雑草研究
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64 巻, 4 号
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原著論文
  • 山口 裕文, 久保 輝幸, 池内 早紀子, 魯 元学
    2019 年 64 巻 4 号 p. 127-139
    発行日: 2019年
    公開日: 2020/01/28
    ジャーナル フリー
    電子付録

    シロザとアカザを含む“あかざ”Chenopodium albumに関する中国における文化認識の変遷を把握する目的で清代以前の64の漢籍にみられる“あかざ”の漢名と生態的・形態的特徴および利用の記述を調査した。“あかざ”は,雑草(非有害)や食用(蔬または羮,穀物),杖,灰の素材として認識され,三国時代までに萊,藜,藋,釐,拝,蔏および茟などの文字で表され,唐宋代には灰條,灰藋,白藋,青藜,金鎖夭,紅灰藋,鶴頂草など2,3文字でも表記されるようになり,明代には紅心の藜(および丹藜,藜菜,臙脂菜,舜芒穀,観音粟など)と葉に白粉をつける灰藋(および灰條,灰条,灰菜,灰條莧など)との2群で認識され,清代には地膚や絡帚,薇,苜蓿などとの混同が修正され,藜または灰藋に集約されていた。調査した漢籍のうち80%の文献に用途が示され,用途の記された文献のうち蔬(菜または羮)に関する文献は71%あり,杖(藜杖)に関する文献は59%あった。

  • 山下 未玖, 田中(岡崎) 麻衣子, 井上 高康, 河野 亜紀子, 大野 直樹, 小笠 原勝
    2019 年 64 巻 4 号 p. 140-146
    発行日: 2019年
    公開日: 2020/01/28
    ジャーナル フリー

    矮性チガヤ圃場の雑草管理に有効な除草剤をガラス室内のポット試験と野外試験により探索した。ガラス室内のポット試験により,9種類の土壌処理剤と9種類の茎葉処理剤の計18種類の除草剤から,矮性チガヤと雑草間の選択殺草性を指標に3種類の土壌処理剤(S-メトラクロール,ピロキサスルホン,トリアジフラム)と3種類の茎葉処理剤(ハロスルフロンメチル,アトラジン,トリクロピル)の計6種類の除草剤を選抜した。さらに,これらの除草剤を単用処理あるいは体系処理した場合の矮性チガヤに対する安全性と除草効果を野外条件下で調べた。その結果,矮性チガヤの移植直後(移植2日後)に300 g a.i./10 a相当量のS-メトラクロールを,雑草生育期(矮性チガヤ移植28日後)に100 g a.i./10 a相当量のハロスルフロンメチルあるいは300 g a.i./10 a相当量のアトラジンを処理する体系処理が矮性チガヤの雑草管理に有効であることが明らかになった。

  • 前田 浩子, 奥村 恒, 中村 りり, 野村 卓史, 藤井 義晴
    2019 年 64 巻 4 号 p. 147-154
    発行日: 2019年
    公開日: 2020/01/28
    ジャーナル フリー

    効果的な雑草管理能力や雑草抑制効果がある被覆植物を選択するために,多年生被覆植物として,クリーピングタイム(Thymus serpyllum),シバザクラ(Phlox subulata),ヒメイワダレソウ(Phyla nodiflora),マツバギク(Lampranthus spectabilis),リュウノヒゲ(Ophiopogon japonicus),ペニーロイヤルミント(Mentha pulegium)およびヤブラン(Liriope muscari)の7種を選定し,5年間の圃場試験を実施した。被覆植物の被度,乗算優占度,発生した雑草の乾物重,雑草の種数および種類を比較した結果,日本在来の多年生被覆植物であるヤブランは,いずれの評価項目においても2年目以降5年目まで最も良好な雑草抑制効果を示した。また,ヤブランはアレロパシー活性評価試験においても強い植物生育阻害活性を示した。ヤブランは葉による光の遮蔽等の影響で雑草の発生が抑制されると考えられるが,プロリンに構造が類似したアゼチジン-2-カルボン酸がヤブランの根や葉に多量に含まれており,これも雑草の発生抑制に関与していることが示唆された。

技術レポート
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