前報に引続いて, 4種類の溝切り器を供試し, 残さ処理部が種子の出芽・生育環境の調整に及ぼす影響について, 実験的検討を行った。その結果, 残さ処理部を装着していない波形及びV字形円板の播種溝の内部には, ヘアピン状残さが相対的に多く観察され, とりわけ波形円板では溝周辺の断面形状の変化が少なく, 種子と土壌の接触が阻害される状況が現れた。これは, ヘアピン状残さの溝への移動とそれに伴う土の切込み効果の減少に起因する機械的現象と考えられた。残さ処理部の作業効果は, VR
A形及びVRB形円板において顕著に現われた。本処理部の残さ排除機能の有効性は高く, 溝形状の成形にも良好な作業性が認められた。VR
B形は, 残さ処理機能においてVR
Aよりも更に優れており, 良好な現場適用性を有することが結論づけられた。東北タイの天水田地帯は砂質土壌で占められている状況に鑑み, これまでの研究報告を踏まえた本成果の適応の可能性についても検討した。
抄録全体を表示