雑草研究
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52 巻, 1 号
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原著論文
  • 浅井 元朗, 黒川 俊二, 清水 矩宏, 榎本 敬
    2007 年 52 巻 1 号 p. 1-10
    発行日: 2007年
    公開日: 2007/11/27
    ジャーナル フリー
    輸入穀物に由来する海外からの雑草種子の非意図的導入とその耕地への拡散が大きな問題となっている。1993∼95年にかけて鹿島港に入港したムギ類,ナタネ等冬作穀物中の混入雑草種子を調査した。21科92種が識別された。81種群,29検体を対象とした除歪対応分析による序列化の結果,アメリカ合衆国産,カナダ産,ヨーロッパ産(ドイツおよびフィンランド),オーストラリア産の調査検体がそれぞれ特徴的な混入種組成を有することが判明した。アブラナ類が最多の25検体から検出され,シロザが23,カラスムギが21,ソバカズラが20,エノコログサおよびタデ類が18,グンバイナズナが17検体から検出された。アブラナ類は5ヶ国全ての検体に混入しており,北米,特にカナダ産検体への混入数が多かった。高緯度産(カナダ,ヨーロッパ)検体には日本の温暖地以西では夏生一年草である草種が混入していた。生産国の主要雑草種と検体中の混入草種とはおおむね一致した。日本でも近年ムギ作の難防除雑草となっているカラスムギ,ライグラス類は輸入ムギ類に大量に混入していること,また生産国における輪作作物の自生雑草化に由来すると考えられるアブラナ類が最も多量に混入していることを確認した。
短報
総説
技術レポート
  • — 除草剤処理後の田面露出の影響 —
    田中 十城, 村岡 哲郎, 高橋 宏和, 竹下 孝史
    2007 年 52 巻 1 号 p. 28-35
    発行日: 2007年
    公開日: 2007/11/27
    ジャーナル フリー
    水田系外への除草剤の流出低減を目的として除草剤処理後に一定期間の入排水を完全に止める「止水管理」の有効性について検討した。止水期間中に田面が露出した場合の除草効果,薬害の変動について止水期間を7日間とし,この間自然減水により田面が2∼3日露出した場合と湛水状態で経過した場合とを諸条件下(減水深の大小,試験規模,土壌,処理時期)で比較した。その結果,除草剤成分が田面水中にいきわたった後であれば,田面が露出しても除草効果及び薬害が大きく変動することはなかった。ポット試験で田面露出想定の水管理を行った場合の除草剤の土壌中移動程度は,湛水維持想定の水管理を行った場合より小さかった。除草剤処理7日後以降の田面水中濃度及び地下浸透水中濃度は,処理から7日目までの田面露出の有無に関係なく同程度に推移した。かけ流し開始時期または田面露出の有無と成分流出量の関係を調べた結果,かけ流し開始時期が遅いほど成分流出量は少なくなり,かけ流し開始前に田面が露出した場合と湛水状態で経過した場合とでは,かけ流し開始時期が同時期であれば,成分流出量は同程度であった。
    以上から「止水管理」は,除草剤処理直後の有効成分の水田系外流出を抑制する技術として実用性が高いと考えられる。
解説
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