雑草研究
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64 巻, 3 号
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原著論文
  • 佐野 沙樹, 中山 祐一郎, 野上 達也, 柳生 敦志
    2019 年 64 巻 3 号 p. 73-84
    発行日: 2019年
    公開日: 2019/12/07
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    電子付録

    白山国立公園の亜高山帯には高山植物ハクサンオオバコ(Plantago hakusanensis Koidz.)と国内外来種オオバコ(P. asiatica L.)の雑種が生育する。自然交雑の要因を解明するため,2011~2014年に白山における開花フェノロジーを調べた。自生地に1,3および6 m2の調査区を計18個設置し,調査区内のハクサンオオバコ,オオバコおよび雑種の開花花序数の推移を記録した。また,雪解け日から開花開始日までの日数と有効積算温度を算出した。さらに,個体あたりの種子生産数を算出した。ハクサンオオバコは毎年雪解け直後に集団で一斉に多量の花序を開花させるが,その後に一部の個体が雪解け37.8 ± 8.1日後,有効積算温度302.4 ± 67.2°C・日に再び開花する年があった。このハクサンオオバコの2回目の開花期の途中に,オオバコが雪解け56.4 ± 13.1日後,有効積算温度403.0 ± 96.7°C・日に開花を始め,種間で開花の重複が見られた。オオバコは気候が温暖な年には多くの種子を生産したため,温暖な年が続くと急速に増殖する危険性がある。雑種の開花期はハクサンオオバコの1回目と2回目の開花期と重複し,個体は毎年種子生産し死亡率は低かったことから,長期的に存続し繰り返し戻し交雑する可能性がある。

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