雑草研究
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45 巻, 3 号
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  • 稲村 達也
    2000 年 45 巻 3 号 p. 173-181
    発行日: 2000/10/30
    公開日: 2009/12/17
    ジャーナル フリー
    クログワイ (Eleocharis kuroguwai Ohwi) の効果的な防除技術につながる基礎的な知見を明らかにするために, この多年生雑草の乾物生産を支配する生長パラメーターと繁殖源である塊茎の生産量との量的関係を解析した。実験には, クログワイの奈良と谷和原系統を1/2,000アールポットに単植個体群として栽培したものを供試した。そして, 2つのスルホニルウレア系除草剤を処理することで, 生長パラメーターと塊茎の生産量との関係を人為的に変化させた。
    これら2剤を処理されたクログワイでは, 同化器官である茎の生長が抑制され, このことによる個体群の生長速度の低下と塊茎肥大期間の短縮によって, 同期間の全乾物増加量 (同化産物) が大きく減少した。また, 除草剤処理区では茎葉部から塊茎への転流および塊茎肥大期間の同化産物の塊茎への分配率が抑制されるため, 塊茎生長が顕著に劣った。スルホニルウレア系除草剤を処理されたクログワイでは, 塊茎の生産量は塊茎肥大期間の全乾物増加量とその塊茎への分配率に, そして全乾物増加量は純同化率ではなく茎表面積と同期間の長さの抑制に強く支配される。そのため, 塊茎肥大期間における茎表面積, 同期間の長さおよび分配率を低い水準に抑制することが, クログワイの防除において特に重要と考えられた。
  • 西田 智子, 原島 徳一, 北原 徳久, 柴田 昇平
    2000 年 45 巻 3 号 p. 182-189
    発行日: 2000/10/30
    公開日: 2009/12/17
    ジャーナル フリー
    畑地の多年生雑草であるワルナスビ種子の発芽特性について基礎的なデータを得るため, 発芽可能温度範囲及び発芽に必要な thermal time (θ) を Garcia-Huidobro らの方法に基づいて計算し, さらに, 変温が発芽率に及ぼす影響を明らかにする目的で実験を行った。なお, θは次式で表され, 小数点を含む時間にも対応できる点でΣ (T-Tb) で定義される有効積算温度と異なる。また, この方法では, 発芽下限温度及び最適温度, 上限温度が計算により求められるという利点がある。
    θ=(T-Tb)×t
    θ=thermal time (℃・日), T=種子の培養温度 (℃), Tb=発芽下限温度 (℃), t=培養期間 (日)
    ワルナスビ種子にジベレリン100ppmを5ml給与し, 15及び20, 25, 30, 35, 40℃の恒温条件で40日間培養した。培養期間中は適宜脱イオン水を給与した。20%以上の発芽率が得られた20℃以上の処理区の結果を用いて (Fig. 1), Garcia-Huidobro らの方法に基づき, 発芽下限温度 (Tb) 及び thermal time (θ) を計算した (Fig. 2, Table 1)。Tbは14~16℃の範囲内にあるものと推定された (Table 1)。発芽上限温度については, 今回の温度設定では十分なデータが得られず計算できなかったが, グラフから約45~50℃の範囲にあるものと推察された (Fig. 2)。また, θと発芽率 (その温度での最終発芽率を100%とした場合の発芽率) との関係はゴンペルツ曲線で良く表された (Fig. 3)。しかし, パラメータ推定に使わなかった発芽試験の結果 (Table 2) を当てはめると, 最終発芽率が高い場合には推定値と実測値はほぼ一致したが, 最終発芽率が低い場合や途中で培養条件を変えた場合では両者のずれが大きく (Fig. 4), 正確な予測には, 今後の改良が必要とされた。
    30/20あるいは25/20, 25/15, 25/10, 20/15, 20/10, 15/10 (高温/低温, 10/14時間) の変温条件を1あるいは5, 10, 20回繰り返した後, 30℃恒温条件で培養したワルナスビ種子と, 30℃恒温条件のみで培養した種子の発芽率 (対照区) とを比較すると, 変温条件が10あるいは20回繰り返された種子の発芽率は対照区よりも有意に高くなった (P<0.05, Table 3)。しかし, 変温回数が1及び5の場合は差がなかった。また, 培養温度が低いと, 発芽率を高めるには多くの変温回数を必要としたが, 各温度区の最高発芽率には, 温度による差はなかった。さらに, 発芽下限温度以下の15/10℃の変温でも20回の繰り返しでワルナスビ種子の発芽率は対照区よりも高くなることから, ワルナスビ種子はこの変温を感知していると考えられた。
    以上の結果から, 変温により休眠から覚醒する状態にあるワルナスビ種子は, 他の条件が適当であれば, 発芽時期以前の低温下での変温条件で休眠覚醒し, 約14~16℃以上の温度の積算により発芽するものと推察された。
  • 松尾 光弘, 芝山 秀次郎
    2000 年 45 巻 3 号 p. 190-199
    発行日: 2000/10/30
    公開日: 2009/12/17
    ジャーナル フリー
    コナギ (Monochoria vaginalis (Burm. f.) Kunth var. vaginalis) 幼植物を供試し, 湿潤ろ紙上, 湛水あるいは飽水土壌面で発芽した幼植物の固着力について測定を行った。また同時に, 幼植物の子葉, 第1葉, 種子根および全冠根の長さを調査し, それぞれの培地での幼植物の胚軸毛形成と固着力との関係について実験を行った。胚軸毛のみの培地への固着力を測定する場合は, 幼植物の幼根の頂端を切除して種子根の伸長を阻害した区を設けた。幼植物の固着力の測定は, 各培地への播種後5日目まで毎日行い, はかりの張力によって得られた最大数値を幼植物の固着力とした。コナギ幼植物の各器官の長さは, FAA液により固定後, 顕微鏡下で測定した。
    湿潤ろ紙上で発芽したコナギ幼植物の固着力は, 胚軸毛の伸長に伴って増大し, 播種後2日目に個体当たり約2gとなったが, それ以後は5日目まで変化しなかった。また幼根の頂端を切除した個体では, 子葉, 第1葉および全冠根の伸長が抑制され, 胚軸毛のみによる幼植物の固着力は播種後3日目に約1.7gとなり, それ以後は5日目まで増加しなかった。
    代かき後0日目に飽水状態の土壌面に播種後, 発芽した区のコナギ幼植物は, 湿潤ろ紙上の区より培地への固着力が大きく, 播種後1日目より次第に増大し, 播種後5日目には個体当たり約8gの大きさとなった。またその幼植物では, 子葉, 第1葉, 種子根および全冠根の伸長も早かった。一方幼根の頂端を切除した区の個体は, 土壌面で発芽した場合も各器官の伸長の様相は湿潤ろ紙上と類似しており, 子葉, 第1葉および全冠根の伸長は抑制された。またそれら幼植物の固着力は, 播種後3日目まではほぼ0gであったがその後は増加し, 5日目では個体当たり約1.8gの大きさとなり, 湿潤ろ紙上と同程度であった。幼根を除去した区の胚軸毛の本数は, 湿潤ろ紙上および代かき後0日目に飽水状態の土壌面に播種, 発芽した幼植物ともに, 無処理区に比べて少なかった。
    以上の事から, コナギ幼植物に形成される胚軸毛は, 種子根あるいは冠根が土壌中に貫入し始める前に幼植物を定着させる役割を持っていた。また幼植物に占める胚軸毛自身の固着力は, 播種後2日目から3日目の期間において機能しており, その大きさはおおよそ1.8gであった。
    飽水土壌区では, 湛水深1mm区にくらべて, 代かきの有無と代かき後の放置日数に関わらずコナギ幼植物の土壌面への固着力は大きかったが, それらの幼植物に形成される胚軸毛長は両区ともに差異はなかった。また湛水深が深いほど, 子葉, 第1葉, 種子根および全冠根の伸長は早かったが, 代かき後の土壌の放置日数と播種後5日目における各器官の長さとの間には相関関係は見られなかった。
  • 高橋 秀典, 小林 勝一郎, 沈 利星
    2000 年 45 巻 3 号 p. 200-206
    発行日: 2000/10/30
    公開日: 2009/12/17
    ジャーナル フリー
    異なる土壌深度から出芽したイネおよびヒメタイヌビエの生育に対するカフェンストロールの作用と本剤の土壌中における挙動との関係を解析した。
    減水条件下の田面水に本剤の水溶液を添加した場合 (土壌表面処理) には, イネでは表層近傍から出芽したものは強い生育阻害を受けたものの, 出芽深度の深いものは阻害されなかった。これに対し, ヒメタテヌビエでは, いずれの深度から出芽しても強く阻害された (Fig. 1)。この時, ヒメタイヌビエでは出芽深度にかかわりなく表層近傍には種子より抽出した不定根, 中胚軸および茎葉基部が観察されたが, イネでは植えつけた種子の深度付近にのみ茎葉基部が存在していた。この条件下では, 本剤は土壌表層に「除草剤処理層」を形成し, 処理後の日数に関わりなく固相吸着態および土壌水溶存態のいずれもが1cm以下に存在が認められなかった (Fig. 2)。また, 田面水中および土壌水中における溶存態の濃度は経時的に低下した。
    本剤を土壌と均一に混合した場合 (土壌混和処理) には, ヒメタイヌビエは土壌表面処理の場合と同様な生育阻害が認められ, さらに, イネでも, やや感受性が劣るものの, いずれの深度から出芽しても強い生育阻害が認められた (Fig. 3)。この土壌混和処理の場合, 本剤は固相への吸着態および土壌水中での溶存のいずれにおいても土壌深度にかかわらずほぼ均一に分布していた (Fig. 4)。
    これらの結果から, 土壌表面処理において, 出芽深度にかかわりなく認められるヒメタイヌビエのカフェンストロールに対する高い感受性は, 出芽に伴って形成され, 土壌表層の「除草剤処理層」に存在する上記諸器官によって本剤が土壌水中から吸収されることにより発現し, また, こうした器官を形成しないイネを除草剤処理層より下に移植した場合には両植物間において顕著な選択性が発現されるものと想定された。
  • 芝山 秀次郎, 小川 明子
    2000 年 45 巻 3 号 p. 207-213
    発行日: 2000/10/30
    公開日: 2009/12/17
    ジャーナル フリー
    佐賀県北部の台地畑作で不斉一発生するナズナの種子の形態や土壌からの発生と環境要因について調査した。結実個体から採取したナズナの1果実内の種子粒数は, 種子の成熟あるいは採取時期により異なったが, 果実の着生位置間で差異は見られなかった。また1果実の左右の莢間についても, 種子粒数の差異は見られなかった。種子の大きさは, 異なる採取時期の種子ともに花茎の下部に形成された果実のものほど大であった。
    室内におけるナズナの発芽実験では, 採取直後の休眠状態の種子を戸外畑土中に1~3ヵ月間貯蔵することで休眠が覚醒され, 低温湿潤土中に貯蔵した種子よりも高い発芽率が見られた。しかし種子の採取時期によって, 休眠覚醒の時期が異なった。温度条件については25℃ (昼温)-10℃ (夜温) が最も高い発芽率となった。
    屋外におけるナズナの発生実験では, 低温貯蔵した種子は種子採取時期間で出芽様相に差異は見られなかった。採取直後の種子は採取時期間で出芽様相が異なり, それらは降水量の多い時期に出芽率は高くなる傾向が見られたが, 気温の暑い時期あるいは寒い時期の発生は見られなかった。さらにナズナを播種後に人為的な土壌攪乱処理をすると, その後の出芽率はやや高くなった。
  • 伏見 昭秀, 的場 和弘, 田村 良文
    2000 年 45 巻 3 号 p. 214-216
    発行日: 2000/10/30
    公開日: 2009/12/17
    ジャーナル フリー
  • 2000 年 45 巻 3 号 p. 217-218
    発行日: 2000/10/30
    公開日: 2009/12/17
    ジャーナル フリー
  • 浅井 元朗, 川名 義明, 白倉 伸一, 澁谷 知子
    2000 年 45 巻 3 号 p. 221-224
    発行日: 2000/10/30
    公開日: 2009/12/17
    ジャーナル フリー
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