雑草研究
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原著論文
  • 浜田 和俊, 近藤 司
    2024 年 69 巻 1 号 p. 1-7
    発行日: 2024年
    公開日: 2024/06/30
    ジャーナル フリー

    高速道路でのクズ(Pueraria lobata (Willd.) Ohwi)対策は,景観維持,環境保全および交通安全が一体となった取り組みが実施され,除草剤による防除が今後さらに重要になる一方で,除草剤の使用量削減も求められている。本試験では,除草剤の効果を向上させ,使用量を削減することを目的に,クズに対するウルトラファインバブル(UFB)水の影響を生理学的なアプローチで調査した。除草剤としてメトスルフロンメチル(MSM)を使用し,基準量(60 g a.i/ha),1/2量および1/4量を水道水またはUFB水に溶解し,茎葉処理を行った。処理7日後に両区ともに葉の褐変が確認され,UFB水・MSM 60 g/ha区では処理1日後に回旋運動がほぼ停止し,水道水・60 g a.i./ha区では4日遅れて停止した。クロロフィル蛍光の最大量子収率は,処理12日後にUFB水・MSM 60 g/ha区で36%減少し,水道水・MSM 60 g/haの減少率25%よりも大きかった。処理24時間後のMSMの吸収量はMSMの量にかかわらずUFB水を使うことで水道水よりも平均1.6倍増加した。以上のことから,UFB水を使用することでMSMの葉への吸収量が増加し,そのことがクズの生理作用をより早く低下させることが示唆された。

  • 井原 希, 嶺田 拓也, 吉村 泰幸, 松橋 彩衣子, 小荒井 晃
    2024 年 69 巻 1 号 p. 8-18
    発行日: 2024年
    公開日: 2024/06/30
    ジャーナル フリー

    水稲移植栽培における特定外来生物ナガエツルノゲイトウ(Alternanthera philoxeroides (Mart.) Griseb.)の防除に有効な除草剤利用技術を開発するため,2021年と2022年に本種が生育する千葉県の現地水田を小区画(2.7 m2)に区切り,事前調整した切断茎からの再生個体と自然発生個体の地上部と地下部に対する6種類の除草剤処理体系の防除効果を評価した。その結果,萌芽始期にピラクロニル粒剤,移植約20日後にフロルピラウキシフェンベンジル・ペノキススラム・ベンゾビシクロン粒剤の処理体系と,萌芽始期にイマゾスルフロン・オキサジクロメホン・ピラクロニル・ブロモブチド粒剤,移植約40日後にフロルピラウキシフェンベンジル乳剤の処理体系において,無処理区対比で切断茎からの再生個体の乾燥重量を6%以下,自然発生個体の地上部・地下部の乾燥重量を8%以下に抑制し,年次間および調査部位による効果変動も少なかった。また,この2体系を現地水田(5 a)で2年間連年処理した結果,2年後の地下部繁殖体を大幅に減少させ,3年目に慣行の雑草管理に移行できる可能性が示された。

技術レポート
  • 栂森 勇輝, 辻 康介, 大森 彩子, 杉本 充, 安川 博之, 冨永 達
    2024 年 69 巻 1 号 p. 19-24
    発行日: 2024年
    公開日: 2024/06/30
    ジャーナル フリー

    7月下旬~8月上旬に播種される京都府のアズキ(Vigna angularis (Willd.) Ohwi and Ohashi)栽培では,条間が0.3~0.4 mの狭条密植栽培圃場を中心に,ヒロハフウリンホオズキ(Physalis angulata L. var. angulate)とホソバフウリンホオズキ(P. angulata L. var. lanceifolia (Nees) Waterfall)の被害が生じている。これらの防除時期策定に向け,主に現地の狭条密植栽培圃場でアズキ栽培期間中の異なる時期に除草し,アズキ成熟期に後発個体の生育状況を調査した。3ヵ年の調査のいずれも,8月下旬以降の除草後,両変種とも後発の生残個体数は10個体m−2程度以下となり,結実個体が皆無の場合もあった。したがって,アズキ成熟期に生残するフウリンホオズキ類を減少させるには,少なくとも8月下旬までの除草の実施が必要と考えられた。

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