雑草研究
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54 巻, 3 号
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原著論文
  • 大谷 一郎, 渡辺 修, 伏見 昭秀
    2009 年 54 巻 3 号 p. 129-138
    発行日: 2009年
    公開日: 2009/10/03
    ジャーナル フリー
    畦畔法面において,グラウンドカバープランツ(以下,カバープランツ)の植被形成期における雑草防除のための有機物マルチの効果を明らかにするため,有機物マルチの種類・厚さと雑草の発生およびカバープランツの生育への影響を調査した。雑草の発生本数および乾物重は,マルチ処理で減少し,カバープランツの被覆速度は,ヒノキ樹皮およびもみ殻のマルチ処理では防草シートによるマルチ処理と差がなかった。特に,傾斜角度30°の斜面において,もみ殻およびチップ材は下方に流亡したが,樹皮は安定して地表を覆っており,畦畔法面での利用に適していると考えられた。ヒノキとスギの混合樹皮は,敷設厚5cmによりイヌビエおよびメヒシバが主体の処理区における雑草の発生を著しく抑制した。一方,敷設厚3cmでは雑草の発生抑制効果は小さかった。現地の水田畦畔において,ヒノキとスギの混合樹皮のマルチ敷設により雑草量は減少したが,カバープランツに対する生育抑制は認められなかった。
  • 好野 奈美子, 小林 浩幸, 内田 智子, 島崎 由美
    2009 年 54 巻 3 号 p. 139-146
    発行日: 2009年
    公開日: 2009/10/03
    ジャーナル フリー
    ダイズ栽培にリビングマルチとして用いるムギ類の抑草効果を検証するために,層別刈取法および日射量測定フィルムを用いて栽培圃場における垂直群落構造および受光量を調査した。リビングマルチとして用いたムギ類の乾物重は播種後約30日および約50日でダイズの2∼8倍になり,リビングマルチ区におけるムギ類とダイズのLAIの合計は播種後約30日で慣行区におけるダイズのLAIの9倍以上,約50日では慣行区の4倍以上になった。播種後約50日のリビングマルチ区では株元および条間で地表面の相対受光量がほぼ10%以下になったのに対して,慣行区ではダイズの株元であっても10%以下にならなかった。リビングマルチ区の雑草の乾物重は播種後約30日では慣行区の2分の1以下になった。リビングマルチ区のダイズの生育はリビングマルチのムギ類や,さらにダイズとムギ類の条間を狭くすることによって初期生育は抑制されるが、播種後50日ころには回復した。本研究により,リビングマルチは旺盛な初期生育により速やかに地表面の日射量を低下させ,初期生育の緩慢なダイズの被陰力を補って効率よく抑草できることが明らかになった。
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