79歳,女性。左臀部,大腿部痛のため受診し,CTで遺残坐骨動脈瘤と診断した。受診翌日に下肢痛が出現し,坐骨神経圧迫症状に加え塞栓症が悪化したと判断した。塞栓症に血栓吸引・溶解療法を,遺残坐骨動脈にステントグラフト(SG)留置術を施行した。下肢痛は消失したが,術後早期にSGは閉塞し軽度の間欠性跛行が生じた。遺残坐骨動脈に対するSG留置術の成績は確立しておらず,慎重に適応を考慮すべきである。
3年前に間歇性跛行を自覚した48歳男性。3カ月前から症状が再燃し,閉塞性動脈硬化症疑いで紹介された。右下肢ABIは0.67であり,造影CT, MRIでは囊腫による膝上膝窩動脈の狭窄を認めた。外膜囊腫の診断で膝窩動脈切除,自家静脈置換術を施行した。術後1年以上経過し,再発なく経過している。膝窩動脈置換術におけるグラフト選択については,病変の局在や症例の背景を考慮したグラフト選択が重要である。