/10/31
    公開日: 2011/10/21
    ジャーナル フリー
    河川の水質汚濁の原因とされていた工業排水による汚染は徐々に改善されつつある。しかし周辺部の無秩序な開発,また家庭排水の流入などにより,河川では今,新たな汚染が発生しつつあると考えられる。このような環境問題の解決には,環境の変化を早期に発見し,それぞれの環境に対応した適切な対策をたてる必要がある。そこで,河川環境の変化を早期に見出すための手段として,細菌数の変動に着目した。細菌は生物ピラミッドの重要な基幹部分を構成し,その短い世代交代時間と多様な能力から,その環境に対応した状態で存在している。そして,一定の細菌フローラを形成している。水系における細菌数,またその制御因子については,Bottら,Birdら,Kogureらの報告があり,細菌数が河川環境を評価するにあたってのひとつの指標となり得ることが示唆されている。本研究では,大阪府北部を流れる箕面川と猪名川に4定点を設定し,1989年2月から1990年7月までの18カ月にわたり全菌数と生菌数を測定することにより,細菌の現存量と河川環境との関係を明らかにすることを試みた。
  • 内藤 正明, 森田 恒幸, 小野 宏哉, 笹原 顕雄
    1991 年 4 巻 4 号 p. 289-294
    発行日: 1991/10/31
    公開日: 2010/06/28
    ジャーナル フリー
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