SFA病変に対するEVTは今後,ますます役割が拡大してくるものと考えられる。しかし現在もなお,SFA long CTO病変に対する最適な治療戦略は結論が得られていない。本研究ではSFA long CTO病変(164病変,平均病変長:19.2±3.8 cm)に対し,バルーン単独治療と積極的なstent留置を行う治療(Primary stent strategy)の成績の比較検討を行った。結果は両群の1年次CD-TLR回避率は同等であった。これはSFA long CTO病変に対するLeaving nothing behind strategyの有用性を示唆するものであると考えられた。
腹部大動脈に限局する石灰化狭窄病変(Coral Reef Aorta: CRA)に対し,血管内治療(Endovascular Therapy: EVT)を施行した3症例を経験した。症例1は45歳男性,症例2は88歳女性,症例3は71歳女性でいずれも間歇性跛行を主訴に来院した。症例1, 2は下腸間膜動脈レベルに,症例3は上腸間膜動脈付近にCRAを認めた。Luminexx® 14 mmでのEVTを施行し,全例合併症なく,症状の消失,下肢血圧脈波の改善を得た。CRAに対しEVTを施行し外科的血行再建術と遜色ない結果を得ることができた。