MBE法による結晶成長機構を解明する一環として, GaSbの結晶成長初期のモルフォロジーを観察し, 極めて早い段階で島状成長が起こり, ついでステップ状成長へと移行することを明らかにした.
また, GaAs等との混晶化にあたって重要なV族元素の基板表面での挙動を明らかにするために, Sbの脱離特性を昇温脱離法により解析した.その結果, 単原子層付着したSbはGaAs基板に対してpseudomorphicな構造をとることを見出し, この構造に起因する弾性歪エネルギーにより, 見かけ上の脱離エネルギーが低く観測されることを明らかにした.
なお, 成長結晶の電気的特性にはふれなかったが, ドープしていない結晶はすべてp型伝導を示し, Sをドープすることによりn型結晶が得られた.厚さ1μmの膜のキャリア移動度はP型で750cm
2/V・s (P=2×10
16cm
-3), n型で5,300cm
2/V・s (n=1×10
16cm
-3) であり, LPE法による厚膜の移動度より高い値を示した.結晶成長条件と電気的特性の相関については別の機会に報告する.
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