外傷症例の現場での重症度と転帰の関係を明らかにする目的で地域規模調査を行った。2005年7月~10月の4ヶ月間の広島圏域MC協議会(人口134万人)に属する救急隊が搬送した全外傷症例(4,786例)を対象とし,現場における重症度と受傷後14日後までの転帰を調査した。ロードアンドゴー(以下「L&G」)症例は604例(12.6%)であった。L&Gが初期観察にて(+)が 231例(4.8%),全身観察にて(+)が103例(2.2%),受傷機転のみで(+)が270例(5.6%)であった。死亡例42例のうち38例は初期観察にて(+)の症例であった。受傷機転のみで(+)の症例で14目後に入院治療が継続されていた症例は21%であり,L&G以外の軽症例の17%との間に有意差を認めなかった。状況評価のみを根拠とするL&G症例は,全体像としてとらえるかぎりは,初期評価や全身観察にL&Gに該当する所見を認めた症例との間に重症度の差異を認めることが示唆された。
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