諸事情で離職中の女性医師や救急医療に興味ある女性医師を,救急医療現場に活用する可能性と必要な勤務条件を調査・検討する目的で,平成18年2月~3月にかけて杏林大学同窓会の女性医師638名に対して郵送式調査を行った。160名の有効回答者のうち,すでに救急医療に従事している医師は52名(32.5%), どのような条件でも救急に従事しない医師は67名(41.9%),条件によって救急に従事する意思を示し勤務条件も回答した医師は41名(25.6%)であった。
救急に従事しない医師67名は,その理由として「技量や知識に自信がない(15名)」に次いで「育児・介護をしながら働く環境が整備されていない(13名)」,そして「救急での勤務条件・環境が整備されていない(2名)」を挙げており,この点を配慮して勤務条件を整備すれば,この30名の女性医師も救急に従事する意思を示した可能性が考えられた。
救急に従事する意思を示した41名のうち29名は「医師としての研修・修練」を理由に選び,17名が「市民に対する義務感/責任感」,13名が「地域医療の向上」を理由に選び,回答した女性医師の向上心と使命感の高さが認められた。また,大多数が最近の内科救急やACLSなどの再研修(講義・実習)を希望した。以上から,育児や介護を配慮した勤務条件の整備と再研修プログラムの設置があれば,救急に従事する女性医師を増加できる可能性が示唆された。
第2報において,救急に従事する意思を示した女性医師41名が回答した勤務条件について報告する。
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