レピジモイド (Fig. 1) は, はじめアレロパシー物質としてクレス発芽種子から単離されたものである。しかし, 成長中のシロイヌナズナ (
Arabidopsis thaliana) のロゼット葉, 茎+花序, および根の組織にもレピジモイド様物質が含まれていることが, ケイトウ (
Celosia cristata) の幼植物を用いた生物試験 (Fig. 2) およびHPLCにおける合成レピジモイドとのピークの一致 (Fig. 6) により確かめられた。HPLCにおいて合成レピジモイドと一致する分画は, ケイトウの胚軸伸長を促進し, 根の伸長を抑制した (Fig. 5)。また, これらの組織に含まれるレピジモイド様物質 (限外ろ過による分子量3000以下の分画) は合成レピジモイドと同様の生理活性を示した。すなわち, シロイヌナズナ芽生えにおける胚軸と子葉柄の伸長, および子葉の拡大成長を促進し, 根の伸長を抑制した (Fig. 3, Fig. 4)。
これらの結果から, レピジモイド様物質はシロイヌナズナの成長中の組織で内生の成長調節物質として働いている可能性が示唆された。
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