雑草研究
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67 巻, 3 号
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原著論文
  • 浅見 秀則
    2022 年 67 巻 3 号 p. 129-136
    発行日: 2022年
    公開日: 2022/10/12
    ジャーナル フリー

    ダイズ圃場で蔓延する帰化アサガオ類に対する有効な除草剤処理体系を構築するため,2019年~2020年に広島県内のマルバルコウまたはマメアサガオが蔓延する生産者のダイズ圃場において,各草種の生態的特性の解明および新規選択性茎葉処理剤であるフルチアセットメチル乳剤およびイマザモックスアンモニウム塩液剤を組み入れた茎葉処理剤処理体系の防除効果を検討した。マメアサガオはマルバルコウと比較して累積出芽率が早期に上昇し,累積出芽率が90%に達したのは,マルバルコウではダイズ播種16~27日後,マメアサガオでは10~14日後であった。また,葉齢進展や蔓化の時期もマメアサガオの方が早く,マルバルコウと比較して初期生育が早い傾向であった。茎葉処理剤の処理区では,秋季のマメアサガオの残草量とダイズの苗立ち数との間には負の相関関係が,ダイズ群落内相対光量子束密度との間には正の相関関係がそれぞれ認められた。従って,マメアサガオに対する茎葉処理剤の防除効果を高める上では,茎葉処理剤の適期処理に加えて,ダイズの苗立ち数の確保や初期生育促進によるダイズの被陰効果の向上が重要であると考えられた。

  • 大森 彩子, 辻 康介, 杉本 充, 冨永 達
    2022 年 67 巻 3 号 p. 137-142
    発行日: 2022年
    公開日: 2022/10/12
    ジャーナル フリー

    京都府のアズキ圃場では,ヒロハフウリンホオズキ(Physalis angulata L. var. angulata)およびホソバフウリンホオズキ(P. angulata var. lanceifolia (Nees) Waterfall)が多発し,アズキの減収や品質低下をもたらしている。両変種の発芽特性を解明するために,種子発芽に及ぼす光,あるいは低温処理も含めた温度の影響を調査した。採取直後のホソバフウリンホオズキ種子は25/15°C以上の変温条件下で明・暗両条件下ともに15%以上発芽したが,ヒロハフウリンホオズキ種子の発芽率は明・暗両条件下ともに5%未満であった。野外で7ヶ月あるいは9ヶ月保管後のホソバフウリンホオズキ種子の発芽率は変温・暗条件および恒温条件下において5%未満であったが,ヒロハフウリンホオズキ種子の発芽率は25/15°C以上の変温条件下において28.9%~93.3%,20°C以上の恒温条件下において6.6%~92%であった。さらに,低温処理前のヒロハフウリンホオズキ種子の発芽率は14.4%であったが,明条件下および暗・湿潤条件下における低温処理により発芽率は45.6%~100%に上昇した。以上の結果から,種子散布後の休眠覚醒に対する環境要求性は両変種間で異なる可能性が示唆された。

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