日本栄養・食糧学会誌
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46 巻, 5 号
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  • 入谷 信子
    1993 年 46 巻 5 号 p. 379-386
    発行日: 1993年
    公開日: 2009/11/16
    ジャーナル フリー
    The limiting step of fat synthesis is fatty acid synthesis, in which the lipogenic enzymes (acetylCoA carboxylase, fatty acid synthase, ATP-citrate lyase, malic enzyme and glucose-6-phosphate dehydrogenase) are involved. The recent advances made in the study of regulation of lipogenic enzyme gene expression in rat liver are summarized here, with reference to our results. Aspects covered by this review are : 1) time courses of changes in the gene expression after feeding a high-carbohydrate diet; 2) effects of diet quantity on gene expression; 3) effects of dietary nutrients on gene expression; 4) effects of insulin, triiodothyronine and fructose on gene expression.
  • 戸田 歩, 塚原 典子, 江澤 郁子
    1993 年 46 巻 5 号 p. 387-394
    発行日: 1993年
    公開日: 2009/11/16
    ジャーナル フリー
    本研究では骨粗鬆症予防を目的に, 40歳から60歳の健常日本人女性654名を対象として, 腰椎骨密度測定, 身体計測, 3日間食事調査およびアンケートを行った。そして, 骨密度に対する食生活および身体活動の影響について検討した。その結果,
    1) 腰椎骨密度は, 高齢になるに従い, 低い値を示し, とくに閉経直後の低下が著しかった。
    2) 骨密度に対し, 体重およびBMIはすべての年齢群で有意な正相関を示したが, 体脂肪率とは相関が認められなかった。
    3) 骨折経験老は, 未経験者に比ベ, 骨密度のZ%が有意に低値を示した。
    4) カルシウム摂取量は, すべての年齢群で所要量をた。
    5) 現在運動習慣のある対象者は, まったく運動習慣のない対象老に比べ, 骨密度のZ%は有意に高値を示した。
    6) 食生活および身体活動に対する意識は高齢者ほど高く, 意識の高いグループで, 骨密度のZ%は高い傾向を示した。
    以上の結果から, 食生活および身体活動に対する意識を高くもち, 適度な運動およびバランスの良い食生活を実践することは, 骨粗鬆症予防に対し重要であることが示唆された。
  • 小澤 秀樹, 小林 俊雄, 坂根 浩弥, 今福 新子, 三神 美和, 本間 康彦
    1993 年 46 巻 5 号 p. 395-399
    発行日: 1993年
    公開日: 2009/11/16
    ジャーナル フリー
    We studied the effects of dietary fiber polydextrose feeding on plasma lipids and changes in diurnal plasma sugar, insulin and blood pressure levels. Seventeen patients were entered into the study. Polydextrose (15g/day) was given to the subjects for 4 weeks. Plasma total cholesterol (TC) and lowdextrose (15g/day) was given to the subjects for 4 weeks. Plasma total cholesterol (TC) and lowdensity lipoprotein cholesterol (LDL-C) levels were reduced by 6% by polydextrose, but these changes were not significant. Plasma apo (protein) B concentrations were significantly decreased (p<0.05). Polydextrose did not affect the diurnal changes in plasma sugar levels, but significantly decreased the level of plasma insulin at 2h after dinner (p<0.02) and at midnight (p<0.05), respectively. In mildly hypertensive patients, the systolic blood pressure between 12: 00 and 18: 00h and the diastolic blood pressure between 18: 00 and 24: 00h were significantly decreased, respectively (p<0.05, p<0.05). Urinary Na/K excretion ratio was slightly increased by polydextrose. The effects of polydextrose on blood pressure seemed to be related to the decrease in plasma insulin levels.
  • 木下 千鶴, 広井 祐三, 岡 達三, 名取 靖朗, 谷口 巳佐子
    1993 年 46 巻 5 号 p. 401-407
    発行日: 1993年
    公開日: 2009/11/16
    ジャーナル フリー
    離乳直後のウイスター系雄性ラットを固形飼料, 10%カゼイン飼料, あるいは10%SPI飼料で5週間飼育して, 低含硫アミノ酸飼料の肝臓アリルスルファターゼ活性に及ぼす影響について調べた。
    1) AとBのコシバインド活性でみると。固形飼料群は3, 5週間ともに約32mU/mg proteinで差がなく, カゼイン飼料群では3週間飼育のものは固形飼料群と差がないが, 5週間飼育すると, 活性は約50mU/mg proteinとなり固形飼料群のものより約1.6倍に上昇した。一方, SPI飼料群のものは, 3週間で約64mU/mg proteinとなり固形飼料群の約1.9倍, 5週間で約88mU/mg proteinとなり約2.8倍に活性が上昇した。アリルスルファターゼB活性についても同じ増加の結果を得た。この活性上昇はシスチンまたはメチオニンのSPI飼料への添加で抑制された。一方, 同じリソソーム内酵素であるアリルアミダーゼ活性は3週間, および5週間飼育では固形飼料群に比べ, カゼイン飼料群およびSPI飼料群の活性は低下した。
    2) ノーザンブロットおよびスロットブロットの結果, 5週間飼育ラット肝臓から得られた固形飼料群のmRNAの量は, これを1とすると, カゼイン飼料群で約1.2倍, SPI飼料群で約1.1倍となり差はなかった。
  • 橋口 智子, 稲井 道子, 大久保 美智子
    1993 年 46 巻 5 号 p. 409-415
    発行日: 1993年
    公開日: 2009/11/16
    ジャーナル フリー
    A protease inhibitor (PEPI) was isolated and purified from the juice of the passion fruit (Passiflora edulis Sim) by DEAE-Sephacel and trypsin-Sepharose 4B column chromatography. The molecular weight of PEPI was found to be 25 kDa by gel filtration. PEPI exhibited a single band in native and SDSPAGE gels under non-reducing conditions. Under reducing conditions in SDS-PAGE gel, PEPI exhibited three protein bands with estimated molecular weights of 25, 22, 18 kDa, respectively. The three protein bands were stained with PAS reagent. PEPI inhibited trypsin and chymotrypsin activities, but did not inhibit papain activity. The trypsin-inhibitory activity of PEPI was heat-stable, retaining 50% of the original activity even after exposure to 100°C for 10 min. The trypsin-inhibitory activity of PEPI was stable over a pH range of 2-12.
  • 小川 博, 末沢 和宣, 目黒 忠道, 笹川 祐成
    1993 年 46 巻 5 号 p. 417-423
    発行日: 1993年
    公開日: 2009/11/16
    ジャーナル フリー
    食品によるアテローム性動脈硬化性疾患予防を志向レ, ガーリック粉末投与がSHRSPの脂質代謝に及ぼす影響をリポタンパク代謝を中心として検討した。
    ガーリック粉末を通常食に1%混餌した飼料を3週間, さらに3%混餌した飼料を3週間SHRSPに投与した。ガーリック粉末投与は動物の成長にはまったく影響を与えなかったが血圧の上昇は有意に抑制した。
    ガーリック粉末投与は, 血清脂質ならびに血清アポタンパク含量にはほとんど影響を与えなかった。しかし, 血清リポタンパク分画のなかで, LDL分画とHDL分画においてapoEに富むHDL (HDL1) の上昇傾向が観察されたことから, 期待される効果としてコレステロール逆転送亢進作用が考えられる。
    ガーリック粉末投与は, 血清脂質代謝律速酵素活性への影響は比較的小さいと考えられた。また肝臓脂質含量への影響もほとんど認められなかったが, 肝臓コレステロール異化律速酵素であるcholesterol 7α-hydroxylase活性の有意な上昇とACAT活性の低下傾向が観察されたことから, 肝臓コレステロール代謝改善作用を有することが示唆された。
  • 川上 晃, 茅原 紘
    1993 年 46 巻 5 号 p. 425-428
    発行日: 1993年
    公開日: 2009/11/16
    ジャーナル フリー
    南極オキアミより抽出され, 強いアンジオテンシンI交換酵素 (ACE) 阻害能を有すると報告されたトリペプチド, ロイシル-リジル-チロシンについて, その各側鎖とACEとの相互作用を考察し, LKYのアナローグを多数合成, 阻害活性を測定した。さらに, 食品由来で発見された類似トリペプチドのシーケンスも考慮して, このLKY様トリペプチドのACEとの相互作用を考察したところ, H-X1-X2-X3-OH: X1=ロイシン>イソロイシン, バリン>フェニルアラニン>アラニン: X2=リジン, アルギニン, アラニン>オルニチン, スレオニン>その他: X3=プロリン, トリプトファン>チロシン>フェニルアラニンで示されるアナローグが強いACE阻害能を示すことがわかり, ジペプチドを用いた構造活性相関に関する研究9) を支持する結果が得られた。さらに, 第2アミノ酸はスペーサー的役割に加えて活性にも影響することがわかった。最後にLKYに類似する一連のACE阻害ペプチドを多数発見した。LKF (7.1), IKY (9.7), IRP (4.5), VKY (7.2), VKP (2.6), LKY-OC2H5 (12.1) (括弧中数字はACE50%活性阻害濃度μmol/lを示す) 。
  • 木村 哲寛, 高橋 恵子, 辻 啓介, 高橋 恵子
    1993 年 46 巻 5 号 p. 429-433
    発行日: 1993年
    公開日: 2009/11/16
    ジャーナル フリー
    摂取アルギン酸 (H-A1g) のヒトにおける糞便中Na排泄促進作用について検討した。その結果, 次の点が明らかとなった。
    1) 糞便中に排泄されたA1gは, ほぼ一定量のNaを吸着し, 糞便中Na排泄量に影響を及ぼすことが明らかとなった。
    2) いずれの被験者においても糞便中に排泄されたミネラル, KおよびMgは, 糞便中Alg濃度とは関係なく, ほぼ一定量排泄されていることがわかった。糞便中Ca濃度は, 個人的ばらつきが大きく糞便中Alg濃度との相関性は明らかにはならなかった。
    3) 糞便中に排泄されたA1gのブロック構成比は摂取時に比較して大きく変化しており, 腸内細菌による分解が示唆された。
  • 森山 登, 呉 恵民, 渡辺 幸子
    1993 年 46 巻 5 号 p. 434-437
    発行日: 1993年
    公開日: 2009/11/16
    ジャーナル フリー
    新潟県巻町のある地区において成人女子の朝・昼・夕食, 計26食を採取し, 水素化物生成原子吸光法でセレンを分析し, セレンの摂取量とエネルギー・栄養素摂取量の関連および主食である米の寄与率を調べた。1食の食事中のセレン含量は23.8±9.9μgであり, セレンの1日摂取量は68.7±21.8μgであった。セレン摂取量はタンパク質, とくに動物性タンパク質摂取量と高い相関性 (r=0.668, P<0.001) を示し, エネルギー量, 脂質, 炭水化物の量とは相関性を示さなかった。また, 主食として米飯を摂取した場合のセレン摂取量に対する米の寄与率は9.3±5.4%と計算された。
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