雑草研究
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36 巻, 4 号
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  • 村田 源
    1991 年 36 巻 4 号 p. 307-310
    発行日: 1991/12/26
    公開日: 2009/12/17
    ジャーナル フリー
  • 具 石鎮, 權 容雄, 趙 匡衍
    1991 年 36 巻 4 号 p. 311-317
    発行日: 1991/12/26
    公開日: 2009/12/17
    ジャーナル フリー
    イネ, ヒエ間属間選択性除草剤として報告されているキンクロラックの多数の植物に対する生物活性と症状を明らかにするため, 35種類の植物を用いて2,4-D対比のもとに試験した。その結果感受性の程度および症状から感受性植物と耐性植物とに分類した。
    イネ科植物は17種類供試したが, キンクロラックに対し, ヒエ, エノコログサ, メヒシバ, オオクサキビ, トウモロコシは感受性を示し, イネ, コムギ, モロコシ, オートムギ, オヒシバ, カモガヤ, コブナグサ, スズメノテッポウは耐性を示した。感受性を示した植物は, いずれもC4型植物であり, 耐性を示した植物はC3型植物が主であった。感受性イネ科植物へのキンクロラックの症状は, 新葉の脱色および壊死に続いて植物全体が枯死するものであった。
    一方, 広葉植物は18種類供試したが, キンクロラックに対しアブラナ, ダイコン, トウガラシ, ツユクサが耐性を示したが, それ以外の広葉植物は敏感に反応し, オーキシン様症状を発現した。
    次にキンクロラックのオーキシン活性について2種類の生物検定法で2,4-Dと比較検討した。ヒエとモロコシを用いた中胚軸伸長試験において, 2,4-Dは両植物の中胚軸の伸長を誘起したが, キンクロラックはモロコシの中胚軸の伸長は誘起したものの, ヒエのそれは誘起しなかった。
    一方, ダイコンとイチビを用いた子葉柄屈曲試験において, 2,4-Dは両植物の子葉柄の屈曲を誘起したが, キンクロラックはイチビの子葉柄の屈曲を誘起したもの, ダイコンのそれは誘起しなかった。
    以上からキンクロラックの選択性は2,4-Dとは異なり, そのオーキシン活性も植物によって相異に発現した。
    特に感受性を示したイネ科植物に対して, キンクロラックはオーキシン活性を示さなかった。
  • 小島 修一, 松本 宏, 石塚 皓造
    1991 年 36 巻 4 号 p. 318-323
    発行日: 1991/12/26
    公開日: 2009/12/17
    ジャーナル フリー
    ジフェニルエーテル系除草剤は生体膜を構成する脂質の過酸化を引き起こし, 膜を破壊する作用を持つ。この過酸化をもたらす要因として, 光の存在下で活性酸素を生成する働きをもつクロロフィル合成中間体の異常蓄積が指摘されている。その中でもプロトポルフィリンIX (Proto IX) は, 剤の処理後植物体内に急速に蓄積することから, ジフェニルエーテル系除草剤の作用の原因物質であると推定されている。しかし, これらの研究は培養細胞や切断組織などを用いて行われてきており, 無傷の植物体を用いた研究例はほとんどない。そこで本研究ではアオウキクサ (Lemna paucicostata Hegelm.) を無傷の植物材料とし, Proto IX の蓄積と殺草活性との関係を調べた。
    アオウキクサに光照射下で oxyfluorfen を処理したところ, 体内に急速に Proto IX が蓄積し, 4時間後に最大となり, その後は急速に減少した (Fig. 1)。また4時間後に植物を暗所に移すと減少速度はわずかに抑制されたが, 蓄積した Proto IX は暗所でも分解することが示された (Fig. 1)。このことは Proto IX の減少に光分解が関与していること, ならびに暗所でも起こる分解, もしくは代謝が関与していることを示唆した。oxyfluorfen の処理後も継続して暗所においた場合でも Proto IX の蓄積がみられたが, ピーク時でも蓄積量は明所でのそれの1/4程度であった (Fig. 1)。oxyfluorfen の処理濃度が増加するにつれて Proto IX 蓄積量と電解質の漏出量が増加し, これらの間には正の相関がみられた (Fig. 2)。さらに数種のジフェニルエーテル系除草剤をそれぞれ1μMで処理したところ, これらによる Proto IX 蓄積量と電解質の漏出量との間にも正の相間があった (Fig. 3)。これらのことから, アオウキクサに対するジフェニルエーテル系除草剤の殺草活性は Proto IX 蓄積量に依存しており, Proto IX が電解質の漏出を引き起こす原因物質であることが強く示唆された。
  • 駒井 功一郎, 野口 英治, 濱田 昌之
    1991 年 36 巻 4 号 p. 324-328
    発行日: 1991/12/26
    公開日: 2009/12/17
    ジャーナル フリー
    オオイヌノフグリ植物体よりイリドイド化合物を単離し, その生物活性について若干の検討を行った。
    1. 単離したイリドイド化合物は, アオキより初めて単離されたイリドイド配糖体 aucubin と同定した。本化合物はβ-glucosidase による加水分解によって glucose を遊離して非糖体 aucubigenin を生成した。
    2. 2両成分は共に1×10-4Mから6×10-3Mでイネおよびホワイトクローバ幼苗に対して強い生長抑制活性を示した。しかしレタスとメヒシバ幼苗に対する生長抑制活性は, aucubin に比較して非糖体 aucubiginin で強い。レタス種子発芽に対して aucubin は抑制活性を示さないが, aucubigenin では強い発芽抑制を示した。
    3. 両成分は共に抗微生物活性を示すが, その活性は植物の場合と同様 aucubigenin で強い傾向にあった。これらの結果は, aucubin の抑制活性が主にβ-glucosidase によって生成する非糖体 aucubigenin のヘミアセタール構造にあることが推察される。
  • 駒井 功一郎, 久保 豊, 増田 依子, 濱田 昌之
    1991 年 36 巻 4 号 p. 329-333
    発行日: 1991/12/26
    公開日: 2009/12/17
    ジャーナル フリー
    ハマスゲ精油よりセスキテルペンアセテートを結晶状で単離し, その関連成分数種を合成してそれらの生理作用について検討した。
    1) 単離したセスキテルペンアセテートを sugetriol triacetate と同定した。本成分のアルカリ加水分解によって sugetriol monoacetate, sugetriol diacetate および sugetriol の3成分を誘導した。一方, sugetriol のCrO3酸化によってその triketone 体と diket-ol 体を得た (Fig. 1)。
    2) Sugetriol triacetate はレタスおよびメヒシバ幼苗に対して阻害活性を示さなかった。またその monoacetate 体, diacetate 体および sugetriol はいずれもレタス幼苗の幼根伸長を促進したが, メヒシバには阻害作用を示した (Table 1, 2)。
    3) Triketone 体と diketo-ol 体には処理後5日でクロロシスおよびネクロシスを発現した。クロロシスは triketone 体で強く, 250ppmで幼苗を枯死させた (Table 1, 2, Fig. 2)。
  • 一前 宣正, 米山 弘一, 近内 誠登, 竹松 哲夫
    1991 年 36 巻 4 号 p. 334-337
    発行日: 1991/12/26
    公開日: 2009/12/17
    ジャーナル フリー
    フロアブル剤による水田除草法を確立するために, 数種フロアブル剤と粒剤のタイヌビエ防除効果に及ぼす降雨に伴なうオーバーフローの影響について検討した。その結果, butachlor の効果は処理1日後, 2日後, 3日後の降雨で低下し, chlornitrofen と piributycarb の効果は処理1日後の降雨で低下した。しかし, 降雨条件下での除草効果および田面水中における除草剤濃度の経時変化に対して剤型による影響はほとんど認められなかった。
  • 一前 宣正, 竹内 崇, 重川 弘宜, 近内 誠登, 竹松 哲夫
    1991 年 36 巻 4 号 p. 338-342
    発行日: 1991/12/26
    公開日: 2009/12/17
    ジャーナル フリー
    フロアブル剤による水田除草法を確立するために, 数種除草剤のフロアブル剤と粒剤による除草効果の比較を温室条件で実施した。その結果, butachlor のフロアブル剤は粒剤とほぼ同程度の効果を示した。また, dymron のフロアブル剤は粒剤よりも約2倍強く, chlornitrofen のフロアブル剤は粒剤よりも約3倍強い効果を示した。しかし, 土壌の種類, 湛水深, 漏水および温度の異なった条件下における除草効果の変動に対して剤型による影響はほとんど認められなかった。
  • 高江洲 賢文
    1991 年 36 巻 4 号 p. 343-351
    発行日: 1991/12/26
    公開日: 2009/12/17
    ジャーナル フリー
    沖縄県の主要作物として, サトウキビ, パイナップル, 野菜を取り上げ, これらの栽培畑における雑草群落の変化を調査し, 作物栽培が雑草群落の周年変化におよぼす影響を明らかにした。
    1. 雑草群落の平均草高の推移を各作物の高さと比較すると, サトウキビ畑では春植えの生育初期を除いて, サトウキビより低かった。パイナップル畑における雑草の草高は, 春植え畑ではパイナップルより低いが, 株出し畑では高かった。また野菜畑ではほぼ周年にわたって雑草の草高が野菜より高かった。
    2. 各作物畑の出現種数の周年変化は周年出現種を基本構成種として, 季節出現種の増減によって変動した。周年出現種はサトウキビ春植え畑で最も少なかった。季節別出現種数は, サトウキビ畑では春から季節を追って減少し, パイナップル畑, 野菜畑では夏期に少なく冬春期に多かつた。年間の出現種数は, 耕起や肥培管理の最も多い野菜畑で最も多く, 耕起の少ないパイナップル株出し畑は最も少なかった。
    3. 出現雑草の出現型を出現開始季節と出現期間によって分けると, 周年出現型と長期春出現型, 長期秋出現型の3型が多かった。優占種の出現型は周年出現型, 長期の春, 秋出現型, 短期の春, 夏, 秋, 冬出現型が多かった。
    4. 各作物畑における雑草の出現型は, 全作物 (作型) 畑で周年出現型を示した草種の他, 全作物畑で出現し, 作物畑によって出現型が異なる草種, 全作物畑で季節出現型となる草種, 特定の作物畑で周年出現型, または季節出現型となる草種があった。
    5. 周年出現種の中に, 一年草 (越年草) でありながら, 個体間の生育期間が異なるため周年にわたって出現する通年生一年草があった。パイナップル株出し畑では周年出現種が多く, その中には多年生雑草が多く含まれた。
  • 高江洲 賢文
    1991 年 36 巻 4 号 p. 352-361
    発行日: 1991/12/26
    公開日: 2009/12/17
    ジャーナル フリー
    沖縄県の主要作物畑における雑草群落を調査し, 各作物畑の主要雑草を摘出するとともに, 各作物畑雑草の群落組成を比較し, 各々の群落特性を明らかにした。
    1. 本調査における全出現種数は57科222種で, 各作物畑の出現種数はサトウキビ畑では157種, パイナップル畑では131種, 野菜畑では136種であった。総合常在度I (ただし, 出現頻度10%以上)~IIIを示したのは28種で, 総合常在度IV以上の出現種は認められなかった。
    2. 各作物畑の主要な優占種は, サトウキビ畑ではキク科雑草とイネ科雑草, パイナップル畑ではイネ科雑草, 野菜畑では広葉雑草が多かった。常在度および優占種の上位出現種は沖縄多発種が多く, 地域性の高い雑草群落であった。
    3. 各作物畑の出現種のうち, 常在度および優占種の出現率等から主要雑草として, サトウキビ畑ではムラサキカッコウアザミ, オガサワラスズメノヒエ, メヒシバ, パイナップル畑ではタチスズメノヒエ, オガサワラスズメノヒエ, メヒシバ, 野菜畑ではヤエムグラ, ウシハコベ, ムラサキカタバミをあげた。
    4. パイナップル畑と野菜畑は共通出現種が少なく, また, 類似度指数も最も低く, 両作物畑の種組成は著しく異なった。
    5. 生活型組成はどの作物畑でもTh・R5・D4・eで沼田が示した典型的耕地群落型であったが, 各形質の割合は作物畑によって異なった。
  • 渡辺 寛明, 宮原 益次, 芝山 秀次郎
    1991 年 36 巻 4 号 p. 362-371
    発行日: 1991/12/26
    公開日: 2009/12/17
    ジャーナル フリー
    イヌホタルイの種子が多量に散布された水田土壌中から4年間にわたって種子を採取して, 発芽試験法によって休眠の検定を行い, 土壌中における種子の生存状態の推移を検討した。
    1) 種子の発芽は密栓水中およびペトリ皿内湛水土壌を発芽床とした場合に良好であり, 湿潤濾紙上および開放水中は休眠を検定するための発芽床としては不適当であった。
    2) 水田土壌中から採取した種子は15℃から30℃までの恒温条件で発芽したが, 20℃以下では採取時期によって発芽率および平均発芽日数が大きく異なった。10℃では全く発芽しなかった。
    3) 秋耕によって土壌中に埋没した自然落下種子の大部分は, 翌年の3月までに休眠が覚醒したが, 無秋耕で4月まで水田の土壌表面におかれた種子は休眠覚醒が遅れた。
    4) 代かき後の発生数は10cmの土壌層の生存種子数の約8%であり, 大部分の種子は未発芽のまま湛水土壌中で二次休眠に入った。二次休眠種子も落水後, 冬から春にかけて徐々に休眠が覚醒し, その後休眠の導入と覚醒を毎年季節的に繰り返した。
    5) 水田土壌中の生存種子数は毎年前年の種子数の約30%ずつ減少し, 4年後の生存種子数は初年目の約35%であった。生存種子数の減少率と実際の発生数から, 水田土壌中では20%程度の種子が毎年発芽前あるいは発芽後に土壌中で死滅しているものと考えられた。
  • 高柳 繁
    1991 年 36 巻 4 号 p. 372-379
    発行日: 1991/12/26
    公開日: 2009/12/17
    ジャーナル フリー
    本研究の最終目標は, 雑草と作物の光競争過程を数学的にモデル化し, シミュレーション操作を通して雑草害の早期診断法を開発することにある。本報では, その第一段階としてメヒシバとダイズを対象とし, それぞれの種の単植群落の成長・発育モデルをシステムダイナミックスの手法で策定した。モデル策定のための情報は, 主として圃場試験および文献から収集した。モデルの妥当性の検証に用いた実測データは, モデル作成の際に情報を収集した試験成績以外の結果を用いた。実測値とシミュレーション値とは両種とも概ね良好に一致し, 改良すべき点についても明らかにされた。
  • 高柳 繁, 草薙 得一
    1991 年 36 巻 4 号 p. 380-388
    発行日: 1991/12/26
    公開日: 2009/12/17
    ジャーナル フリー
    ヒメシバとダイズの光競争の機構をモデル化し, 混合群落における両種の成長過程をシミュレートした。両種の成長の基本的な過程は, 前報と全く同じである。
    光競争は, 混合群落全体を垂直方向に10層に分け, 層別葉面積の決定→層別光強度の決定→層別光合成速度の決定, という三つの過程を通して実現すると考えた。層別葉面積は, それぞれの種の草高, LAI, 葉面積の垂直分布パターンから決定される。ヒメシバの草高は草丈と群落内相対照度, さらに草丈は個体当たりの地上部乾物重から求める。ダイズの草高は単位面積当たりの地上部乾物重から直接求められる。積算葉面積密度の垂直分布パターンは, 相対的には経時変化しないとし, それぞれの種の分布パターンをロジスチック式で近似した。本モデルを用いて, 両種の密度および単位面積当たり乾物重の組合せ, 播種年次, 播種時期等を変えて計算し, 実測値と比較した結果, 量的な面では問題も残ったが, 現実の光競争機構を概ね良好にシミュレートすることが明らかとなった。
  • 松本 宏, 冨永 達, 住吉 正, 石坂 眞澄
    1991 年 36 巻 4 号 p. 391-396
    発行日: 1991/12/26
    公開日: 2009/12/17
    ジャーナル フリー
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