わが国では院外心停止に対する救命処置件数などにかかわる大規模データの報告はあるが,心肺蘇生現場の実態を調査した報告は見当たらない。目的:一体型電極パッドを備えた自動体外式除細動器(以下,AEDと略す)の使用状況にかかわる事後調査資料の解析をとおして,心肺蘇生現場における救助者の活動状況などを明らかにする。方法:旭化成ゾールメディカル株式会社(以下,AZM社と略す)が独自に行った救助者などへの聞き取りによる事後調査結果152件を解析した。結果:従来と異なる形状の電極パッドは,医療関連施設とAED講習受講歴がある救助者で戸惑う傾向を認め,電気ショック実施割合は非医療関連施設で高値(41.7% vs 18.6%)であった。聞き取りによる情報量は事後3カ月を過ぎると減少した。結語:AZM社の単独調査であることなどに問題はあるが,救助者の活動状況などの一端が伺えた。事後調査のあり方についても示唆に富む知見を得た。