雑草研究
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41 巻, 2 号
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  • プレマスティラ チャウム, ズングソンティポーン シリポーン
    1996 年 41 巻 2 号 p. 79-83
    発行日: 1996/08/26
    公開日: 2009/12/17
    ジャーナル フリー
    タイの水田でしばしば優占する雑草, ナガボノウルシ (Sphenoclea zeylanica Gaertn.) からのメタノール抽出物質のアレロパシー効果をイネ苗 (Oryza sativa L. cv. RD23) を用いた生物検定により調べた。ナガボノウルシ中の物質のイネ苗に対する生育抑制効果は, 移植後15~90日の範囲で齢, すなわち生育段階に伴って増加した。また, 植物体の各部位からの抽出物質の, イネ苗の根と第2葉鞘の伸長に対する植物毒性は, 種子を含む花序, 葉, 茎, 根の順に強かった。
  • 春原 由香里, 臼井 健二, 松本 宏, 石塚 皓造
    1996 年 41 巻 2 号 p. 84-89
    発行日: 1996/08/26
    公開日: 2009/12/17
    ジャーナル フリー
    著者らはすでに, ダイコン幼植物を供試材料としてクロメプロップの茎葉処理後の形態変化, エチレン放出量, ACC合成酵素活性, ACC酸化酵素活性などを測定し, クロメプロップは植物体内でDMPAへと変化し, DMPAがACC合成酵素を誘導することによってエチレン生成量を増加させ, そこで生成されたエチレンが, ダイコンの形態的変化を引き起こしている可能性が高いことを報告した。
    クロメプロップやDMPAが引き起こす生育抑制効果や形態変化の程度は茎葉処理後と根部処理後で大きく異なることが知られている。そしてその差は茎葉部, 根部での両薬剤の吸収, 移行, 代謝の差異によって引き起こされる, 茎葉部でのDMPA量の差に起因していると推定されている。本研究では, クロメプロップ, DMPAの根部処理による形態変化へのエチレンの関与について明らかにすること, さらに前報の茎葉処理での結果と比較し, 両処理後の形態異常の差異の発現要因についての知見を得ることを目的とした。
    1) クロメプロップを茎葉処理すると, 葉のカーリングや葉の葉柄間角度の増大が見られたが, 根部処理の場合, それらの作用はわずかであった。一方, DMPAを根部処理すると, 茎葉処理よりも顕著な葉のカーリングや葉の葉柄間角度の増大が見られた (Table 1)。
    2) DMPAを根部に処理した後に現れた上記の作用は, エチレン生成阻害剤 (AOA) の前処理でわずかに, エチレン作用阻害剤 (NBD) の後処理により顕著に抑えられた (Table 1)。
    3) クロメプロップ根部処理後のエチレン放出量はわずかに増大したが, 茎葉処理の場合と比較して1/7ほどであった。また, 茎葉処理の場合, クロメプロップとDMPAのエチレン生成誘導は量的, 時間的な差が僅かであるのに対し, 根部処理ではDMPAがより早くエチレン生成を誘導し, エチレン生成量も著しく多かった (Fig. 1)。
    4) クロメプロップ根部処理後のACC合成酵素活性はわずかに増大したが, 茎葉処理後の活性より低かった。一方, DMPA処理後のACC合成酵素活性はクロメプロップと比較するとかなり高く, また茎葉処理よりも根部処理の方が高かった (Fig. 2)。
    5) 根部処理でも茎葉処理同様, クロメプロップ, DMPAはACCからエチレンへの反応を触媒する酵素 (ACC酸化酵素) に対して僅かに阻害的作用を示し, その誘導は起こらなかった (Table 2)。
    これらのことから, 根部処理でもクロメプロップやDMPAがACC合成酵素を誘導し, その結果植物体内にエチレンが蓄積することで形態変化を引き起こしているものと推察される。また, 茎葉と根部処理間で異なる形態異常の程度差異は, 茎葉, 根部でのクロメプロップとDMPAの吸収, 移行, 代謝の差によって引き起こされる, 茎葉部中のDMPA量の差に起因するエチレン生合成の量的, 時間的差が大きく関与しているものと推定される。
  • 森田 弘彦
    1996 年 41 巻 2 号 p. 90-97
    発行日: 1996/08/26
    公開日: 2009/12/17
    ジャーナル フリー
    熱帯・亜熱帯を中心に分布するコヒメビエ (Echinochloa colonum (L.) Link.) が九州地方の熊本県と宮崎県で見いだされた。そこで, 九州に発生したコヒメビエの有効な識別点を調べ, 九州の耕地への定着の可能性を検討した。
    1. 熊本県玉名市産および宮崎県佐土原町産のコヒメビエの小穂は, 長さ2.5~2.6mmで, タイ国産のコヒメビエの2.4mmよりやや大きく, 福岡県筑後市産のヒメイヌビエとほぼ同じ大きさであった。完熟小穂の50粒重は, 71~73mgで, タイ国産のコヒメビエや筑後市のヒメイヌビエの50粒重より重かった。コヒメビエの第1包穎の長さは小穂長の58~62%を占め, ヒメイヌビエの第1包穎より長く, コヒメビエの穂 (花序) の最下の枝梗はヒメイヌビエより短く, 穂の幅はヒメイヌビエより著しく狭かった。コヒメビエは, 穂長と最下枝梗長の比が3.2以上となる点で, ヒメイヌビエから大まかに区分できる。
    2. 10%以下の含水比で-5℃で凍結処理したコヒメビエの種子は80%以上の発芽率を示したが, 含水比50%で1日3時間および6時間処理すると種子はほとんど発芽しなかった。すなわち, 湿潤土壌中で-5℃の条件が1日6時間続くとコヒメビエの種子はほぼ死滅し, この条件が3日から4日間連続すると完全に死滅すると認められた。
    3. 11月から翌年3月までの冬の期間に-5℃以下の最低気温の総日数が1988年から1992年までの5年間で4日以上となる場合をコヒメビエの定着の不可能な越冬条件として, 九州地方の114地点での気温データを調べた。九州山地や筑紫山地やその周辺などの32地点では定着不可能と推定された。最低気温が1℃上昇したと仮定すると, 32地点のうち7地点では定着可能になると推定された。
  • 小林 勝一郎, 中村 直紀, 沈 利星, 永塚 鎮男
    1996 年 41 巻 2 号 p. 98-102
    発行日: 1996/08/26
    公開日: 2009/12/17
    ジャーナル フリー
    谷和原および竜ケ崎水田土壌を供試し, 土壌に処理したメフェナセット [2-(benzothiazol-2-yloxy)-N-methylacetanilide] の生育抑制効果と土壌水中濃度との関係を検討し, 次いで土壌水中濃度と土壌吸着との関係について検討した。
    上記土壌に本剤の水溶液を添加, 混和し, イネ (Oryza sativa cv. Nipponbare) を供試して本剤の生育抑制効果を調べた結果, 谷和原土壌 (軽埴土) に比べ竜ケ崎土壌 (砂壌土) での生育が強く抑制された (Fig. 1)。生育試験に供試した土壌を二重遠心管を用いて遠心分離し, 本剤の存在量を有効水と遠心分離土壌とに分けて測定した。本剤の土壌水中濃度は竜ケ崎土壌で高く, また生育抑制効果は土壌水中濃度が同じであれば, 両土壌でほぼ一致したが, 処理土壌に含まれる全量とは関連がなかった (Fig. 2)。本剤を処理した土壌から採取した土壌水中濃度と蒸留水で直接調整した本剤の水溶液における濃度が同じであれば, 生育抑制効果は同じであった (Fig. 3)。また, 生育試験に用いた土壌を遠心分離して得られた土壌水および固相における本剤の実測量により求めた本剤の固相への吸着は, 竜ケ崎土壌に比べ谷和原土壌で高かったが, 同様にして求めた土壌有機物への吸着量は, 両土壌間での差異は極めて少なく (Fig. 4), 本剤の土壌吸着はほとんど有機物に依存していることが示された。
    これらの結果から, 土壌に施用したメフェナセットの殺草活性は, 主として土壌との吸着, 特に土壌中の有機物との吸着によって支配される本剤の土壌水中濃度に依存して発現すると考えられる。
  • プレマスティラ チャウム, ズングソンティポーン シリポーン
    1996 年 41 巻 2 号 p. 103-106
    発行日: 1996/08/26
    公開日: 2009/12/17
    ジャーナル フリー
  • 佐藤 節郎, 舘野 宏司, 小林 良次, 園田 裕司
    1996 年 41 巻 2 号 p. 107-110
    発行日: 1996/08/26
    公開日: 2009/12/17
    ジャーナル フリー
  • 山口 裕文, 梅本 信也, 正永 能久
    1996 年 41 巻 2 号 p. 111-115
    発行日: 1996/08/26
    公開日: 2009/12/17
    ジャーナル フリー
  • 渡辺 修, 榎本 敬, 西 克久, 俣野 敏子, 冨永 達
    1996 年 41 巻 2 号 p. 116-119
    発行日: 1996/08/26
    公開日: 2009/12/17
    ジャーナル フリー
  • 1996 年 41 巻 2 号 p. 120-121
    発行日: 1996/08/26
    公開日: 2009/12/17
    ジャーナル フリー
  • 松本 宏, 冨永 達, 住吉 正, 橘 雅明, 石坂 眞澄
    1996 年 41 巻 2 号 p. 132-137
    発行日: 1996/08/26
    公開日: 2009/12/17
    ジャーナル フリー
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