雑草研究
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43 巻, 1 号
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  • 鬼頭 誠, 吉田 重方
    1998 年 43 巻 1 号 p. 1-9
    発行日: 1998/05/06
    公開日: 2009/12/17
    ジャーナル フリー
    植物茎葉 (セイタカアワダチソウ葉部, ヨモギ茎葉部, ススキ茎葉部, クズ茎葉部, ダイズ茎葉部, トウモロコシ茎葉部およびモリシマアカシア葉部) を添加した土壤の培養に伴うレタス種子発芽および幼根伸長生長に対する他感作用の消長を調査した。
    1. 植物茎葉を添加した初期培養土壤から得た水抽出液いずれも, レタス種子発芽を著しく抑制したが, 培養日数の経過に伴い発芽抑制作用は消失した。ただし, セイタカアワダチソウ葉部を添加した土壤では全培養期間を通して強い発芽抑制作用が持続した。
    2. 植物茎葉を添加した土壤の培養開始時に得た水抽出液は, レタス幼根伸長生長を抑制したが, 培養期間の経過に伴い抑制作用は急速に消失し, その後, 一過的な幼根伸長促進作用を示した。とくに, セイタカアワダチソウ葉部を添加した土壤では, その促進作用が他の植物茎葉を添加した土壤に比べて強く, かつ, 長期間持続した。
    3. セイタカアワダチソウ葉部およびモリシマアカシア葉部のエタノール可溶画分を添加して培養した土壤のレタス種子発芽および幼根伸長生長に対する他感作用の消長は未分画の両植物葉部を添加した場合とよく一致した。
  • ホサイン アムザド, 石嶺 行男, 谷口 清, 近内 誠登, 赤嶺 光, 倉持 仁志, 村山 盛一
    1998 年 43 巻 1 号 p. 10-19
    発行日: 1998/05/06
    公開日: 2009/12/17
    ジャーナル フリー
    熱帯・亜熱帯地域の畑地などに成育するハイキビは, 多年生強害雑草として知られており, その防除法の確立が望まれている。著者らはサトウキビ畑におけるハイキビの化学的防除を試みるために, 先の報告でハイキビ防除に効果のある薬剤5剤を選抜した。その中の1つアシュラムは, サトウキビ畑におけるジョンソングラスの防除剤として報告があり, サトウキビ畑での使用が可能な薬剤と考えられた。そこで本実験では, サトウキビとハイキビをポットに混植し, 異なる剤型のアシュラム (液剤37%, 顆粒水溶剤80%) を薬量, 使用時期をかえて散布し, それぞれの影響について調べたところ, 以下の知見を得た。
    ハイキビヘの影響を見ると, 設定した薬量2, 3および4kg ai/haではいずれの剤型も, 植付後20日 (20DAP) の処理では28日後に, また植付後40日 (40DAP) の処理では35日後に完全に枯死した (Table 1, 2, 3, 4)。
    一方, サトウキビヘの影響を見ると, 20DAPの処理では, 両剤型とも4kg ai/ha施用区において生育阻害が現れ, 収量は著しく減少し薬害が認められたが, 2および3kg ai/ha施用区においては両剤型とも生育阻害はほとんど見られなかった (Table 5)。また, 40DAPの処理ではいずれの剤型, 濃度においても顕著な成育阻害は見られなかった (Table 6)。
    これらの試験結果より, サトウキビ定植後20~40日では, アシュラム液剤およびアシュラム顆粒水溶剤は, 2kg ai/haの茎葉処理でハイキビを完全に防除し, またサトウキビに対して薬害は全く認められなかったことから, サトウキビ畑の有効なハイキビ防除剤になる可能性が示された。
  • 渡辺 修, 富永 達, 俣野 敏子
    1998 年 43 巻 1 号 p. 20-25
    発行日: 1998/05/06
    公開日: 2009/12/17
    ジャーナル フリー
    西日本で同所的に成育するツクシスズメノカタビラとスズメノカタビラの種内および種間競合の強さを明らかにするために, 周辺個体の種類と密度が中心個体の生育や繁殖に与える影響を調べた。直径12cmのポットの中心にツクシスズメノカタビラあるいはスズメノカタビラを一個体植え, 中心個体から5cmの距離に周辺個体数を3, 6, 8と変化させた単植区と混植区を設けた (Fig. 1)。中心個体の栄養生長と生殖生長の各形質に対する周辺個体数 (3水準), 周辺個体の種類 (2水準), 中心個体の種類 (2水準) およびそれぞれの要因の相互作用を3元配置の分散分析法を用い検定した。
    ツクシスズメノカタビラの各器官の乾物量はスズメノカタビラのそれよりも常に多くなる傾向がみられた (Fig. 3)。しかし, スズメノカタビラの乾物量は単植, 混植ともあまり差はなかった。両種の各器官の乾物量は密度に大きく影を受けたが, 周辺個体の種類にはほとんど影響を受けず, 種間競合はほとんどみられなかった (Table 1)。ツクシスズメノカタビラは種内競合が認められたが, 密度が高くなると周辺個体の種類の影響は認められなかった。Spittersによる総乾物量の逆数を密度ごとにプロットするモデルを用い (Fig. 2), 種内および種間競合の強さを評価したが, 種内および種間競合は両種間でほとんどみられなかった (Fig. 4)。
    これらの結果から両種の競合能力は他種を排除するほど強くなく, 両種が同所的に生育しうる理由の一つであると思われた。
  • 根本 正之, 大塚 俊之
    1998 年 43 巻 1 号 p. 26-34
    発行日: 1998/05/06
    公開日: 2009/12/17
    ジャーナル フリー
    水田畦畔を含む農耕地周辺に自生する小型植物のムラサキサギゴケ, オオジシバリ及びヤブヘビイゴを植栽した試験区において, これらの小型植物が8月上旬から10月上旬にかけて発生した雑草に及ぼす影響について検討した。
    1) 供試植物はいずれも多年生のほふく-偽ロゼット型の生育型を示すが, その葉群構造は異なった。オオジシバリの草高が最も高く, 他2種はほぼ同様の草高で推移した (Fig. 1, Table 1)。いずれも4月中旬からほふく茎の伸長が旺盛となった。ほふく茎の伸長速度はヤブヘビイチゴが最大であった (Fig. 2)。ムラサキサギゴケは地表面を密に被覆し, その地上部現存量は最大であっ (Table 1)。
    2) 供試植物のない対照区と比べて, 供試植物を植え付けた処理区ではいずれも発生した雑草の地上部乾重が有意に少なく, 供試小型植物による発生雑草の生育抑制効果が認められた (Fig. 3)。供試植物のほふく茎が一様に処理区内を覆った7月23日時点の, 処理区全体に占める緑葉部分の割合 (%) と, 最終除草 (8月9日) 後に発生した雑草の地上部乾重との間には負の相関が認められた (Fig. 4)。
    3) 試験圃場内に発生した雑草は39種でそのうち約80%は一年生雑草であった。すべての区において, 発生雑草中メヒシバの現存量が圧倒的に多かった (Table 2, Fig. 5)。処理区ごとに求めた発生雑草の多様性指数はヤブヘビイチゴ区が最大で, ムラサキサギゴケ区で最小であった (Table 3)。
  • 長尾 明子, 臼井 健二, 松本 宏
    1998 年 43 巻 1 号 p. 35-42
    発行日: 1998/05/06
    公開日: 2009/12/17
    ジャーナル フリー
    フェンクロリムによるイネ GST (pretilachlor) 活性の誘導と, プレチラクロールによる誘導を比較した。GST (pretilachlor) 活性はフェンクロリム処理後, プレチラクロール処理以上に増大した (Fig. 1)。抗酸化系酵素のカタラーゼも同様に活性が増大したが, SOD活性はあまり増大しなかった。したがって, フェンクロリム処理後の活性酸素の蓄積はプレチラクロールに比べると少ないと思われた。両化合物処理前にフリーラジカル捕捉剤を処理すると, プレチラクロール処理による活性の誘導はある程度抑えられたが, フェンクロリムによる活性の誘導はそれほど抑えられなかった (Fig. 2)。したがって, フェンクロリムによる GST (pretilachlor) 活性の誘導にはプレチラクロールの場合ほどスーパーオキシドは関係していないと考えられた。また, 一重項酸素の捕捉剤を処理した場合には (Fig. 3), GST活性の増大の抑制はどちらの処理の場合もわずかであった。フェンクロリム処理後, GSH含量は減少していたが, プレチラクロール処理に比べるとその程度は小さかった (Fig. 4)。両化合物処理前にGSHを処理すると, プレチラクロールによる GST (pretilachlor) 活性の誘導はほとんど抑えられたが, フェンクロリムによる誘導はあまり抑えられなかった (Fig. 5)。このことより, プレチラクロールによる GST (pretilachlor) 活性の誘導にはGSH含量の減少が大きな影響を与えるが, フェンクロリムによる誘導にはそれほど影響しないことが示唆された。まとめると, グルタチオン抱合される化合物の場合, GSTの誘導に活性酸素は関与するが, その関与の大小は化合物によって異なり, それは処理後のGSH含量の低下の大小と関係があるように思われた。
  • 冨永 達, 新田 みゆき
    1998 年 43 巻 1 号 p. 43-48
    発行日: 1998/05/06
    公開日: 2009/12/17
    ジャーナル フリー
    エゴマは古くから油料作物として栽培されてきたが、一部が逸出し、畑の周縁などで雑草として生育している。長野県内で収集した雑草型のエゴマ1集団と栽培方法の異なるエゴマ3集団 (Table 1) の発芽特性を比較した。
    1993年5月に各集団の種子を播種し、10月から11月にかけて収穫した。収穫した種子を5℃貯蔵群、変温 (Fig. 1) 貯蔵群の2群に分け、1ヵ月ごとに25℃恒温条件下で発芽を調査した。とりまき種子の発芽も調査した。発芽試験は100粒×3反復で行った。
    一般に貯蔵期間が長くなるほど、また、変温条件下で貯蔵した種子の方が発芽率が高かった。雑草エゴマでは、貯蔵期間が2ヵ月以内では発芽がまったく認められなかったが、最も栽培化が進んでいると推定された集団では、とりまき種子で14%が、2ヵ月間変温条件下で貯蔵した種子では80%が発芽した (Figs. 2, 3)。他の2集団は両者の中間の値を示した。エゴマの発芽率における変異は、栽培化の程度に対応していると推定された。
  • 平瀬 寒月, 岸 大輔
    1998 年 43 巻 1 号 p. 49-53
    発行日: 1998/05/06
    公開日: 2009/12/17
    ジャーナル フリー
  • 川口 俊, 小笠原 勝, 竹内 安智, 近内 誠登
    1998 年 43 巻 1 号 p. 54-56
    発行日: 1998/05/06
    公開日: 2009/12/17
    ジャーナル フリー
  • 沈 利星, 三浦 励一, 石川 枝津子, 橘 雅明, 内野 彰, 石坂 真澄
    1998 年 43 巻 1 号 p. 57-65
    発行日: 1998/05/06
    公開日: 2009/12/17
    ジャーナル フリー
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