日本臨床救急医学会雑誌
Online ISSN : 2187-9001
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8 巻, 6 号
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原著
  • 本田 真広, 藤田 基, 金子 唯, 金田 浩太郎, 大楽 耕司, 鶴田 良介, 笠岡 俊志, 岡林 清司, 前川 剛志
    原稿種別: 原著
    2005 年 8 巻 6 号 p. 407-412
    発行日: 2005/12/31
    公開日: 2024/03/19
    ジャーナル フリー

    大学附属病院に併設された高度救命救急センターにおいて救急専従医によって緊急手術を施行した胸腹部外傷24例の治療成績を自己評価した。同僚審査(peer review)対象となる予測生存率(Probability of survival;Ps)>0.5の死亡症例は2例,Ps≦0.5の生存症例は2例であった。Z統計により北米の外傷標準予後と比較した結果,Z=−0.86と標準的予後よりも成績はよかったが,有意差はなかった。症例が偏っているという問題点はあるが,計算結果/判定結果はほぼ適切であると考えられた。手術症例では,一般的に計算上のPsよりも実診療成績が不良となる傾向にあるが,救急専従医による胸腹部の緊急手術症例の結果は,北米の外傷標準予後より良好であった。専従医による緊急手術を行うことは,診療成績上意義があると思われる。

調査・報告
  • 林 靖之, 谷 暢子, 明石 浩嗣, 一柳 裕司, 大津谷 耕―, 寺師 榮, 甲斐 達朗
    原稿種別: 調査・報告
    2005 年 8 巻 6 号 p. 413-419
    発行日: 2005/12/31
    公開日: 2024/03/19
    ジャーナル フリー

    2004年10月2日に第3回大阪千里メデイカルラリーを開催した。会場は万博記念公園で,6カ所のシナリオステーションを設けた。競技テームの構成は医師2名,看護師2名,救急救命士2名の計6名で,18チームが参加した。シナリオ概略は,①徐脈症例,②中毒症例,③交通外傷症例,④心停止症例,⑤転落外傷症例,⑥多数傷病者発生事例とした。18チーム中12チームが60%以上の得点を獲得した。また,競技者全員にアンケート調査を実施した。各種教育コースの受講については,二次救命処置や病院前外傷処置では受講率が高かったが,災害対応では受講率が低かった。また,メデイカルラリーの意義については,チームワークの重要性,災害対応の重要性,現場医療の必要性の理解に有意義であったとの回答が多かった。以上よリメデイカルラリーの開催は有意義であり,全国的な展開がなされることが望ましいと考えられた。

  • 中村 裕樹, 当銀 泰明, 高橋 興二, 沼田 勇
    原稿種別: 調査・報告
    2005 年 8 巻 6 号 p. 420-423
    発行日: 2005/12/31
    公開日: 2024/03/19
    ジャーナル フリー

    救助現場で効果的な活動を行うため,救助隊と救急隊が病院前外傷処置に対する共通認識を持つことを目的に,当所属の救助隊員9名に対し,職場内研修を実施した。研修は病院前外傷教育プログラム(Japan Prehospital Trauma Evaluation and Care;以下JPTECと略す)に準じて実施した。この結果,外傷患者に対し救助隊と共通認識が得られたことで,現場活動の連携強化が図られ,また,活動の確実性が向上した。さらに,外傷教育プログラムは救助隊においても有効であったことが事例からうかがうことができた。

臨床経験
  • 山村 仁, 二藤 真理子, 長田 幸子, 横田 順一朗
    原稿種別: 臨床経験
    2005 年 8 巻 6 号 p. 424-429
    発行日: 2005/12/31
    公開日: 2024/03/19
    ジャーナル フリー

    小児診察を常としない施設において,小児患者が救急搬入されると,使用する医療器具や薬品の準備で戸惑うことが多い。この難題を解決する目的で,小児救急シート(泉州版)と医療器具収納ボックスを作成した。小児救急シートは,身長に対する平均体重を書き加え,年齢を表記して別に作成した。シートには, 日本で一般的に使用されている医療器具のサイズや医薬品の投与量を記載した。このシートと対応した医療器具収納ボックスを作成し,そのなかに小児救急で使用する医療器具をまとめて収納した。これらにより,小児患者に対する診察が円滑となり,また器具の取り違えや医薬品投与量のミスが回避でき安全対策にもつながった。小児救急シートと医療器具収納ボックスの利用は,常時小児診察を行っていない救命救急センターや救急部,さらには災害時などの病室外診察にも有用であると考えられた。

症例報告
  • 林 峰栄, 氏家 良人, 市場 晋吾, 藤村 直幸, 田中 礼一郎, 寺戸 通久, 檀上 渉, 池上 徹則, 中原 龍一
    原稿種別: 症例報告
    2005 年 8 巻 6 号 p. 430-434
    発行日: 2005/12/31
    公開日: 2024/03/19
    ジャーナル フリー

    当病院では,2003年の6月に新病棟の各フロアの看護師詰所に計9台のAEDを設置した。この院内AEDによる早期除細動にて後遺症なく救命された症例を2例続けて経験したので報告する。最初の症例は看護師による救命例である。当院では看護師による包括的指示下のAEDの使用が認可されており,施行した看護師は事前にAED講習会を受講していた。2例目は,AEDの充電が途中でいったんキャンセルされるも,すぐに再び除細動の適応と解析され施行されたという複雑な経過を辿っており,VTに対するAEDの解析基準についても知る機会となった。2004年7月1日付けの厚生労働省の通達で,ついに一般の市民もAEDを用いて除細動することができる時代となったが,現時点でも,医療従事者の間にAEDが十分に浸透しているとは言い難い。各医療施設においてはAEDの整備を推し進め,使用に関する取り決めを明らかにし,所属の医師や看護師に啓蒙活動を行っていくことが求められている。

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