ダイズ, ラッカセイ, カンショ, タバコなどに対して作用の小さい選択性除草剤 vernolate について, その除草効果および実用性をプラスチックマルチ栽培場面に導入して検討した。
(1) 薬剤処理方法と除草効果との関係を検討したところ, 除草力の強さは土壌混和後マルチ≧土壌表面処理後マルチ>土壌混和処理>土壌表面処理の順位であった。すなわちマルチすることにより, 従来の使用方法である土壌混和に要する労力が省け, さらに薬量が1/2程度に減量できることが明らかとなった。
(2) 薬剤処理後マルチングまでの時間と効果との関係を検討したところ, マルチングまでの時間が経過するにしたがって除草効果は徐々に低下した。すなわち土壌表面に処理後12時間以内にマルチングすると十分な除草効果を示すことが判明した。
(3) 規格品疏菜用プラスチックシートホールの大きさと除草効果との関係を検討したが, とくに関係は認められなかった。
(4) 薬剤土壌処理深度と除草効果との関係を検討したところ, 土壌表面より0~3cmの処理深度ではマルチ区, 無マルチ区いずれも高い除草効果を示したが, 処理深度が4cm≦では, いずれの区もかなり効果は低下し, 10cmではまったく効果を示さなかった。
(5) 薬剤処理期間中の温度と除草効果との関係を検討したところ, マルチ区では明らかに処理後の温度が高いほうが高い除草効果を示したが, 無マルチ区では実験した条件でいずれも除草効果が低く, 高低温による差が明らかでなかった。
(6) 本剤がきわめて揮発性であることから, その気化成分の効果を検討したところ, 気化成分は強力に供試植物茎葉部の生育を抑制し, これは作用性からみて有効成分そのものの作用と判断される。
(7) 実用性については, タバコおよびトマトを供試し検討したが, 土壌表面処理後混和せずマルチ処理後移植 (あるいは移植後, 土壌表面処理後マルチ) した場合, いずれも薬害なく, 除草効果はきわめて高かった。なおタバコを用いた場合はマルチ, 無マルチにかかわらず混和すると薬害が発生しやすいので, プラスチックシート使用場面に本剤を導入する場合は必ず土壌表面処理後マルチ処理の方法を行なうべきであろう。
(8) 以上の結果を総括すると, vernolate 剤をプラスチックマルチ栽培場面に導入することは可能であり, その際は薬量, 労力の両面から考えて土壌混和の方法と比較し, 土壌表面処理後マルチの方法はきわめて経済的であることが判明した。
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