地理科学
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研究ノート
  • ――公民連携の空き家活用スキームに注目して――
    渡邉 洋心, 大西 優太朗, 谷本 涼音花, 高内 俊弥
    原稿種別: 研究ノート
    2025 年80 巻4 号 p. 173-188
    発行日: 2025/12/28
    公開日: 2025/12/28
    ジャーナル 認証あり

    本稿は,空き家が観光資源として活用されるプロセスを,行政施策の変遷や空き家活用スキームの展開に即して分析し,それが地域にもたらした変化や課題を明らかにすることを目的とする。

    研究対象地域である愛媛県大洲市肱南地区は,江戸期以来の城下町であり,近年では自治体と民間事業者の連携による空き家活用や観光振興が進められてきた地域である。肱南地区において空き家は行政施策との関わりの中で可変的に価値づけされてきた。従来は景観の構成要素として注目されていたが,近年では観光や宿泊・商業施設への転用を前提とした観光資源として扱われるようになっている。こうした空き家の活用には公民連携によるスキームが重要な役割を果たし,高級宿泊施設や併設店舗として具体的な経済活動に結びつけられることで,新規事業者の誘致や成功事例としての評価といった波及効果をもたらした。

    結論として,本事例は空き家の観光資源化が地域経済の活性化に寄与する一方で,「地域の価値」の形成に関わるアクターの固定化や住民の多様なニーズが後景化する可能性を示しており,今後の空き家活用政策においては,経済的効果と地域社会の持続性とのバランスを問う視点が不可欠であることを示唆する。

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