白山の亜高山帯に生育する高山植物ハクサンオオバコは1年の生育期間中に2回の開花期をもつことがあり,2回目の開花期が国内外来種オオバコの開花期と重複することによって種間交雑が起こる。本研究では,温度条件が両種の開花に及ぼす影響を栽培実験によって検討した。ハクサンオオバコでは,低温区(20/15°C)と高温区(25/20°C)ともに2回の開花期がみられた。そして,花序の節位と開花時期の関係から,ハクサンオオバコは生育期間中に花芽を形成し(プレフォーメーション),その花芽を休眠させて越冬し,翌年の融雪直後に開花するフェノロジーをもつが,一部の花芽が生育期間中に開花に至ることがあり,2回咲きを生じていることが証明された。一方,オオバコは生育期間に形成した花序を当年中に開花させた。そして両種ともに低温区よりも高温区で開花開始日が早まり,開花花序数が増加したこと,有効積算温度に対する開花量の分布が両種で重なったことなどから,開花が温度に依存することが示された。気温が上昇すると両種の開花期間が延長したり開花量の重複が増えたりすることによって種間受粉の機会が増加して,種間交雑が発生しやすくなると考えられた。
愛知県の水稲乾田直播栽培におけるシハロホップブチル抵抗性イヌビエに対し,有効な代替除草剤を検討した。現地圃場での試験では,ペノキススラム,ビスピリバックナトリウム塩処理で高い防除効果が得られた。また,県内各地の26地点の調査では,18地点からシハロホップブチル処理で枯死率の低いイヌビエが見いだされた。いずれの集団も上記2剤に加え,フロルピラウキシフェンベンジル処理において,枯死率が100%となった。以上より,シハロホップブチル抵抗性イヌビエは愛知県内広域に発生していること,ペノキススラム,ビスピリバックナトリウム塩,フロルピラウキシフェンベンジルが有効な代替除草剤であることが示された。