雑草研究
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51 巻, 2 号
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原著論文
  • 保田 謙太郎, 山口 裕文
    2006 年 51 巻 2 号 p. 61-68
    発行日: 2006/06/22
    公開日: 2007/10/19
    ジャーナル フリー
    アズキの野生祖先種であるヤブツルアズキ (Vigna angularis var. nipponensis) と雑草系統の雑草アズキ (ノラアズキ, 学名はない) を自生地保全するための基礎的知見を得る目的で, 自生群落での他種植物との競争を想定した遮光条件下 (高遮光 : 相対照度約50%, 中遮光 : 相対照度約70%, 無遮光) で栽培アズキ, ヤブツルアズキ, ノラアズキを栽培し, 草型と個体乾物重, 種子生産数を調べた。生育初期からの強い遮光条件によってヤブツルアズキとノラアズキは, 葉のサイズ, 総茎長, 側枝数, 茎の直径, 個体乾物重を減少させ, 主茎の下位節間を伸長させた。播種後約40日目のヤブツルアズキの主茎は, 高遮光条件で無遮光よりやや短かったが, 145cm以上あり, ノラアズキの主茎は高遮光条件で対照区と同等か長くなる傾向にあった (105~145cm)。高遮光下でヤブツルアズキとノラアズキの主茎が長めに成長するのは, 幼植物の時に共存する植物によって遮光された場合に群落の上部 (草冠) に個体上部を到達させる役割を果たすと推定された。高遮光, 中遮光のいずれの条件下においても主茎の伸長能力はノラアズキよりヤブツルアズキで優れており, ヤブツルアズキがノラアズキよりも光に関して競争的な環境での生育に適していると示唆された。しかし, 連続した高い遮光条件下ではヤブツルアズキはノラアズキと同様に繁殖器官の乾物重や種子生産数を激減させており, 生育の後半に遮光されるような環境には適応していないと推定された。
  • 石原 悟, 石坂 眞澄, 堀尾 剛, 小原 裕三, 上路 雅子
    2006 年 51 巻 2 号 p. 69-81
    発行日: 2006/06/22
    公開日: 2007/10/19
    ジャーナル フリー
    霞ヶ浦および桜川における, 2001年から2005年にかけての18種類の水稲用除草剤の挙動を明らかにした。河川水中の除草剤は5月中旬から6月初旬を最高濃度として, およそ3ヶ月にわたり検出された。調査対象除草剤中最も高濃度で検出されたダイムロンの桜川中流域における検出最高濃度は6.5~8.8μ g・l-1であった。霞ヶ浦における除草剤の濃度を検出最高濃度で比較すると土浦入および湖心でそれぞれ桜川下流域の濃度の1/3~1/17, 1/23~1/25の濃度であった。一方, 田面水中の検出最高濃度と比較すると土浦入および湖心でそれぞれ1/73~1/82, 1/460~1/650の濃度であった。霞ヶ浦湖水中における除草剤の深度別の濃度差は1.7倍以下であり, 桜川から流入した除草剤は霞ヶ浦で速やかに撹拌され一様に分布していることが明らかになった。また, 経年調査の結果, 茨城県における出荷量の年次変動と桜川中流域における農薬検出実態の年次変動の挙動はおおむね一致していた。実験室内で得られた藻類生長阻害試験の結果から藻類への水稲用除草剤の影響を評価したところ, 霞ヶ浦で検出される除草剤の濃度水準が藻類の生長に影響を与える可能性は極めて低いと考えられた。一方, 桜川では一部の除草剤については個々の藻類の生長に対して無影響であるとは言い難く, さらなる影響評価が必要であると考えられた。
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