東京湾沿岸埋立地の客土した校庭に, 人為的に裸地化した土地を設けて, そこに形成された二次遷移の初期から中期過程の植物群落について, 約17年間, 観察・調査を行った。埋め立て後7年目の植生を裸地化したところ, 裸地化から3年間で優占種が埋土種子に由来する夏生一年生草本種から風散布種子由来の越冬一年生草本種を経て同じく風散布種子由来の多年生草本種へと変遷した。裸地化3年目以降は優占種の変遷はあったが, 多年生草本群落が継続して形成された。裸地化11年目になると, 鳥散布種子由来の木本種の開花・結実が見られた。17年間に群落を構成した植物は草本種が19科49種, 木本種が9科12種であった。これらの観察・調査から得られた結果をもとに, 二次遷移段階の優占種の特性を調べた。その結果, 埋土種子草本期の優占種は, 種子が重い, 重力散布種子を持つ, 結実直後の種子は発芽しない, 芽生えの耐陰性が弱いものであった。風散布種子草本期の優占種は, 種子が軽く, 結実直後に発芽した。鳥散布種子木本期に優占したトウネズミモチ
Ligustrum lucidum Ait. の種子は重く, 芽生えの耐陰性が強く, 土壌水分の多いところで発芽した。種子は結実直後に発芽し, 鳥によって果肉が取り除かれると発芽率が高くなった。
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