大学附属病院に併設された高度救命救急センターにおいて救急専従医によって緊急手術を施行した胸腹部外傷24例の治療成績を自己評価した。同僚審査(peer review)対象となる予測生存率(Probability of survival;Ps)>0.5の死亡症例は2例,Ps≦0.5の生存症例は2例であった。Z統計により北米の外傷標準予後と比較した結果,Z=−0.86と標準的予後よりも成績はよかったが,有意差はなかった。症例が偏っているという問題点はあるが,計算結果/判定結果はほぼ適切であると考えられた。手術症例では,一般的に計算上のPsよりも実診療成績が不良となる傾向にあるが,救急専従医による胸腹部の緊急手術症例の結果は,北米の外傷標準予後より良好であった。専従医による緊急手術を行うことは,診療成績上意義があると思われる。