雑草防除上呼ばれるところの“ホタルイ”は, 幼植物が相互によく似たホタルイ, イヌホタルイおよびタイワンヤマイの総称である。そこで, これら3草種を的確に防除するために, 3草種のピペロホス・ジメタメトリン粒剤 (CG102) とピペロホス・ジメタメトリン・ベンタゾン粒剤 (TH63) およびこれらの有効成分単剤に対する感受性を調べた。
1. 2.7葉期のホタルイは, CG102およびTH63の100g/a (粒剤量, 以下同じ) の処理でもほぼ完全に枯死した。しかし, 2.9葉期のイヌホタルイと2.6葉期のタイワンヤマイは, CG102の処理では300g/aでも完全には枯死しなかった。TH63も, 100g/aの処理では両草種に70%の抑制率しか示さなかったが, 300g/aではイヌホタルイに96%, タイワンヤマイに87%の高い抑制率を示した。
2. ピペロホスは3草種のいずれにも高い効果を示した。さらに, ピペロホスと他の有効成分の同時処理の効果は, 各成分の単独処理の効果よりも高かった。ジメタメトリンの効果は, ホタルイにはピペロホスよりも高かったが, 他の2草種には低かった。ベンタゾンの効果もホタルイに対して最も高かった。
3. 3.7葉期までのホタルイは, CG102およびTH63の300g/aの処理によって, 漏水の有無に関係なくすべて枯死した。しかし, 4.5葉期までのイヌホタルイに対してはCG102とTH63が, 3.9葉期までのタイワンヤマイにはTH63が共に無漏水条件下で高い効果を示したが, これらの効果は漏水によって低下した。
4. 4.9葉期のホタルイは, 水深(1~6cm)と減水深 (1~5cm/日) に関係なく, TH63の300g/aの処理で完全に防除された。しかし, 4.2葉期のイヌホタルイと4.6葉期のタイワンヤマイに対するTH63の効果は, 水深3~6cmでの1~5cm/日の漏水によって著しく低下した。この低下は処理時の水深を1cmとすることで防止できた。
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