雑草研究
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46 巻, 3 号
選択された号の論文の10件中1~10を表示しています
  • 神崎 充, 鳥生 和夫, 大石 博實, 白川 憲夫
    2001 年 46 巻 3 号 p. 169-174
    発行日: 2001/09/28
    公開日: 2009/12/17
    ジャーナル フリー
    移植水稲に対するカフェンストロールの薬害の発現要因を明らかにするため, 水稲の葉令, 苗質, 移植深, 温度, 土質, 湛水深および漏水の有無と薬害の関係を調べた。その結果, 葉令, 苗質, 温度, 土質, 湛水深および漏水は, 移植水稲に対するカフェンストロールの作用に大きな影響をおよぼさなかった。しかし, 水稲が浅植えされ, しかも根部が地表面に露出した場合に, 生育が強く阻害された。
    以上の結果から, 移植水稲に対するカフェンストロールの主たる薬害発現要因は, 移植深と根部の地表への露出程度であることが示唆された。
  • 古原 洋, 内野 彰, 渡邊 寛明
    2001 年 46 巻 3 号 p. 175-184
    発行日: 2001/09/28
    公開日: 2009/12/17
    ジャーナル フリー
    北海道および東北で採取されたスルホニルウレア系除草剤抵抗性イヌホタルイ (Scirpus juncoides Roxb. var. ohwianus T. Koyama) 8集団および感受性6集団の1998年産種子を供試し, 15℃および30℃の温度条件, 湛水土壌および密栓水中条件下での発芽について検討した。その結果, 15℃湛水土壌の低温条件下で, 抵抗性イヌホタルイの多くは感受性イヌホタルイよりも発芽率が高く, 発芽速度も速やかであった。
    上記供試イヌホタルイのうち, 抵抗性3集団および感受性1集団について, 1999年産種子を用いて再試験を実施したところ, 1998年産種子と同様の結果が得られたことから, 種子の発芽にみられる集団間差異は遺伝的な差異と考えられた。
    抵抗性および感受性イヌホタルイが混生する現地水田において, 発生時期毎にイヌホタルイ実生の抵抗性検定を行った結果, 抵抗性個体の発生が感受性個体よりも速やかであり, 移植後10日までに大部分の個体が発生を終えていることが明らかとなった。
    代かき後の雑草発生時期が低温で推移する北海道においては, 低温発芽性に優れる抵抗性イヌホタルイの発生は, 感受性イヌホタルイよりも速やかである場合が多いと予想される。したがって, 抵抗性イヌホタルイ発生水田では, 除草剤の処理時期を逸しないように, 水稲移植直後より注意深くその発生を観察することが重要であると示唆された。
  • 榎本 敬, 深井 いと代, 福山 利範, 武田 和義
    2001 年 46 巻 3 号 p. 185-193
    発行日: 2001/09/28
    公開日: 2009/12/17
    ジャーナル フリー
    国内の植物標本庫に保存されているホウキギク類 (AsterOxytripolium 節) の標本225点を調査した結果, 次の3つの分類群が帰化種として確認された。すなわち, 1) Aster subulatus Michx. var. subulatus, 2) Aster subulatus Michx. var. sandwicensis A. G. Jones, 3) Astey subulatus Michx. var. elongatus Bosserdet である。原色日本帰化植物図鑑で用いられている和名ではそれぞれホウキギク, ヒロハホウキギク, オオホウキギクに相当する。
    体細胞染色体数は, ホウキギクで2n=20, ヒロハホウキギクで2n=10, オオホウキギクで2n=20であり, 染色体の基本数はX=5と推定された。これは日本に自生する Aster 属の染色体の基本数X=9と異なっていた。
    ホウキギクとヒロハホウキギクの間では自然雑種が形成され, ムラサキホウキギクと命名した。その染色体数は2n=15の3倍体であった。ムラサキホウキギクの舌状花はうす紫色であり, ホウキギクの白,ヒロハホウキギクのピンク色とは異なっており, 種子は不稔である。ヒロバホウキギクとオオホウキギクの間にも自然雑種が形成されオソザキホウキギクと命名した。いずれの自然雑種も, 人工交配の変種間雑種と同じ形態的特徴を示した。ホウキギクとオオホウキギクでは人工交配による雑種種子が得られたが, 種子は発芽後すぐに死亡した。
  • 石神 真智子, 梅本 信也, 中山 祐一郎, 山口 裕文
    2001 年 46 巻 3 号 p. 194-200
    発行日: 2001/09/28
    公開日: 2009/12/17
    ジャーナル フリー
    日本全土の野原, 畦畔などに生育する形態的変異の大きいイネ科の一年草であるコブナグサは, 東京都八丈島で絹織物「黄八丈」の染料用として栽培されている。栽培の影響による形質の変化を検討するために, 八丈島で栽培されているコブナグサ3系統と野生 (雑草) のコブナグサ11系統および近畿地方の野生のコブナグサ5系統を比較栽培し, 出穂の特徴と形態的変異を調査し, 主成分分析による総合的評価を行った。
    栽培コブナグサでは, 出穂期間が短く, 分げつ枝が高い同時生長性を示し, 植物体の成熟の均一性が高く, 種子の脱粒性が低く, 葉, 茎, 穂などの器官が大型化する傾向にあった。八丈島の野生コブナグサは多様であったが, いくつかの形質において栽培コブナグサに似る傾向を示した。一方, 近畿地方の野生コブナグサは出穂期間の著しく長い系統があり, 分げつ枝の生長や植物体の成熟がばらつき, 脱粒性も高く, 器官のサイズが全体に小さくなる傾向にあった。
    主成分分析による第1主成分と第2主成分のスコア散布図は栽培コブナグサと八丈島の野生コブナグサおよび近畿地方の野生コブナグサの変異の状態を良く示し, 栽培コブナグサと八丈島の野生コブナグサは部分的な重なりを示したが, 近畿地方の野生コブナグサは両者と重ならなかった。
    八丈島の栽培コブナグサでは, 出穂期間や分げつ枝の同時生長性などに栽培行為による無意識的な選択が働いており, さらに, 積極的な栽培によって器官の大型化が進んだと推定された。
  • 稲村 達也, 山本 卓司, 吉田 弘, 杉山 高世, 西尾 和明
    2001 年 46 巻 3 号 p. 201-210
    発行日: 2001/09/28
    公開日: 2009/12/17
    ジャーナル フリー
    クログワイ (Eleocharis kuroguwai Ohwi) の塊茎形成期間における吸収日射量を4水準の遮光強度処理によって抑制し, その地上部乾物生産を人為的に変化させることで塊茎生産量を抑制した。そして, 塊茎生産量と遮光強度との関係から塊茎生産機構を明らかにし, 塊茎増殖の抑制からみて有効な塊茎形成期間における防除対象について検討した。
    遮光処理されたクログワイでは同化器官である茎の生長が抑制されることによる日射吸収率の低下と, 遮光による投下日射量の低下が相まって吸収日射量が相乗的に減少した。その結果, 塊茎形成終期における地上部重が大きく抑制され, 同様に塊茎/ (塊茎+地上部重) 比も抑制された。そのため, 吸収日射量が低下するにつれて塊茎生産量が顕著に減少した。しかし, 塊茎数も抑制されるため, 一個当たりの平均塊茎重に変化はなかった。そして, 全塊茎重に占める塊茎形成前の貯蔵炭水化物由来の割合は, 3~5%と推定され, 塊茎生産量は塊茎形成期間の乾物生産量と塊茎への分配率に強く支配されることが再確認された。
    次に, クログワイでは塊茎形成期間における対無遮光区比でみた吸収日射量を単植クログワイで20%そして水稲との混植クログワイで40%まで抑制すれば, 塊茎形成期間に同化される炭水化物の塊茎形成への寄与はなくなる。そのため, 塊茎生産量は塊茎形成前の貯蔵炭水化物のみによって生産可能な水準まで抑制される。ここで明らかとなった防除効果は, 茎表面積を抑制することで同様に得ることができ, 防除の対象としては茎表面積が実用的と考えられた。
  • 山口 裕文
    2001 年 46 巻 3 号 p. 211
    発行日: 2001/09/28
    公開日: 2009/12/17
    ジャーナル フリー
  • 千坂 英雄
    2001 年 46 巻 3 号 p. 212-213
    発行日: 2001/09/28
    公開日: 2009/12/17
    ジャーナル フリー
  • Kil-Ung Kim, 藤井 義晴
    2001 年 46 巻 3 号 p. 213
    発行日: 2001/09/28
    公開日: 2009/12/17
    ジャーナル フリー
  • Peter W. Michael, 山口 裕文
    2001 年 46 巻 3 号 p. 214
    発行日: 2001/09/28
    公開日: 2009/12/17
    ジャーナル フリー
  • 白倉 伸一, 服部 眞幸, 浅井 元朗, 牛木 純
    2001 年 46 巻 3 号 p. 219-223
    発行日: 2001/09/28
    公開日: 2009/12/17
    ジャーナル フリー
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